子育てで避けるべき2つのウソ

現代の子育てシーンで、一生懸命子供に関わろうとするとかえって子育てを難しくしてしまう関わり方がある。しかも、それは一般にごく当たり前の子育てとして多く行われている。

これはその関わりが不適切であること、またどういう関わりが適切な子供の成長を導けるかを理解しておけば避けることができる。
今回の話は多くの人が気づかないままおちいってしまうこと。そして、それを指摘する人も多くないことなのでぜひ読んで欲しい。

(今回、約1万5千字と少々長いのでお時間のあるときにでもどうぞ。講演だとガッツリ2時間の講演2本分くらい)

(普段のブログはこちら

◆この記事はこんな人におすすめ

・子育てに不安が大きい
・マジメな人(子育てにはマジメさゆえの難しさが起きる)
・子供との関わり方がよくわからない
・子供と一緒にいることがしんどい
・怒ってばかりになってしまう
・子育てする男性
・夫の子供への関わり方が心配
・子供との関係がうまくとれない

<章立て>
1,子供を動かすために無意識に出る言葉の中に隠れているもの
◆ケース1
◆ケース2
◆適切な関わり方
◆「子供の行動を作る」から「子供を伸ばす」へ
◆子供の行動のコントロールがもたらす、親子の不安定な関係性
◆モラハラ子育て、意地悪子育てに注意 
ー我が子をいじめっ子にしないためにー

2,大人が子育ての日々の中で無意識に自分につくウソ
◆「泣かせてはならない」が生む、葛藤の剥奪
◆事実の提示 子供に考えさせるアプローチ
◆信頼感のある大人に寄り添おうとする子供の心の動き

3,応用編 「園への行き渋り」の対応
◆心の過保護に気づこう
◆具体的アプローチ

4,おわりに


ウソをつくのは良くないと考える人は多い。
しかし、子育てでは、大人の側が知らず知らずにたくさんのウソをもちいてしまう。

その大人に悪気があるわけではない。
そもそも、ウソをついているという自覚すら大人の側にないことがほとんどだ。気づいていないだけに場合によっては、そのネガティブな影響はとても大きくなることがある。

子供が大人の言葉に耳を貸さなくなったり、いつもイライラをぶつけてきたり、友達に意地悪な言葉を言うようになってしまったり。
こういったことが、子供との関わり方の適切な知識が大人の側にないばかりに起こってしまう。

場合によっては、こうしたことが積み重なって、子供と過ごす時間が辛いものになったり、子育てそのものが人生の重荷になってしまうことも。
あるとき、我が子がとても意地悪な言葉を言うようになっていて愕然とするなどというケースもある。

子育ては安定しておくっていくことができれば、とても人生を豊かにしてくれる。しかし、その逆もある。
だからこそ、子育てを大変なものにしてしまう前に、このことについて気づいておいて欲しい。


2つのウソとは、

1,子供を動かすために無意識に出る言葉の中に隠れているもの

2,大人が子育ての日々の中で無意識に自分につくウソ

これらの2つのウソは、すでに現在の子育ての当たり前になってしまっており、その存在に気がつくことすら難しくなっている。
むしろ、一般的な子育て観や、「しつけ」という子育てのメソッドは、大人にこれらのウソをつくように求めてくる。
だから、より避けがたい。
これらが積み重なると、子育てそのものがたち行かなくなってしまうこともあるので、ここでそれに対する気づきを持つことで避けて欲しいと思う。

では、1,から順に具体的に見ていこう。



1,子供を動かすために無意識に出る言葉の中に隠れているもの

例:

「置いていくよ」
「言うこと聴かないともう帰るぞ」
「そんなことしているとオニが来るよ」
「そんなことしていると、~~さん(お父さん、お巡りさん、お店の人など)に怒られるよ」
「○○しないと、△△してあげないよ」
「○○したら、△△してあげる」
「(保育園幼稚園に行き渋る子に)○○ちゃんが待っているよ」


◆ケース1

1歳児。母親と散歩中。道沿いにあったお店のスロープを登っていこうとする。
それに対して、母親が「置いていくわよ」と言う。

「~~しないと置いていく」
この種の言葉は、あまりに一般的に子育ての中で使われている。
しかし、ここにウソがあるのがおわかりいただけるだろうか。

・ウソ  置いていく
・事実  私が困る or 急いでいる or 遊ぶところでない or 危険がある


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保育士おとーちゃんこと須賀義一です。 保育や子育てについて考えたことを書いています。