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【ゲームレビュー】BIOHAZARD RE:4【サバイバルホラー/TPS】

PS 5コントローラーを使用。原作プレイ済み。※本稿はPC(Steam)版『BIOHAZARD RE:4 無規制版』のプレイを基に執筆しています。また、本レビューではオリジナル版『バイオハザード 4』との比較/変更点からくる内容が多めになっています。


あらすじ&ゲーム概要

◆ 伝説のサバイバルホラーTPS作品のリメイク版。ラクーンシティの事件から6年、エージェントとなった『レオン・S・ケネディ』を操作して、不穏な気配が立ち込める不気味な村での死闘を生き残ろう。誘拐された大統領令嬢を救出する事がプレイヤーの目的となる。

原作にあった『窓に映っているキャラクターがバグる』現象は発生しなくなった。残念だ。

オリジナル版『4』はTPS系作品の基本となる動きを確立させた作品の一つなのだが、何せ古い作品であるため、色々と足りない部分やもどかしく感じるアクションがあった。
今作では、そういった古臭いアクションの変更や足りない部分を補うアクションとシステムが多く追加された。

怯んだ敵を蹴り飛ばすというアクションは相変わらず使用できる。

色々と細かい変更/追加点はあるが、大きな部分では『銃を構えながら歩く』『パリィ』『ステルスキル』『アイテムのクラフト』『サブクエスト』等の現代的な作品では良く見られるアクションとシステムが追加された。

いくつかの条件を達成する事でポイントが得られ、ポイントを特典と交換可能な『Record』システムも搭載されている。こちらは目に見えるやり込み要素になっていて、プレイヤーのやる気を出させてくれる。

随所に張られている青い依頼書を発見する事でサブクエストを開始できる。報酬として入手できるスピネルは商人との取引に使用可能だ。

また、これらのシステムや各種アクションの追加と変更に伴う細かな調整や、戦略的に、かつスムーズなアクションを行えるように今作の舞台となる村や城の地形/形状が変更されている。
地形に関しては原作を彷彿とさせつつも、よりゲーム性とアクションを強調するようなモノとなっている。

ストーリー、グラフィックとホラー要素

◆ ストーリーの大筋に変更は無いものの、追加のストーリーや原作版では出番の少なかった登場人物の掘り下げを行う部分が追加された。

特に登場人物の掘り下げの追加は理にかなっており、原作版ではプレイヤー側からすると言動がおかしく、“そうなる理由”が説明不足なキャラクターもいた。
感覚としては、今作は映画のディレクターズカット版の物語を見ているような気分になる。無論、良い意味でだ。

舞台や地形、マップの繋がりが変化した事によって、一部のイベント発生タイミングが原作と異なっている場合も。

映像面では、別のリメイク作品でも同じことを書いた気がするが、オリジナル版と比べて、グラフィック面が大幅に進化を遂げている。
特に光と影の表現が強化された影響で、よりホラー作品的な演出の見栄えが良くなり、没入感が増した。

全体的な表現力が向上した事で、舞台の不気味さが更に上昇している。

個人的には、そういったシーンこそ少ないが、雨の降るシーンの演出が素晴らしくて印象に残っている。こういったシーンを他の作品でももっと取り入れて欲しいほどだ。
雨は単なる演出では無く『音』と『視界』を阻害し、登場人物を間接的に邪魔する存在だ。これをホラー作品で活かす事によって、先に何があるのか分からない、気付けないという恐怖を演出する事に一役買ってくれる。

雨の降っているシーン。過去にトレーラーで話題になった時よりは表現がマイルドになっている。

同じように水、水辺や池の表現も同様だ。様々な民話や神話で水に隔たれたむこう側は黄泉の世界/別世界だと考えられていたように、水に隔たれ見えないむこう側には何が潜んでいてもおかしくは無い。

湖に潜む怪物との戦闘。

それをプレイヤーが雰囲気だけで感じ取れている時点で、今作の演出は成功していると言えるだろう。

これは原作にもあった表現であり、その表現法を進化させつつも、しっかりとホラー作品としての同じ思想を受け継いでいる事に好感が持てる。

こういった細かい表現以外の部分でも、地形やマップの作りは全体的に良いのだが、特に序盤の村周辺の作りはホラー作品的に最高で、筆者が過去にプレイしたホラー作品で登場する村の中でも最高の出来だと感じた。

“サバイバル”

◆ 弾薬や回復アイテム、リソースが枯渇する要素はプレイヤーの不安を煽り、そのままホラー要素にも直結する事から、この手の作品では重要な部分を占める事が多い。

戦闘の合間に陰鬱とした舞台を探索し、リソースを入手する。それは原作である『バイオ4』もリメイク版である『RE:4』でも変わっていない。
リソースを探していると、隠れた敵と対面する事もあり、『敵が潜んでいるかもしれない』と、探索中でもこういった部分で恐怖心を掻き立ててくる。

小屋に敵が隠れている事も。

ネタバレになるため、何処とは書けないが、これらのリソースを探索可能な場所やエリアは原作よりも増えており、更に冒険のしがいがある作りになっている。

今作ではそういったリソース面でのサバイバル要素に変化があり『クラフト』という要素で弾薬や一部のアイテムを作成可能になった。

実は、このクラフトの要素に関しては、原作でもアイテムを組み合わせたり、合成させる要素はあった事から大きな変更点ではない。
だが、専用のクラフト画面を追加して、組み合わせを視覚化する事によって誰にでも分かり易く、そして使いやすくなり、ユーザビリティが向上している。

ユーザビリティが向上したことによって、一目でアイテムの組み合わせを把握可能になった。

クラフトが追加されて、一部アイテムの作成ができるようになったとはいえ、入手したリソースは当然無駄にできない。サバイバル方面におけるアイテムの節約、そちらに関しては新しく追加されたアクションが大いに役立ってくれる。

アクション

◆ 本項目では、本作の追加点と特徴を中心にするので、別項目で軽く触れたようなTPS作品の基本となるアクションについては割愛させていただく。

それでは本題に入るが、アクションや戦闘は全体的に洗練されており、TPS作品の基本を踏襲しつつも、独特な要素を加えてオリジナリティを出すことに成功している。

基本的な操作、アクションは快適だ。

最たるものとしては、ナイフだ。身も蓋も無い事をいきなり書くが『RE:4』ではナイフが恐ろしく強力な頼れる相棒になっている。

ステルスキル、倒れた敵へのトドメ、終いには敵の攻撃を『パリィ』する事まで可能になった。ある意味では最強の武器はナイフだと言えるだろう。まあ、原作でも別の意味でそうなのだが。

原作ではチマチマと敵をナイフで刺す必要があったが、今作では倒れた敵を一撃で倒すことが出来る。

特にステルスキルと敵へのトドメは重要だ。敵は頭部/弱点を攻撃する事で怯み、蹴り飛ばして倒れさせる事が出来る。
倒れた敵はナイフでトドメを刺す事が出来るので、銃弾の節約になり、非常に重要なアクションとなっている。ステルスキルに関しては、説明するまでも無いだろう。

銃弾の消費を抑えられるステルスキルもまた非常に重要なアクションだ。

だが、このナイフにも欠点があり、原作とは異なり『耐久値』が追加された。先ほど挙げた、ナイフを使用する各種行動を取る事で耐久値は減少していき、最終的には壊れて使用できなくなる。

壊れるといっても、商人に話しかけ、ナイフの修理を行う事で再度使用可能になるので、心配はいらない。この『耐久値』自体も商人で最大値を強化する事が可能だ。

ナイフは強力な相棒なので、コマメに修理と強化を行おう。

もう一つの大きな変更点としては、過去作をプレイした方が最も喜びそうな要素として、殆どのQTEが無くなったという事を挙げたい。

知らない方向けに解説すると、オリジナル版『4』はQTEを採用したゲーム作品の全盛期に開発されており、QTEが複数の箇所で発生した。それ自体は良いのだが、シビアな入力が求められるわりに即死系QTEが多く、面白い要素とは言えなかった。

即死QTEの類は無くなっているので、安心してプレイしよう。

それらの理不尽な箇所が今作では修正され、ゲームとして成立する作りになっている。例として、某ボス戦はQTEの代わりにちゃんとしたボス戦が導入された。

お馴染みのボスとの戦闘。

全体的なアクションの話に戻るが、ザコ戦/ボス戦共に完成度が高く、この手の作品のある種のお手本となるような作りになっている。通常のアクションだけでなく、各エリアに配置されたトラップやギミックを活用する事も勿論可能だ。

色々とできる事から、慣れるまでは少々難しく感じられるかもしれないが、難易度の変更や設定の項目から『エイムアシスト』のオン/オフだけでなく強弱まで設定が可能なので、困る事は無いだろう。

クリア後には別の難易度も追加されるので、腕に自信のある方はプレイして見よう。

設定と最適化

◆ 『Denuvo』を搭載していたり、環境による違いはあるものの、PC向けの最適化はバッチリだ。現時点では“配信しながらプレイをする”という筆者の特殊な環境でも、特に問題なく快適に陽気な村人たちと戯れることができている。

カメラの動きに関してはかなり細かく調整可能だ。

オプション/設定周りは充実しており、細かく各種項目を設定する事が可能なので、自分の環境にあった調整をすると良いだろう。FOVや基本的なグラフィック設定はもちろんの事、公式のゲームプレイやトレーラーで取り沙汰された『雨の表現』に関しても、設定から強弱を変更可能だ。

リメイク故の欠点

◆ リメイク版である事から原作の雰囲気や流れを大きく変えないために発生している欠点がいくつかある。

例えば、前述したように弾薬や回復アイテムを探す必要がある事から今作では探索が重要となるのだが、現代的な作品とは異なり、探索可能な範囲が限定されるシチュエーションが多い。

どういう事かと言うと、物語の進行に合わせて通れない道や戻れない場所があるのだ。そのため、現代的な作品で良くある『今はメインを進めて、ここは後で探索する』といった事はできない場合が多いので注意だ。

可能な限り戻れるように工夫はされているが、戻れなくなる場所もあるので注意だ。

これはゲームがリニア進行である事から発生する問題点だ。同じ開発元では、こういった問題点は『バイオ8』こと『ヴィレッジ』でセミオープンワールドに近い舞台を用意する事で解決されているのだが、流石に本作でそれを適用する事はできなかったようだ。

この戻れない仕組み自体はサバイバルをしている雰囲気やホラー性、意図的にプレイヤーに窮屈さを演出/強調する事にも役立っているので、必ずしも悪い点とは断言できないという事も明記しておこう。

表現規制

◆ いつもの事ではあるが、日本から購入できるバージョンではいくつかの過激な場面で規制が入っている。

このタイプの作品では、物語や演出としての恐怖を煽る表現やグロ表現が重要だ。何故ならば、それらの演出は無駄に取り入れられているわけでは無く、物語やキャラクターを表現するためにあるからだ。

細かいところでは、敵キャラクターから生えている”触手”の表現方法が異なっている。

規制が入る事によって物語や映像面での印象が変わってしまったり、説得力に欠けてしまう場面が登場する事は残念でならない。

-------------------【良い点】-------------------


+ 原作の思想を受け継ぎつつも、進化を遂げたグラフィック表現と演出の数々。

+ より洗練され、現代的で戦略性に富んだ各種アクション。

+ ゲーム内UIのユーザビリティだけでは無く、各種設定も充実している。

+ 恐ろしく完成度の高いサバイバルホラーTPS。

-------------------【悪い点】-------------------


- リメイク版故の欠点。

- 物語を阻害しない程度ではあるが、表現規制からくる、一部シーンと演出による違和感。

- 原作とはやや方向性の異なる仕様、ゲーム性の違い。

--------------------【総評】-------------------


サバイバルホラーとしてもTPS系のアクションとしても完成度が高く、やり応えは抜群。難易度設定やオートエイム、各種設定周りも充実しており、誰でもプレイができるように配慮もされている。

現代的な操作性やアクション、システムを取り入れて、元から完成度の高い作品を更に洗練する事に成功した開発元には脱帽だ。

原作プレイヤーからはいくつかのゲーム性の違いからオリジナル版の方が好きと言う方もいると思うが、今作も面白い事に違いは無い。

オリジナル版がそうであったように、今作もまたマストプレイなサバイバルホラー作品になっている。


プレイ動画をアップしているので、本作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。


他にもSteamで発売されている『プラットフォーマー』作品をこちらで:

『ローグライク』作品をこちらで紹介しています:

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