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ユダヤ人の起源

10月7日にハマスが、イスラエルを襲撃し、人質を取ったという大きな出来事が発生した当初は、その時の映像も全世界に流されていたので、ハマスを非難する声が高かった。

イスラエル軍がガザ地区を空爆するのも、地上戦突入するのも止むなしという雰囲気にあったと思う。

ところが、ガザの病院が爆発したあたりから、ガラリと変わったように感じる。

この爆発そのものは、どちら側によるものかは、いまだに未確定ではあるが、アラブ諸国は、これはイスラエル側の空爆のせいだと断定し、パレスチナを擁護する側に回っている。

イランが支援しているヒズボラが、戦闘モードとなっているせいか、イスラエルは、地上戦突入と何回も宣言していたが、行く行く詐欺状態になっている。

ロシアが提案した停戦決議案は、日、米、英、仏が反対して否決されたが、その後、ブラジルが提案したことについては、日本も含めて賛成した国が大半のなか、アメリカのみが反対したことによって、否決された。

アメリカではシオニスト集団が、かなりの圧力勢力なので、これを無視するわけがいかないという事情をかかえているため、彼らとしては、当然の判断なのだろう。

ユダヤ人とは、いったい何なんだろうと、調べてみると、紀元前1250年にまで遡ることになる。

紀元前1250年にモーセがユダヤ人の12支族を率いてエジプトを脱出し、40年間シナイ半島をさまよって、カナンの地(今のイスラエル及びパレスチナ)にたどりついたと、旧約聖書の「出エジプト記」に記されている。

モーセに率いられたイスラエル(ユダヤ)の民というが、ユダヤ人というのはこのとき「発明された」のであって、その前はいなかった。イスラエル(ユダヤ)というコトバは、この時はまだ表れていない。

だからイスラエルの民とは、エジプト人だ。モーセ集団と同じようにエジプトからやってきた別の移住開拓農民はペリステ人である、ということをテルアビブ大学のシュロモー・サンド教授が主張している。

モーセたちは、「もともとの自分たちの先祖に土地に帰った」とは、「出エジプト記」には書かれていない。「ここはヤハウェ神が約束した土地だ」と書いてあるだけだ。そこを奪い取ったのだ、と述べている。

ハリウッド映画「十戒」では、カナンの地に辿りついたところで、終わっているが、その後、モーセ集団が来る以前から住んでいたペリステ人から土地を収奪したことになる。まさに今の、ネタニヤフ首相が企んでいることと同様のことが行なわれていた。

下記は、2022年5月2日付けの投稿記事『ユダヤ人の起源』シュロモー・サンド(著)に記載しましたが、再掲します。

2008年5月31日付 朝日新聞夕刊の記事

2008年5月31日付 朝日新聞夕刊の記事には、テルアビブ大学教授のシュロモー・サンド著書『ユダヤ人の起源』が紹介された。主な内容を記述する。

  • 著書では、今のユダヤ人の祖先は別の地域でユダヤ教に改宗した人々であり、古代ユダヤ人の子孫は、実はパレスチナ人だ。
    ーーとの説が記されている。

  • サンド教授は「ユダヤ人は民族や人種ではなく、宗教だけが共通点」と指摘。第二次世界大戦中に約600万人のユダヤ人を虐殺したナチス・ドイツが、ユダヤ人は民族や人種との誤解を広めたとする。

  • イスラエル政府が標榜する「ユダヤ人国家」には根拠がないと批判。

  • シオニズム運動は欧州で迫害された19世紀末に起こし、「ユダヤ人国家の再建」を目指した。運動の根拠になったのは、ユダヤ人が紀元後2世紀までにローマ帝国に征服されたという「通説」だった。

    これに対し、教授は「追放を記録した信頼できる文献はない。19世紀ユダヤ人の歴史家たちが作った神話だった」との見解だ。

  • 教授によると、古代ユダヤ人は大部分追放されず農民として残り、キリスト教やイスラム教に改宗して今のパレスチナ人へと連なる。

ペリステ人は、今のパレスチナ人だ。ずっとここで生きてきた。古代のユダヤ人もペリステ人になったとはっきり書いている。

ペリステ人やパリサイ人という先住民が住んでいて、それが、今のパレスチナ人ということだ。

『旧約聖書』ではモーセが率いたとされるユダヤ12支族が、今のイスラエル全土に、それぞれ分かれて住んだ、となっている。おそらく、先住民のパリサイ人やペリステ人も混住していたはずです。

シュロモー・サンド教授の説は、ネタニヤフ首相率いるイスラエル国にとっては、不都合な説であり、シオニズム運動の根拠が極めて脆弱となるので、隠蔽しているということだろう。

【2023年10月25日 追記:シュロモー・サンド氏は、現在テルアビブ大学名誉教授となっています。】


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