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【ゲームレビュー】Bleak Faith: Forsaken【ソウルライク/3DアクションRPG】

PS5 コントローラーを使用。※本稿はPC(Steam)版『Bleak Faith: Forsaken』のプレイを基に執筆しています。また、現在コントローラー(パッド)周りは正式に対応していないため、そちらに関しての不満点は割愛させていただく。

※現在は必要ない様だが、コントローラーを認識する方法を念のため記載しておく。

コントローラーが機能しない方は下記手順を試してみてください。
『①Steamライブラリ内の本作を右クリック → ②プロパティを

クリック → ③コントローラーの項目内で「Steam入力を無効にする」を選択』

殆どの場合は上記の方法でいけますが、コントローラーによってはこれでも機能しないので、ゲーム内のオプションで『Gamepad内のRaw Input』のオン/オフも合わせて試してみてください。


あらすじ&世界観

◆ 荒廃した世界が舞台のソウルライク3DアクションRPG。広大で容赦のない、相互接続されたオープンワールドを探索して、自分自身の“意味”を見出そう。

カットシーンが時々差し込まれたり、雰囲気は抜群だが、基本的にストーリーはプレイヤー側が考察するタイプになっており、プレイを通して多くは語られない。

雰囲気は抜群だ。

一方で、世界観としてはSFダークファンタジーよりで、プレイヤーが冒険をする世界は『弐瓶勉』氏による漫画『BLAME!』を彷彿とさせる巨大構造物(本作では『オムニストラクチャ』と呼ばれる)が舞台となっている。
舞台となる巨大構造物内は無数の層に分かれており、各層でマップのギミックや景色ががらりと変わる。

一昔前のSFモノに“大抵あった”シーンを彷彿とさせる。

ステージの背景やデザインにかなり力が入っており、いくつかの場面ではカメラを上に向けて見上げてみると巨大な構造物の片鱗を見る事ができる。
こういったSF要素が好きであれば、たまらない光景だ。

面白い事にSFダークファンタジーという事で、SF的な外見の敵や装備が登場したかと思えば、中世の騎士を彷彿とさせる装備品も登場する。

中世の騎士の様な敵が登場する場合も。

騎士のような装備も良く見ると、何らかの未来的な装置が取り付けてあったりと不思議な統一感がある。

エリアによっては中世ぽい廃墟を観る事が出来る

本作は独特な世界感が上手く表現されているので、これだけでも楽しめる作りになっている。

時たま継ぎ接ぎの様な装備品を纏った敵も登場する。敵もサバイバルしているのだろう。

余談だが、本作はオープンワールド制を採用しているが、エリアの形状や移動の仕組みから“セミオープンワールド”あるいは“エリア制”に近い作りになっている。

アクション&戦闘

◆ 使用している武器にもよるが、通常攻撃、ガード、パリィ、回避、ジャンプ、基本的なアクションはソウルライク作品のそれを踏襲している。

回避行動のみ仕様が少々特殊で、回避発動時にIフレーム、所謂“無敵時間”が発生しない。
本家ソウルシリーズと同じタイミングで敵の攻撃の回避を試みると見事にヒットするので注意だ。

回避行動は回避というよりも、間合いの調整を行うために使用していく形だ。

その他の違いとしては『パリィ』の受付時間が他の作品と比べてやや長めで、ザコ敵との戦闘では使いやすい。
ただし、パリィ不可能な攻撃も当然あり、そちらは敵の攻撃時に黄色いUIで表示されるので、敵の行動を注意深く観察しよう。

敵の武器が黄色く光るので、察知しやすい。

こういった基本的なアクション以外にも、いくつかの武器にはCD付きの『アビリティ』が設定されており、戦闘中に使用する事が可能だ。

『アビリティ』は他の作品で言うところの戦技の様な技で、ボスのドロップする武器や特殊な武器に付与されている事が多い。その他にも付け替えが可能な『パーマネントアビリティ』を入手する事もできる。

敵の攻撃を一定回数無効化する等の汎用性の高いアビリティもあるので、ビルドによって使い分けが可能だ。

このタイプの作品としては類に漏れず、敵との戦闘は挑戦的で緊張感のあるモノになっている。なんなら、序盤からこちらの攻撃をパリィしてくるザコ敵まで登場するしまつだ。

集団で襲ってくる場所も多く、緊張感のある戦闘を楽しめる。

間合いの取り合いが重要となる点はソウルライクらしい戦闘と言えるのだが、前述したように回避行動でIフレームが発生しないので、より敵の攻撃範囲と行動パターンの理解力が求められる仕組みになっている。

ボス戦や大型の敵との戦闘では、敵の背中によじ登り弱点を攻撃するというギミックが登場する場合も。

RPG要素

◆ ソウルライク作品としては珍しく、本作にはレベルの概念が無い。ステータスは装備品と装備品のソケットに嵌め込んだアイテムによって変化/決定される仕様だ。

大抵のソウルライク作品ではレベルの概念が無い事はマイナスに働く事が多いのだが、何時でも装備を変更するだけでビルド変更が可能なので、様々なプレイスタイルを手軽に試す事が出来るという点においては本作は上手く機能している。

ステータスはかなり細かく設定されている。

更にレベルの概念は無いが、『Strength(以下Str)』や『Intelligence』といったステータス自体が存在しないわけでは無く、そちらは装備と前述した装備に嵌め込めるアイテムで強化を行う事が可能になっている。

例えば、Str特化型にしたいのであればソケットにStrを強化するアイテムを嵌めていけば良いわけだ。

何らかのステータスに特化したビルドは普通に作成可能だ。

これらのアイテムや装備品は敵のドロップアイテムや探索を通して発見する事が出来る。
ちなみにドロップに関しては面白い仕様になっており、装備品は一度入手すると同じ物がドロップしない。

大抵の装備品は敵を初回撃破で入手できる。

通常の敵から入手できるアイテム以外にも、ボスを撃破する事で入手できるアイテムを使用して、特殊なパッシブ効果を発揮する『Perk』を覚える事もできる。
Perkからは『攻撃にライフスティール効果を付与』『~系武器使用時に攻撃力アップ』等といったビルドを特化させる事にも繋がるパッシブを習得する事が可能だ。

強力なPerkが多いが、入手できる機会自体限られるのでよく考えてから覚えよう。

Perkはどれも強力だが、選択できる数が限られるため、ビルドに合ったモノを選ぶと良いだろう。

探索

◆ 『Bleak Faith』ではジャンプやクライミング、泳ぐ等の様々なアクションを使用して広大なマップを探索する事が可能だ。だが、本作は色々な面でそういったアクションや探索面に大きな問題を抱えている。

恐ろしく広いマップ内を泳ぐ事になる割には、泳ぐ速度が遅くてストレスが溜まる。

経験値が得られない敵との戦闘が無駄になってしまうために、レベルの概念が無いソウルライク作品では得てして探索が面倒になる傾向にあるが、本作もその呪縛からは逃れる事が出来ずにいる。

敵を撃破する事で素材や各種アイテムを入手できるため、敵の撃破に意味を見出せそうなものだが、実はそうでもない。何故なら、入手できるアイテムの殆どはあまり意味の無いアイテムばかりで、実質的な強化にはいかせない物が多く手に入ってしまう。

入手できるアイテムの大半は回復薬や矢を作成するための素材だ。

そのため、初回以降の敵との戦闘は唯々面倒なだけになりがちだ。

基本的な探索の面白さに繋がるアイテムや経験値という面以外にも、各種探索で使用するアクションにも問題がある。

例えば、クライミングアクションは何処でもよじ登れるわけでは無く、アクションを発動できる場所が限られているのだが、遠目にはよじ登れるかどうか分からない場所が多い。

ジャンプ後でなければしがみ付く事が出来ない場合もあるので、少々厄介だ。

加えて、よじ登れる場所でも判定の作りが悪く、操作面でのストレスが大きい。失敗して落ちてしまうと死んでしまうため、こういった点での操作性の悪さは早期に修正した方が良い点だろう。

バランス調整

◆ 戦闘面でのバランス調整は大雑把な点が目立つ調整になっている。

まず、武器種の問題があるのだが、剣や斧等の片手武器に殆どメリットが無い。威力が両手武器よりも低い事は良いのだが、武器を振る速度もそれほど早くないのだ。

ちなみに弓矢や魔法を使用できる遠距離系武器は異様に強く、連発しているだけでボスを撃破できる。ただ、それが面白いかどうかは別の問題だ。

攻撃力や速度などはPerkである程度補う事が可能ではあるが、それは少し進んでからの話だ。ならば、盾を装備してガードができる点が良いかと言われると下記する問題でそちらも微妙なモノになっている。

ザコ敵との戦いではガード&パリィはかなり強い。一方ボス戦では特化型のステータスでもほぼ役に立たない。

ガードとパリィ周りの問題点として、大型の敵、特にボスはパリィできない攻撃を多用してくるモノが多い。おそらく、パリィ自体が比較的簡単に発動可能な為にこのような仕様になったのだろう。

ならば、ガードはできるかと言うと、できない場合も多い。こういった敵との戦闘での一つの答えとして、回避を使用する事になるのだが、そちらにも問題がある。

ガードとパリィが不可能な攻撃が異様に多い。

例として、比較的序盤から戦闘可能な中ボスのような敵がいるのだが、広範囲のガード不可能な攻撃を行ってくる。もちろん、パリィもできない。
こちらは回避を使用して間合いを取ったり、あるいは敵の背後に回り込む、一部の攻撃はジャンプで回避するという仕組みの戦闘になっている。

一見すると面白そうだが、敵の攻撃にヒットしてしまうとこちらのキャラクターが盛大に吹っ飛ばされてしまい、敵の下まで走って戻らくてはいけない等と、簡単か難しいかは別として、実際にはストレスのある戦闘になっている。

主人公が吹き飛ばされる/ダウンしてしまう攻撃が多く、ダウン時間も長いためストレスの溜まる戦闘が多い。

この問題は回避時にIフレームが発生しない事に起因している。ようはかなり精度の高い回避、正確には敵の攻撃範囲への理解度が“初見”でも求められるからだ。

Iフレームが無い事が問題ではなく、Iフレームが無い事を前提としたバランス調整が上手くいっていないという事だ。

こういったタイプの敵や戦闘、似たような場面はそこそこ登場する。

主人公は人間では無いようなので、実際にどうなっているのかは分からないが、彼の体には肉の代わりに綿あめでも詰まっているのではないかと思うぐらいには吹っ飛んでくれる。

おそらく、敵の攻撃に連続でヒットしないためにこのような仕様になったと思われるが、あまり良い仕組みとは言えない。
このような仕様にするよりはスタミナが足りるならばガード可能という、ソウル系作品の基本を踏襲した方が良かったように感じられた。

UI

◆ UI周り、特にアイテム画面の作りが使い勝手の悪いモノになっている。UIの使い勝手が悪いために、インベントリからアイテムを探して装備する事が大変なのだが、大量の装備品を抱えている場合は更に面倒なことになる。

ソート機能が無い、UIが小さい、変化しているステータスが分かり辛い等と悪い事尽くめな作りのインベントリとなっている。おまけにデフォルトで使用するボタン配置も馴染みの無いものになっている。

装備品が増えてくると、何が何処にあるのかが把握し辛い。

サブウェポンの付け替えや“リングの2番目”を付ける際にはコントローラーによっては上手く行う事が出来ないという現象も確認できた。こちらは装備する時にキーボードを使用すれば良いだけだが、面倒である事に変わりは無い。

Perkの付け替え画面も操作が大変だ

本レビュー執筆時点では“とりあえず機能するよう”に作られたかのような稚拙なUIが目立つので、ここはアップデートか何かで改善してもらいたいところだ。

-------------------【良い点】-------------------


+ 某マンガ作品を彷彿とさせるような巨大建造物を中心とした舞台設定と世界観。

+ 装備を付け替える事で何時でもビルドを変更可能。

-------------------【悪い点】-------------------


- クライミングアクションの出来が悪く、その他にも微妙な高さから落ちても死んでしまう場合も。

- 繰り返し戦闘と探索に意味が見いだせないゲーム性、。

- 簡単か難しいかは別として、戦闘のバランスが大雑把で達成感を得られない。

--------------------【総評】-------------------


バランス調整で粗削りな部分が目立ち、探索でも戦闘でも達成感を得られないゲームプレイが続く。
ビルドを何時でも変更可能なシステムは探索要素を阻害しない作りで上手く作用しているが、一部以外の武器種毎の違いがあまり上手く機能していない。

雰囲気は抜群の作品なので、そちら目的か、ソウルライクをとにかくプレイしたいというプレイヤー以外には現状ではオススメできない作品だ。


プレイ動画をアップしているので、本作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。


他にもSteamで発売されている『プラットフォーマー』作品をこちらで:

『ローグライク』作品をこちらで紹介しています:

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