退職して博士後期課程に進学した社会人3年目のアラサー女の話

アドベントカレンダー16日目の記事です。2時間程過ぎてしまいました。ごめんなさい。

身バレもあるので,フィクションとノンフィクションを混ぜて記します
恥ずかしいので自分が誰だか分かった方は連絡してください

1. 自己紹介

簡単に自己紹介しておきます
・平成初期生まれのアラサー女
・元都内メーカ勤務(技術系総合職)

人となりやその他については他記事を読んでどんな人間か想像していただけると嬉しいです

2. 進学検討から退職までのスケジュール

簡単に表にしてまとめました

表にあるとおり,自分は新卒入社した会社を2年3ヶ月で退職し,博士課程に進学しています。今の教授とコンタクトをとって,一週間ぐらいで「まあいっか」って感じで決めました。

3. 研究室配属から修士修了まで

この頃については既に記事にしてあります

4. 進学を前向きに考え始めたきっかけ

自分が博士課程進学を検討した理由は大きく分けて3つ。

①職場の上司のすすめ
70歳オーバーでシニア雇用の"おじいちゃん"の言葉。

「エンジニアならドクターを持っていたほうがいい」

自分は,この70歳前後の優秀なエンジニアの先輩方と入社8年目の先輩と仕事をしていました。そこで,あるときからこのような言葉を掛けられ,一緒に仕事をしていた入社8年目の先輩も社会人博士として進学することを知りました。それを聞いて,漠然と"博士課程進学"を考えるようになります。

②海外企業との打ち合わせでのPhDの存在感
1年目の冬,初めて海外企業が出席する会議に呼ばれました。会議中はもちろん英語。会議が終わったら議事録を作成しなければならないので,とにかく必死。会議の内容を理解しようと,話し手や聞き手の様子を見るとあることに気づきました。

"会議を回しているのは全員PhDじゃないか???"

院卒1年目。明らかにベテランの人たちに連れられてきた"エンジニア"と名乗る若手の女性。何もできない自分。見た目通りのただのペーペー。悔しい。

③『専門家』が求められる世界
自分が担当していた案件では多方面から技術的なアドバイスを求める場が設けられていました。そこではよくこう言われました。

"あなた達にこの分野の専門家いないでしょ?専門家を連れてきてください"

PhDが全てではないにしろ,話を聞いてもらうためには必要な場面もあるんだと実感しました。

5. ライフプラン

誰しも一度は考えるライフプラン。自分も例外なく,博士課程進学によるライフプランへの影響を考えました。

20代の内に結婚して子供は1人ほしい,30代になったら子供1人と産休育休使って,40代になってもバリバリ働きたい。

じゃあ博士課程をここに組み込むとどうなるか。

20代で進学したら婚期はどうなる?
20代で結婚できたとして30代子持ちで,研究と子育てと仕事を両立?
40代でプライベートが落ち着いてから博士課程で進学?

自分が出した結論は進学するなら今。理由は出産後に,自分が考えているような研究スタイルはできないと思ったから。自分の研究は実験がハードで,1週間~1ヶ月ぐらいは余裕で徹夜したり,夜遅くまで計測したりします。さらに,出産前後はホルモンバランスが崩れて,集中力や体力がもたず,オーバードクターする体験記も読みました。オーバー前提で進学は考えられなかったので,自由な独身のうちに進学しようと決めました。周りはどんどん結婚していって,焦りがないかといえば嘘になるけどね!!!

学生結婚は来る人はしたらいいと思う。
パートナーのいない独身だから,退職して関東から関西に引っ越して博士課程進学できたと思っている。この状況を許容して,笑顔で「頑張って~」って言える人いるんか。

6. 博士課程から専攻変更と前所属の教授への挨拶

自分の場合,修士までは土建系で,博士課程の今は機械専攻にいます。博士課程から大学を変えることも希だと思うのですが,専攻まで変える人はめったにいないのでは?

博士課程から今の大学を選んだ大きな理由は2つ(今ぱっと浮かんだもの)
学ぶ環境を変えたかったし,居住地に拘りはなかった
・自分の手で"モノづくり"をしてみたかった

所属していた研究室は職場からも当時住んでいた場所からも電車で30分程度,大学入学から卒業して社会人になったあともずっと似たような環境でした。関東に拘る理由も無いし,環境に飽きたなと。

"モノづくり"については,今の研究室と前の研究室で教授の方針が違ったので,今の研究室の取り組みに興味があったんです。

前の研究室
『効率重視。外注できるものは外注して,実験や計算に時間をかける』

今の研究室
『時間がかかっても極力自分たちの手で作る』

どっちが良いとか悪いとかではなく,"自分の手でモノづくりをする"ということがやってみたかった。

前の研究室は,模型は自分で設計したら製作は外注して,実験に時間をかけていました。だから,実験に関する知識は身についたと思っています。

今の研究室は,模型の設計から材料調達,製作まで全部自分でやります。前の研究室に比べたら,実験を始めるまでに相当な時間が掛っています。

今は,この選択は間違っていなかったなと思っています。今の研究室にきて,自分は機械工作について学べて,実験についても一緒に考えてあげることもできる。専攻を変えて良かった。

専攻を変えたことにより,前所属の教授には大変失礼なことをしてしまったと思っています。進学先を変えることは,今の教授から連絡してもらいました。共同研究をしていたぐらいなので,教授同士の仲が良かったことが救いでした。後日,直接,話に行き,居酒屋で飲んでいたら,言われました。

「丁稚奉公行かせたら行ったきり帰ってなっくなった」

すみません・・・。

7. 退職してD進した理由

先述しているのですが,一番の理由は"担当事業から撤退"。次の配属先も決まっていて,面白い仕事だとは思います。自分が特別惹かれなかっただけで。そもそも,自分は再生可能エネルギーがやりたくて入社したのに,入社2年目で事業撤退。聞いたときは絶望しました。

事業撤退が決まってから,再エネに積極的に取り組んでいる企業にコンタクトをとって,博士課程進学を視野に入れていることを伝えながら,継続か,転職か,進学一本か悩みました。転職相談した先では「女性で学歴求めても・・・。うちだったら,若い内は現場で経験積んで,その後に博士課程を考えてほしい。」と,伝えられたときもあります。"本当に女性が不利に働く瞬間ってあるんだな"って思いました。もちろん,サポートしてくれる企業もありました。

そこから悩んで,退職して進学すると決意。働きながらの研究は確実に自分のキャパオーバー。業務と一緒ならやれると思っていたけど,業務と違うなら絶対に無理。当時は"お金はなんとかなるだろう"程度。

そんなこんなで退職に向けて準備を始めました。

8. 在宅勤務中と退職後のスケジュール

今回,進学したタイミングがコロナで世の中がわちゃわちゃしていた時期でした。前職も2月頃から在宅勤務の体制を整え始めて,4月から一斉在宅勤務になりました。こういうところスーパーホワイト企業だと思う。時差出勤はフレックス制が導入されていたので,特に問題なく。というか,いつも時差出勤して空いていたのに,コロナのせいで遅い時間が混むとかいう状況・・・。

在宅勤務なので,基本は社員寮の自室に籠もって作業をし,たまにZoomでミーティング。定時に仕事を終えてから,そのまま研究に取り組めたりと,仕事を両立している社会人博士にとって在宅勤務は良い環境なのでは。

在職中と今のスケジュールをまとめてみました。

在職中は完全週休2日制,取得しやすい有休消化,フレックス制というホワイトな職場。退職後は12時間作業というスーパーブラック。休日も休み時間も自分で決められるのが院生の良いところ。12月に入ってから丸一日休んだことないけど。実験中に関しては狂ってる。

9. 一年目の支出

お金についてまとめました。割と赤裸々。賞与はガチです。あるだけマシと思うべきか。年2回なので,1回1.3ヶ月分とかです。前職については,給与以外は不満なかったです。職場も良い人たちに恵まれて,福利厚生もちゃんとしてて,仕事も大好きでした。事業撤退さえなければ,退職することはなかったと思います。

ここには書いていないのですが,夏頃に甲状腺がんが見つかったので,医療費として合計20万円ぐらいぶっ飛んでいますし,引越し代とかもかかっています。奨学金と知人からの仕事や学内アルバイトでなんとかなっている(なんとかしている)感じです。

授業料全額免除が大きく,これを払うことになったらやばい。一応,授業料分は常に確保している状態ですが,しんどくなったらそのとき考えます。

年金は学生特例は考えた結果,申請しませんでした。大学生のときに既に学生特例を使っていて,未払い分が100万円ぐらいあった気がしたので。働いてから,学生特例の期間分を払うかどうかの葉書がきたような・・・。とりあえず今年度は支払って,来年度はまた考えようと思い,一括で13万円支払いました。(このときは住民税の存在に気付いていなかった。)

国民保険は無職の証明を持って役所で手続きしました。退職後2年間は社会保険に加入できるようで,会社から案内がありましたが,月3万円近くしたので辞めました。

住民税・・・。9月に請求書が来て驚愕。払わなきゃいけないので支払い。これも申請すれば2年ぐらい先延ばしにできるようでしたが,2年後には払わなきゃけないし,2年後も学生だしって思って支払いました。えぐい。

10. 最後に

noteを始めたきっかけは,同じように"社会人になってから博士課程に進学する人に向けて経験談をまとめておこう"と思ったからです。自分も博士課程に進学するにあたって,ネットでかなり調べました。調べても全然ないんですよね,退職して博士課程進学している女性って。海外ならいるかもしれない。日本じゃ厳しいのかな。

社会人として,民間に所属したのはたったの2年間だったけど,2年間働いてから大学院に戻ってきて自分にとっては良かったと思っています。民間で働くということ,博士卒の社会での扱い,人脈・・・。自分で悩んでだした結論だから,モチベーションも違う。

そして,職場の方々に出会えなかったら,"大学で研究はもうやりたくないーーーー!"で,博士課程進学はしていなかったと思います。退職するときには,背中を押してもらって,退職した後も気に掛けていたただいて。本当に人に恵まれました。前職の職場の方々には感謝しかないです。本当に有り難うございました。

この記事が悩んでいる誰かの参考になっていたら嬉しいです。
冒頭にも記しましたが,知り合いが見ていたら連絡してください!!!恥ずかしい!!次飲むとき,ネタにしてください

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