ことばでしか感情を発散できない種族

路上ライブで、全身全霊をかけて歌う彼を
横目に見ながら素通りする私の胸に在るのは
ただの嫉妬。

あんなふうに。
全身で感情を出せたら幸せだろうな。
そんなことすら、
ことばでしか出てこない。

声にすれば、違ってしまうの。
態度にすれば、白々しくなるの。

音を持つようで、
実は持たない、
聞こえも見えもせぬ
私の内部で生まれ、
死んでゆくことばたちよ。

なんと孤独なことばたち。

せめて、
嗤いながら死んでくれ。
ことばでしか感情を発散できない私を。

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