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水あそびしているみたいにみえるかもしれないけれど。


保育関連の記事の場合には、個人の特定につながらないように配慮して書かせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。



夏になると子どもたちがだーいすきな水あそびが始まります。

乳児クラスは水あそび&泥あそび、幼児クラスは園庭に大きなプールを広げて、ダイナミックに遊びます。どの学年の子どもたちも笑顔いっぱい、保育園に笑い声があふれます。



水あそび。
実は室内でもできちゃうんです。

なんとなく…察しがついた方もいらっしゃるかもしれませんが。

1歳児クラスや2歳児クラスの保育室。
室内で水がある場所といえば、トイレや手洗いスペース(洗面所)です。
特に手洗いスペースは子どもたちにとって、とても楽しい場所。

大人にはどうしても…水あそびしている(完全に遊んでいる)ように見えてしまうのですが…笑
子どもたちからしたら、もちろんそんなつもりは一切ありません。(…ないと申しております。)


1歳児クラスの手洗いスペースは、わりとコンパクトで、保育士が一緒に洗ってあげることができるような設計になっています。

もちろん子ども用の高さになっていますので、子どもたちはちょっとした隙を狙って、水道のレバーを思いっきり上に上げて噴射!してみたり…
蛇口を手で押さえてピュー!と遠くへ水を飛ばしてみたり。(どうして、あんなにキレイに水が飛んでいくのでしょうか?)

好奇心旺盛な子どもたちの水との触れ合いは止まることはありません。


***

2歳児クラスになると、手洗いスペースはお兄さん・お姉さんクラスのような「自分で」手洗い・うがい等がしやすいようなタイプになります。

少し個室感もありますので(もちろん保育士からはきちんと見えるようになっています)、子どもたちにとってはより一層楽しい場所になります。

なにしてあそぼうかなぁー。

子どもたちのワクワクがあふれています。


2歳児クラスの手洗いスペースももちろん、子どもたちの高さに合わせてつくられています。
シンクは広めで、蛇口はいくつもあります。レバーを上にポンっと押しあげるとジャーー!!と出てくるたくさんの水。
押すと出てくるふわふわの泡。(手洗いしやすいように泡ハンドソープが用意してあります。)

もう あそぶしかない!

そんな子どもたちの声が聞こえてくるようです。(いやいや、別に遊ばなくて良いのよ。)


でも、そこは2歳児クラスの子どもたち。1歳児クラスとは違います。(子どもたちにとっては、0歳児クラスと1歳児クラスは赤ちゃんクラスで、自分たちはお兄さん・お姉さんクラス、という認識です。)

ちゃーんと考えているのです。


***

保育士は、手洗いスペースが見える位置から様子をみていますが子どもたちからするとあまり見られている感覚はないようです。
基本的に、手洗いスペースを出てすぐのところにあるタオルスペースで、手拭きの様子と合わせて中の様子を見守っています。


「子どもたちの好奇心に寄り添う」という園の方針もあり、まずは簡単に手洗い・うがいのルールを伝え、あとは子どもたちに任せます。

集団生活の中でのルールもありますので、対応のバランスが難しいところでもありますが、わたしの個人的な想いとしては「ま、まずは好きなようにどうぞ」という気持ちでいます。

その上で、どうしたら良いかな?ということを子どもたちと考えられたら良いなと思っています。


もちろん、そんなにスムーズにうまくいくわけではありません。

最初に手洗いスペースの使い方、手洗い・うがいの仕方を伝え、その際に「遊んではダメだよ」と言ってしまえば良いのかもしれません。(もちろん、流れとして少しは伝えます)
でも、子どもたちからしたら「どうしてあそんだらいけないの?」の気持ちがモヤモヤ残ります。

なにより、最初からあれこれ「ダメ」と言われたら全然楽しくないし面白くないし、つまらない。

そして、ダメといわれたらより一層どんどんやりたくなっちゃうお年頃。

それならば…ということで、いろいろやってもらって納得した上で、1年かけて、子どもたちとやり取りを重ねて、ルールを作り上げていくようなイメージです。
(こちらの予想をはるかに超える「いろいろ」があり毎回驚きますが。笑)


そんな子どもたちですが、手洗い・うがい等が終わり(この時点で遊んでいる様子も把握しています)、手拭きスペースにくるとき、子どもたちなりにいろいろ「自分なりの言い分」を考えているようで、それがひたすら面白くて可愛いのです。

もちろん場合によっては、こちらはきちんと子どもたちにお話しなくてはいけない時もありますが、思わず笑ってしまいそうになるほど。


***

お給食前の手洗い・うがいの様子です。

ケース① 袖が突然勝手に下がってくる。

春。進級したばかりの頃はロンTの子どもも多いので、手洗いの前に「袖をまくる」ことを伝えます。

「しっかりぎゅーっとしないとぬれちゃうよ。」

子どもは、手のひらを洗い、手首を洗い、そのまま上まで洗い…さりげなーく袖を引っ張りながら一緒に洗い、水で流します。
この時点でもちろん袖がびちょびちょ。
ポタポタ…手拭きスペースにやってきます。

「おそでが きゅうに さがってきちゃったよぉ」(困り顔)

「そっかぁ。びちょびちょだね。」

「こんどは ぎゅーぎゅーぎゅーってするね」(勝手に袖が下がってこないようにしっかりまくるね、という意味かしら)


何もしてないのに勝手に袖が下がってきてしまったようです。それは、大変です。

お給食の前に一回お着替え。
その間にびちょびちょの袖を絞ります。
それが面白くて笑いながら着替えている子どもの姿が可愛くて、こちらも思わず笑ってしまいます。


ケース② 水質調査。

なんだか、全体的にびちょびちょでタオルスペースへ。手洗いしながらワイワイ盛り上がって遊んでいました。

「おみず だいじょうぶかなぁーとおもって」

「保育園のお水、大丈夫かな?ってみてくれたということ?」

「うん!」(ドヤ顔)

「ありがとうね。それでびちょびちょになっちゃったのね。」

「そうなの…」(困り顔)


『2歳児クラス専属水質調査員』のおかげで保育園の水質は常に安全に保たれております。


ケース③ お洗濯。

「よごれちゃったから、おててあらうときにいっしょにあらったの。ママよろこぶかなぁーとおもって。」


ママ よろこぶかなとおもって。
もうこれを言われたら何も言えません。ママのためにお洗濯してくれたようです。

あまりにびちょびちょなので、お給食の前に一回お着替え。(きっとこの後お給食の後にもう一度お着替えすることになるはず…。お母様、お洗濯増えちゃいました。ごめんなさい。)


ケース④ 暑い!

「あついから」
「あせ かいちゃったから」

「それで、顔やらお腹やら…いろいろびちょびちょなのね。」


シンプルイズザベスト。
暑いから、頭や顔を洗ったようです。もちろんそんなにまだうまくは洗えませんので、全体的にびちょびちょ。

頭もふいて、お風呂あがりのような雰囲気で、さっぱりスッキリ!でお給食を食べます。


***

さまざまなケースがある中で、子どもたち皆に共通していることは、「水あそびしているみたいにみえるかもしれないけれど、水あそびなんかしてないですよ」という顔をしていること。

この表情がとにかく可愛い。
どうしてあんなに良い表情ができるのでしょうか。しれっとした表情には思わず笑ってしまいます。


手洗いスペースで水あそびをすることは良いことではないかもしれません。

でも、個々それぞれ「びちょびちょはいけないこと」という認識があり、でも「水あそびしたい!」という好奇心が勝った結果…さて、どうしようかな?と考えているところがすごいなぁと思います。

もちろん、保育士として子どもたちに伝えなくてはいけないこともあります。
状況によっては、手を止めなくてはいけないこともあります。

でも、子どもたちはちゃんと自分で考えています。自分で考えたことをまず尊重してあげたいなと思いながら・・・・・・床拭きタオルで手洗いスペースの床拭きをします。


***

手洗いスペースは、春になり進級とともに徐々に盛り上がりはじめます。夏は繁忙期です。
秋頃になると、ちびっこ先生たちの「手洗い指導」がはじまります。保育士へのご報告もしっかり詳細。手洗いスペースが穏やかになりはじめます。

冬になると、手洗いスペースは手洗いスペースになります。
手洗いスペースは手洗い・うがい等をする場所。

子どもたちの成長が嬉しいのはもちろんのことですが、やはりちょっとだけ寂しかったりもします。
もう床拭きタオルは必要なくなります。


***

2歳児クラスの子どもたちは、お誕生日を迎えると3歳になります。

いろいろなことができるようになる年齢でもありますが、3歳はちょうど狭間の年齢かなと思っています。


いよいよ来年度は3歳児クラス。(幼稚園での年少さんの学年です)
お兄さんお姉さんにとても憧れる時期です。


「もう3歳」
もう3歳のお兄さん・お姉さん、すごいねぇ。かっこいいねぇ。そんなこともできちゃうの?すごい!!
そう言われると、嬉しくてニヤニヤ。なんでもできちゃいます。


「まだ3歳」
でもまだまだ3歳。赤ちゃんみたいなちびっこちゃんになりたいときもあります。
抱っこもおんぶもしてほしい。お着替えをしてほしい。ごはんを食べさせてほしい。


いったりきたり。ゆらゆら揺れながら、一人一人、自分のペースで一歩ずつ進んでいきます。

子どもたちの成長を喜びながら、それを大きく喜びすぎでしまわないようにしています。「すごいね!」がプレッシャーにならないように。


「もう3歳」になったり「まだ3歳」になったり。いつでも、いったりきたりできるように。個々それぞれの揺らぎを見守りながら、日々子どもたちと関わっています。



***

「せんせー!Fくんが みず びちょびちょしたー」

FくんとGちゃんが大笑いしています。


「どうしたの?!?」

「ぼくが、ぐちゅぐちゅぺぇー!しようとしたら、Gちゃんが へんがおしたんだよぉー」

「ちがうよぉー!!Fくんが さきにへんがおしたんだよぉー」

「2人で変顔して笑っちゃって、びちょびちょになっちゃったのね」

「そう!!」
…と言いながら、もう笑いが止まらない。
完全に笑いのツボにハマってしまったご様子。

楽しそうでなにより。
この勢いで、水かけ合戦がはじまらないのは成長の証。
でも、大笑いながらちょっとコップの水で遊んでいたのを知っています。


ゆらゆら揺れながら、ふと…やっぱり遊びたい気持ちになっちゃうお年頃。
まだまだしばらく床拭きタオルにはお世話になりそうです。

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