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バルセロナで同窓会

1980年 ちょっと長めの新婚旅行の最中 いろんな国で 大学時代の先輩や 同級生に 何度か 遭遇しました コロナの今から 振り返ると そんなことまで 奇跡のように 思えてしまいますが 当時は たくさんの若者が ツアーではなく 自分の荷物を 自分で背負って 自由に 世界を 歩き回り始めた黎明期だったのです

我々夫婦は 作風は 全然違いますが どちらも画家なので スペインは まさに 見てみたいものの宝庫 どの都市に 行っても 見たい美術館や 場所が ありすぎて 連日 足は 棒になりました

中でも バルセロナでは 同級生が 建設中の教会で 彫刻の仕事をしているらしいと 聞いていたので 彼を 訪ねてみました

S君は 大学一年生の時 同じクラスで いかにもアーチスト志望な立ち居振る舞いのクラスメートたちの中にあって あなたは なんで芸大を選んだの?感に 溢れていて わたしの目には 異色な存在に 見えていました 坊主頭に 無造作にタオルを巻いて こてこての九州弁で ラグビー部で… およそ ありがちな芸大生像とは かけ離れていたのです

我々より 少し早い時期から ヨーロッパを放浪していた彼は その教会に「仕事を させてくれ」と 売り込んで 採用されたらしく 当時は「お試し期間中」のようでした 植物をモチーフにした 大きな石の彫刻を 一生懸命に 彫っていて 仕事場も 見せてもらいましたが わ〜 こんな 異国の地で 一人 スペイン語 しゃべりながら がんばってるんやなあと まるで 彼の お母さんみたいな気持ちになってしまって 泣きそうになりました

教会の内部の 工事用に設置されたエレベーターに 乗せてくれて かなり 上の方まで 見学させてもらいましたが 建物自体も なんだか 生き物みたいな 植物みたいな 有機的な 構造で それは 言葉を 変えると 頼りないというか がっちりした建造物という感じではないので 高みに登るほど ちょっと 恐怖を 感じてしまいました

「これ いつ 完成するん?」と聞くと S君は「俺たちが 生きてる間には 完成しないかもな」と 笑っていました

大学では スペイン語を 勉強していないはずなのに 教会のスタッフと 流暢なスペイン語で 会話していたことにも びっくりしました 

その後 S君は 教会の建設の中心的メンバーとなり 今では 教会を 紹介するテレビの番組の画面の上で 度々 再会できるようになりました

我々と同じだけ 年齢を重ねているはずなのに 現在のS君からは 今も バルセロナで 再会した1980年当時と 変わらない まっすぐな情熱を 感じます

それと テレビで見るS君は とっても おしゃれになっていて それは たぶん 奥さまの影響じゃないかなと 思っています

だって… 坊主頭に タオル 巻いてた人が いくら 長いこと スペインで 暮らしてるからって あんなに ダンディに スタイリッシュに 自力で なれるものでしょうか?!

同級生というものは いくつになっても こんな風に 平気で 辛口のコメントを 発するものですね… ごめんなさい

S君 教会の 完成は 近づいた?

元気で がんばってくださいね 同級生一同 いつも 応援しています




写真は ガウディの作った かわいらしい グエル公園

いつまでも 座っていたい タイルのベンチでした 


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