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情景197.「篠突く雨の夜」【掌編小説 at カクヨム】

今回ご紹介する掌編小説は、カクヨム投稿の『あなたが見た情景』から「篠突く雨の夜」です。

白状します。
「黒洞洞」というフレーズを使ってみたかったんです。
ただ、夜と雨と電灯の組み合わせは情感を醸すのにとても好いなと思いながら書いていました。

何も見えないところに、むしろ何かを感じる。
そういう感じってありますよね。

空間の奥行きとか、静けさの中にさわさわとする感触とか。
かえって落ち着かない。
暗がりと雨音にそんな感覚を抱いてしまうなと思ったのをきっかけにして、それをかけ合わせてみて書いてみたのがこの情景です。

あと、たまたま羅生門を読み返したあとだったので、「黒洞洞」というフレーズを使いたくなってしまったという。

格好いいじゃないですか。
古風で、奥行きを感じさせて、かつて文豪が実際に使ったフレーズで、本当に暗そうだという。

ともあれ。
そんな中に現れた光色の傘は、確かな光沢でけぶるような雨の筋をも静かに照らしてくれることでしょう。

そんな篠突く雨の情景。
お楽しみください。


あなたが見た情景』は、目の前の景色を眺めるように情景を思い描ける、ちょっとしたお話のあつまりです。

どこからでも何話からでも好きなところから読みはじめて大丈夫。
気になったタイトルをひらいてみてください。



最後までお読みいただきありがとうございます。ぜひ感想を聞かせてください。