トイレトレーニングはいつから?どうやる?現役保育園園長が発達を解説します!
皆さんは子どものトイレトレーニングでこんなお悩みはありませんか?
結論から言えば、トイレトレーニングは単にオムツを取るための工程ではなく、心の育ちと密接しています。それゆえに、しっかりと排泄の仕組みと心の育ちを理解することが大切です。こどもとの信頼関係を育む上で、トイレトレーニングを進めることは、とても大事な営みです。
どのように向き合えばいいのか、わかりやすく解説します。子育て中の保護者はもちろん、保育士にとっても学びになる記事です。ぜひ、最後までご覧ください!
園長コマツ
とある私立認可保育所の園長です。 子どもや保護者、職員みんなが活き活きと暮らせる保育園へ向けて悩みながら改革中。 自分の取り組みや学びをNoteを通して発信します。 プライベートでは二児の父。 好物はハンバーグ。
トイレトレーニングをはじめる前に…大事にしたい心構え3選
解説を始める前に、まずは大事な心構えがあります。それは「トイレトレーニングに正解はない」ということです。後述しますが、トイレトレーニングは子どもの性格や特徴によって手法が大きく変わります。このやり方で上手くいく!といったような絶対的な手法はありません。だからこそ、どのような心構えで臨めばよいのかが大事になります。
トイレトレーニングの心構え①「トイレトレーニングは"心の育ち"」
トイレトレーニングは発達上、とても大切です。それは単にオムツが取れる!という事だけではありません。トイレトレーニングは"心の育ち"と密接に結びついています。イヤイヤ期にさしかかっていること、子どもが自分の力で出来ることが増えてくること、トイレトレーニングが始まる次期がちょうどその時期とピッタリ重なるのです。
ついつい大人が主導でおこなってしまいがちになってしまいますが、トイレに"自分で行くという自己決定"や"イヤ!という気持ちを受け止めてもらう安心感"、"トイレで「できた!」という成功体験"……これらは心の育ちの上でも大きく成長できるチャンスでもあります。
保育士や親としても、単にオムツを取る作業ではなく、子どもの心の育ちに繋がる機会だと思って頂きたいです。
トイレトレーニングの心構え②「トイレトレーニングに正解はない。だからこそ、仕組みや発達を知ることが大事。」
トイレトレーニングの進め方が難しいとされているのは、発達による個人差が大きいからです。また、トイレトレーニングを始める時期は、子どもの自我が発達する時期と重なります。自分でやりたい!となったり、イヤイヤしたり…個性が発揮されてきます。
トイレにポジティブなイメージを持っている子、ネガティブなイメージを持っている子、ポジティブだったけど…途中から嫌になってくる子など、さまざまです。だからこそ、排泄の仕組みや発達を理解しておくことが大切になのです。
発達や仕組みをちゃんと理解しておけば、お子さんに合わせて働きかけることができるでしょう。すると、気持ちもかなり楽になると思います。
トイレトレーニングの心構え②「おしっこ・ウンチ・夜のおしっこの発達はそれぞれ全部違う。それぞれを分けて考える。」
排尿(おしっこ)・排便(うんち)・夜間排尿(よるのおしっこ)の発達はそれぞれ別物という事をご存じでしょうか?すでにトイレトレーニングが完了している大人からすると、同じように感じるでしょう。この部分が一般的に”トイレトレーニング”で一括りにされがちです。しかし、この発達はそれぞれ異なる、ということを念頭においておきましょう。そうしないと、次のような事が起きてしまいます。
日中はパンツになれたのに…おねしょが続いて失敗!と感じてしまう。
ウンチを伝えられず、もらしてしまい、「もーなんで!」と感じてしまう。
いつまで経ってもトイレトレーニングが終わらないような気がしてしまう。
一つひとつちゃんと成功しているのに…なぜか上手く進められていない気がしてしまう。それでは、子どもも大人も辛くなってしまいます。1つ1つ、段階を踏みながら、できた時には子どもと一緒に喜ぶことが大切です。
おねしょやウンチまで解説するとボリュームが多すぎるので、今回はおしっこに注力してお届けします!
トイレトレーニングはいつから?どうやってはじめる?
トイレトレーニングはいつから始める?
トイレトレーニングはいつ頃から始めるべきなのでしょうか?米国の小児科学会では次のように示しています。
これらのサインが出るのがおおよそ、2歳半~3歳ごろです。しかし、あくまで発達は個人差があるので、本人が興味を持ち始めたら行うのが良いでしょう。トイレに関する絵本を読んでみたり、「トイレに座ってみる?」などさりげなく声を掛けるところから始めると良いでしょう。
園長コマツのオススメする絵本はコチラです。
内容が楽しくてわかりやすく、発達にもあっていますよ!大人が押し付けようとするのを子どもは察知します。あくまで「興味を持ってくれたらいいな」くらいな感覚で読んであげましょう。
トイレトレーニングにおける発達の基礎知識を知ろう!
生まれたての赤ちゃんに「ハンバーグを食べなさい」とはなりませんよね。胃や腸の発達がされていないですし、歯も生えていません。当然食べるのは無理です。まずはミルク、次に離乳食、幼児食…と発達に合わせて段階がありますよね。
トイレトレーニングも同じです。発達があり、段階があります。トイレトレーニングを進める上で大切なのは、2つの発達が関係しているのを知り、発達に合わせた取り組みをすることです。
キーワードは
膀胱容量(ぼうこうようりょう)
大脳皮質(だいのうひしつ)
膀胱容量(ぼうこうようりょう)
膀胱容量(ぼうこうようりょう)とは…膀胱の中におしっこを溜めておける容量のことです。子どもの膀胱容量は少しずつ大きくなっていきます。おしっこが溜められる容量は大きくなるにつれて、少しずつ増えていきます。
大脳皮質(だいのうひしつ)
大脳皮質(だいのうひしつ)とは…おしっこをしたい!と感じる部分のことです。他にもいろいろと機能はありますが、トイレトレーニングにおいては、これだけ覚えておけばOKです。
大脳皮質も段階的に発達していきます。トイレに興味がない…というのは、そもそも脳が尿意を感じていない可能性があります。尿意を感じていないのに、おしっこに行きなさい!と言われても、大人でもピンとこないかもしれません。子どもならなおさらです。
おしっこがしたくなる仕組み
2つの発達が大事、と見てきましたが、これがどのように関わってくるのでしょう?以下の図がおしっこを感じる図です。
全部を覚える必要ありません。ざっくりとイメージだけでも知っておくと良いでしょう。膀胱(ぼうこう)におしっこが溜まると、膀胱内部に圧がかかり、脳に”おしっこがしたい”という信号が送られるようになっています。
先ほども解説しましたが、膀胱容量や大脳皮質は年齢に合わせて発達していきます。トイレトレーニングは早く始めればよい、というわけではないことがわかります。
それぞれの発達をみてみよう!
基本的にトイレトレーニングには4つの段階があるとされています。
新生児期(生後1か月まで)
乳児期(~1歳くらいまで)
幼児期前半(1歳~3歳くらい)
幼児期後半(4歳~5歳くらい)
お子さんに当てはまる部分を見てもらえば大丈夫ですが、発達は連続していますので、少し前の部分から見てもらえると良いかもしれません。もし、お時間に余裕があれば、それぞれ通してみて頂くことをオススメします。
それぞれの発達の関わり方のポイントも記載しています!
新生児期(生後1か月まで)
★関わり方のポイント「快」と「不快」を感じるところから
新生児の赤ちゃんの五感は発展途上です。外への刺激に対する理解は弱く、空腹や眠気、排尿などはざっくりと「快」と「不快」ほどの感覚しかありません。
生後1か月頃になると「不快」の種類に応じて、少しずつ泣く種類を使い分けます。生後2か月頃には「快」の気持ちを表情等で表していくようになります。トイレトレーニングの第一歩は「不快」な気持ちを「快」に変えてあげることから始まります。
オムツをこまめに替える、そのときに「気持ちよくなったね~!」と声を掛けます。そのようなやり取りを重ねていくと「おしっこが濡れた状態は”不快”なんだ」と赤ちゃんが学んでいきます。
乳幼児期(~1歳くらいまで)
関わり方のポイント 「イヤ」の背景を受け止めることが大切。
1歳前後くらいになると、段々オムツを交換するのを嫌がる子も出てくるようになります。これは自分がしなければいけないことへの見通しを理解し、意志がしっかりでてきた成長の証拠です。
子どもの中にも色々な感情、意見がでてきています。オムツを替えるのを嫌がり、ネガティブに感じてしまうかもしれませんが、成長と捉えましょう。
「なんでオムツを替えるのが嫌なのかな?」と考えていくようにしましょう。子どもなりに理由があることを考えたり、「嫌なんだね~」と子どもの気持ちに共感することが大切です。
とはいえ、オムツを替えなければ衛生的によくありません。「オシリ痛くなっちゃうよ」「待ってるからね~!」など、理由を伝えながら、自分から交換しようとするタイミングを待ってみましょう。
ここで、少し待ってあげると「自分の想いを理解してくれた」と子どもは感じます。そうなると自分の気持ちに折り合いをつけれるようになったり、信頼に答えようとしてくれます。時間に余裕がある際は取り組んでみましょう。
幼児期前半(1歳~3歳くらい)
関わり方のポイント トイレをポジティブな行為にしましょう
このぐらいの時期になると、膀胱容量も増え、尿意を知覚する力も発達します。つまり、子ども自身が排泄の意志を伝えることができるようにもなります。
意志を伝えるのが難しくても、もじもじしたり、落ち着きがなくなるなど、排泄のサインを大人がつかめるようになるのもこの時期です。
排泄排泄の間隔もおよそ一定になるので、排泄のサインや活動の区切りなど、その子の間隔に合わせてトイレに誘い、トイレで出来ると気持ちいい感覚を増やしていきましょう。
トイレトレーニングをしていると、必ずと言っていいほど、子どもがトイレに行くのを嫌がる時期がきます。そのような時は無理強いせず、子どもの機嫌に応じて誘ってみたり、トイレを楽しい空間にする工夫などをしてみると良いでしょう。
トイレに何も楽しみがないと、子どもも嫌になる時があります。そんな時に「〇〇に会いに行こうよ!」と誘うと、トイレに向かう動機の1つになるのです。子どもが今ハマっているものなどをトイレ付近の空間に設置して、誘ってみるとよいかもしれません。
トイレに玩具を持っていくのはOK?
よく、「トイレにおもちゃを持って行ってしまうんです…」というお悩みをお聞きします。おもちゃをトイレに持っていくのは、お互いが気持ちよくトイレに向かえるのであれば、個人的には全然OKです。
衛生的に持ち込むと汚れてしまうので「ここに置いておこうね」と誘い、トイレはトイレで集中しても良いと思います。はじめはおもちゃを持って…次第におもちゃを置いて…と少しずつステップアップしていけば良いのです。まずはトイレが嫌いにならないこと、これが一番大切です。
幼児期後半(4~5歳)
関わり方のポイント① 時間でおしっこを管理しないこと
この時に気を付けるべきポイントとして「時間で管理しすぎないこと」です。
3~5歳になってくると、膀胱容量や大脳皮質の発達も進み、尿意を感じてもトイレまで出さないように我慢できるなど、排尿を自分の意志でコントロールできるようになっていきます。
先ほども書いたように、この時期ではもう自分で尿をためることができ、尿意を感じる事も出来ます。つまり、自分でコントロールしていく事が大切になってくるのです。大人が時間で管理すれば、失敗は少なくなるでしょう。
しかし、自分で尿意を感じてトイレに行く、という事を判断していかないと、結果的に自分でコントロールできなくなり、自立が遅れる可能性があります。多少の失敗は大丈夫です。失敗しても叱るようなことはせず、「次はトイレいこうね!」など子どもの気持ちを受け止める声掛けをしてあげてください。
関わり方のポイント② それぞれの性別に合った便器を使用し始めましょう。
男の子は小便器を使う事もあるので、立って排泄をする練習もしていきましょう。はじめは下半身の衣服を全て脱衣しておしっこをする所から始め、少しずつ半分にする、下着の上や裾から出す…といったように段階を踏んで練習していきましょう。これらも絵本を一緒に読みながら、少しずつやり方を伝えていくと良いと思います。
女の子はペーパーの使用もはじめていきましょう。女の子は洋式、和式のトイレを使用するようになっています。最近は和式のトイレは減ってきましたが、使い方は一緒に確認すると良いでしょう。
また、女の子は感染症を防ぐ意味でも、ペーパーを使用していきます。使う意味や分量など、一緒に話しながら伝えていくようにしましょう。
関わり方のポイント③ 清潔習慣は大人が伝える
その子の清潔習慣は家庭の色がよく出る、と言われています。子どもには衛生観念を理解するのは難しいので、大人を手本としながら、それが当たり前になってきます。
大人が清潔管理をしっかり行い、意味や意図を子どもに伝えていくことが、子どもの清潔習慣に繋がります。目には見えない分、難しいところもありますが、絵本なども活用しながら、根気よく伝えていきましょう。
まとめ
少しでも参考になれば幸いです!
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