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【ゲームレビュー】Flynn: Son of Crimson【2Dアクション/プラットフォーマー】

PS5 コントローラーを使用。クリア済み。※本稿はPC(Steam)版『Flynn: Son of Crimson』のプレイを基に執筆しています。


あらすじとゲーム概要

◆ 成長要素もある、ステージクリア型の2Dアクションプラットフォーマー。強大な支配者に立ち向かう力を身に着けながら、先祖より受け継ぐクリムゾンの血が流れる主人公『フリン』と共に世界を冒険しよう。

バっと目だと分かり辛いが、ステージクリア型作品なので、購入を検討されている方はジャンルに気を付けよう。

物語は、『クリムゾン』と呼ばれる力を受け継ぐ主人公『フリン』を中心に進行する。『フリン』は、彼の住む場所を守護する存在である巨大な狼に似た姿の『デックス』共に、いつもの様に散歩をしていると、謎の力を行使できる少女『ロジア』に襲撃される。

『フリン』と『デックス』は仲良し。

戦闘のさなか、『フリン』は『クリムゾン』の力に覚醒し、『ロジア』の撃退に成功する。だが、守護者である『デックス』の力の源『魂』を奪われてしまう。
魂を取り戻し、謎の襲撃者の目的を確かめるために、『フリン』は危険な冒険の旅に出る事になる。

『フリン』は、まだ最初の戦闘では『クリムゾン』の力を覚醒させていない。

映像面では、ゲームは滑らかで美しいピクセルアートが特徴的で、主要な登場人物達だけでなく、モブや敵キャラの動きも流動的で良く描かれている。同様に、背景やステージも素晴らしい書き込みだ。こういったステージ中に流れるBGMは極端に良い曲こそ無いが、場面にそった良質な楽曲となっている。

愉快なNPC達も多く登場する。

ゲーム進行はステージクリア型になっており、戦闘系のアクション要素が強めなプラットフォーマーとなっている。戦闘で使用可能な武器は物語が進み、主人公が新たな『クリムゾン』の力を解放していく事で、徐々にアンロックされていく。

また、敵を撃破したり、ステージを攻略する事で入手できる通貨を使用して、能力を強化したり、新しい技を習得する事も可能だ。

戦闘とアクション

◆ トレーラー等を見ると攻撃を連続で繋いでいく所謂『コンボゲー』を連想するかもしれないが、どちらかと言えば本作の戦闘はヒット&アウェイが基本となる。

コンボが全くできないわけでは無いのだが、殆どの敵はスーパーアーマー状態なので、コンボをキメるためには後述する方法で敵を無防備な状態にする必要があるのだ。

迂闊にスーパーアーマー状態の敵に攻撃を当てると反撃をもらってしまう事もあるので、気を付けよう。

ただ、それによってバランスが悪かったり、ストレスを感じる事は無いだろう。というのも、プレイヤー側の回避行動がかなり優秀なのだ。敵は強力な攻撃を行う前に一瞬光るので、回避をするタイミングも分かり易いようになっている。

回避はストレスの無い操作性になっているので、危ないと思ったドンドン使っていこう。

回避後は攻撃に転じるわけだが、近接攻撃だけでなく、遠距離攻撃をする事も可能だ。物語が進むと遠距離攻撃の属性を変更する事も可能になり、属性毎に『敵をスタンさせる』『一定時間ダメージを与える』等の効果があるので、回避や敵の攻撃をいなしながら、上手く戦闘に組み込んでいこう。

遠距離攻撃を上手く使って、有利に立ち回ろう。

前述した敵を無防備にする方法についてだが、敵には通常のHPの他に耐久値の様なモノが設定されており、一定のダメージを連続で与える事で、敵を一時的に無防備な状態にする事が可能だ。
武器や技毎に、この耐久値に与えられるダメージ量が異なっているので、敵によって、あるいは状況によって武器や技を使い分ける事が重要になる。

技は強力だが、仕様には『クリムゾン・チャージ』と呼ばれるゲージを貯める必要があるので、使うタイミングに気を付けよう。

技にはダメージや敵の耐久値を多く削れるような強力なモノが多いが、発動には敵を攻撃する事で蓄積されるゲージを消費する必要があるので、使い時を見極めよう。

敵のHPの下に表示されているのが耐久値だ。削り切ったら、しっかりとコンボを叩き込もう。

また、物語を進める事で一時的に主人公の能力を大幅に強化する、所謂『スーパー化』も行えるようになる。ただ、こちらに関しては詳しく解説するとネタバレになるので、割愛する。

ザコ戦やボス戦は様々なシチュエーションが用意されており、最後まで飽きずにプレイする事ができるだろう
特に本作のボス戦は主人公の操作性とゲーム性に合わせて『人型』の敵が多く登場し、どの戦闘もやり応え抜群だ。

基本的にボスは人型であるものの、戦闘のシチュエーション自体は結構用意されている。

プラットフォーマー要素

◆ ステージクリア型作品である性質上、戦闘だけでなく、ステージ内には足場移動やトゲなどの各種プラットフォーマー系のギミックが登場する。

いくつかのステージではギミックを利用して空を滑空しながら移動したり、“動物”に乗って移動するようなステージも登場する。

水中を移動する必要のある場所も。

ステージ内には能力強化に使用可能な通貨や収集物も隠されているので、色々と探索をしてみると良いだろう。

本作の収集物『遺物』は村にいるNPCに渡すことで報酬が得られる。

ちなみに、ちょっとしたパズル要素も登場するが、メインを進める上でも、収集系のアイテムを回収するとしても、それ程難しいモノは登場しないのでパズル要素が苦手でも心配する必要は無い。

『正しい道を進め』というエリア。事前にヒントも与えられるので、迷う事は無いだろう。

プラットフォーマー要素に関しては、新しい何かがあるというわけでは無いが、作り自体は良く、戦闘一辺倒にならない様にこういった要素やちょっとした寄り道が用意されている事は有難い。

余談だが、“寄り道”となるいくつかのステージでは、こういったプラットフォーマー要素を完全に廃し、敵が登場し、それらを倒していくだけのチャレンジ的なステージも登場する。

チャレンジステージを攻略すると、大量の通貨を入手出来るので積極的に挑戦しよう。

探索

◆ 前の項目で書いたように、ステージを攻略中に通貨を大量に入手できる場所や収集物が隠されている場所を見つける事もある。これらの収集物や通貨が手に入る場所などは探索や挑戦的な要素を攻略した際の“ご褒美”として上手く機能している。

遺物と一緒に通貨を大量に入手できるクリスタルが配置されている場合も。

ただ、実は本作では少々探索まわりに問題がある。本作は物語が進行する事で新しい能力が入手できるのだが、その能力を利用しないと攻略できない要素、正確に言うならば『初見で攻略/到達不可能な場所』が登場する。

分かる方にはメトロイドヴァニア系作品を想像して欲しい。ただし、大きな違いとして、本作のステージ構成やギミックはメトロイドヴァニア系作品の様な移動がスムーズに行えたり、当たりざわりの無いギミックばかりの作りではない事が問題となる。

当然だが、それは本作がアクションプラットフォーマーとして作られているからだ。プラットフォーマー要素がしっかりしているだけに、そういった再度探索をする要素がゲーム性と上手く噛み合っていないのだ。

プラットフォーマー要素が強めな場所もあり、メトロイドヴァニア系要素とは組み合わせが悪い。

改めて探索をする事自体が面倒な作りになってしまっている。現在の作りでは水増しとも取れるため、そのステージ到達時点で探索を行えば、攻略可能な作りの方が間違いなく良かっただろう。

一部アクションとボス戦

◆ 本作では武器を変更し、様々な技を使い、遠距離攻撃の属性を変更したりして攻略/戦闘を行う要素があるわけだが、これらの要素のいくつかは洗練不足な点も目立つ。

まず、前述したように技は基本的にゲージを使用するわけだが、初見では“どのタイミングで使用すべきか”が分かり辛い。というのも、基本的には強力な技は強敵のために温存しておく方が良いからだ。

当然だが、ボス戦では気にすることなく技を使用できる。

そのために、初回攻略時には基本的な攻撃と回避のみで立ち回る事が多くなる。ザコ戦や道中での戦闘では、似たような攻撃方法ばかりになりがちだ。
戦闘中のバリエーションも増えるため、いくつかの技は基本操作に組み込んでも良かったように感じられた。

ゲージを消費しない技がもっと用意されていても良かった。

遠距離攻撃の属性に関しては、属性が増えてくる後半程、属性の変更と仕様が億劫になってくる。魔法は一方通行にしか変更する事が出来ず、例えば『魔法A』から『魔法C』に変更するには『魔法B』を経由する必要がある。スムーズに変更や使用を行うためのコンボキーやホイールメニューが欲しかったところだ。

魔法の属性は戦闘向けにというよりも、ギミックを稼働させるために無理やり組み込まれた印象が強い。

また、色が変化するといった見た目や効果の変化が微々たるものなので、もう少し遠距離攻撃の根本的な性質が変わるような仕組みが欲しかった。

同じくボス戦に関しても、少々練りが足りなかった部分がある。アクションについての項目で書いたように、ボス戦自体はゲーム性と合った作りでなかなか面白い。
問題となるのが、ゲーム性にあまりにも“合わせすぎて”しまっているせいで、大型のボスや特殊なボス戦が無い事が挙げられる。

人型のボスばかりである事は残念だ。ちなみに、ライバルである『ロジア』とは何度も戦闘をする事になる。

基本的には人型のボスばかりで、細かい点はともかく、攻略方法が似たようなスタイルになりがちだ。他の作品で登場するような特定部位を攻撃したり、ギミック付きの大型ボスを登場させても良かっただろう。

-------------------【良い点】-------------------


+ 高品質なドット絵と場面にそったBGM。

+ 緊張感のある戦闘。

+ 挑戦的で達成感のあるステージ構成とボス戦。

-------------------【悪い点】-------------------


- バリエーションの少ないボス戦。

- 面白みに欠ける属性システム。

- ゲーム性とあまり噛み合っていない一部探索要素。

--------------------【総評】-------------------


いくつかのシステムは練りが足りないし、ゲーム性とあまり噛み合っていない探索要素こそあるが、『Flynn: Son of Crimson』は良質なアクションプラットフォーマーに仕上がっている。

滑らかで流動的に動くドット絵で表現されたキャラクターは素晴らしいし、戦闘はスリリングで達成感があり、ステージ構成も飽きさせない作りになっている。

アクションプラットフォーマーが好きならば、プレイして見ると良いだろう。


プレイ動画をアップしているので、本作が気になった方はこちらを参考までにどうぞ。


他にもSteamで発売されている『プラットフォーマー』作品をこちらで:

『ローグライク』作品をこちらで紹介しています:

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