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久しぶりに最高のアニメOPを見た

皆様、着せ恋見てますでしょうか?

TwitterのTLが海夢で埋まりまくって神作画だなんだと騒がれておりますが
あまり話題に上がっていない平家物語も名作なので是非見てね。

さてもうお気付きでしょうが今回紹介したいOPはこちら

明日ちゃんのセーラー服です。

今期のCloverWorksはマジでエグい
近いうちに記事にしたい所存。


というわけで久しぶりに衝撃を受けた明日ちゃんのセーラー服OPについて語ります。


そもそも良いOPとは。

端的に言えばそのアニメを1分30秒で説明できている事。

物語の空気感。悲劇なのか喜劇なのかその物語の色(雰囲気)の説明
そのアニメで何を表現したいのか。それらを伝えるためのアイデアが落とし込まれているか。

このあたりが直感的に伝わるものは大抵良いOPだと勝手に思っています。



1.曲がいい

今回OP曲を担当したのは乃木坂46等に楽曲提供している杉山勝彦さん。

アイドルグループに疎いので僕の偏見で語ると乃木坂46のようなアイドルは”学生”や”青春”が核になっているように思います。

明日ちゃんもまさに”学生”や”青春”がテーマになっているので得意としている部分が合致しています。

OPを構成する要素は画面と音。
この二つの音の部分を担当するのは基本的には曲のみになります。

なのでOPのイメージを作る最大の要素の一つが曲になります。

杉山さんの曲によって”音”という情報から青春っぽさとか女学生の清涼感みたいなのを感じる。

簡潔に言うと発注している人選に確固たるビジョンとディレクションを感じ、しっかりとそれを反映できているってことですね。

この曲実は福元幹が歌っている曲を1年3組の生徒たちがカバーしたという体でOPになっています。

そしてよく聞いていると福元幹が歌うと学生のシンプルなラブソングなのだが、1年3組として歌うとクラスメイト達が小路に抱いている感情になっているという天才が過ぎるギミックになっています。天才です。

是非両方聞いてね。


2.画がいい


まあ画面と音とか言ってるんでもう一つの画面のメインになる作画が良くないわけがない。

本編を見ればわかりますが髪の表現や服の動きの表現等フェチズムを通り越して執念を感じるレベルの作画でニッコニコになりました。

上のgifだけでも服、髪の靡き、瞼を動かしている表情の機微がサラッと盛り込まれていて最高の一言。

今回、アニメ明日ちゃんのセーラー服のキャラデザ・総作監をしている河野恵美さんはこういった髪や服などの柔らかい表現が抜群に上手いのでキャラやモーションが活き活きとして見えて最高です。

是非注目してください。
最後の方に関連動画置いときます。


小道具のディティールも凄く細かくてリアリティを感じさせてくれます。

机の面の部分どころか縁の木目まで再現するのは並々ならぬこだわりを感じる。

この場面も机のツルツルした木の材質と教壇の台座、壁の木のままのザラザラとした材質の描き分け。
よく見ると机の中の空間を感じる表現等たった数秒のコマでも手を抜かない細かさ。

このカットではワックスを塗った体育館にキャラクターが反射し、寝転んだ二人の髪が床に流れる事で直感的にキャラクターが体育館にいる事をよりリアルに感じる。

この背景という舞台とキャラクターが自然に同化しているので物語の学生生活の空気感をまるで実写のビデオで見ているかの如くリアルに感じることができる。


3.クレジット表記が上手い


アニメのOPの重要な役割の一つとしてあるのが制作スタッフのクレジット表記。

上で画面と音という話をしたがもう一つだけ細かくすると
画面はアニメーションとクレジット表記になる。

実はこのクレジット表記の仕方ってけっこう大事で工夫が一番感じられるところ。

と言うのもクレジットの表記って基本的に文字なので、普通に組み合わせるだけだとアニメーションの上に被せる事になるので最悪に相性悪いんですよね。

おそらくオープニングを見ている最中に普通の人であれば映像に注目すると思うので、「クレジット邪魔だなぁ」と思うはず。

なのでこの表記しなければいけないクレジットをどれだけ映像と調和させるかが一つの鍵となる。

例えば、ゆるキャン△のように映像の一部としてクレジットを表記するという工夫があります。

この手法はサーバント×サービスが一番上手いと思っていて、舞台になっている市役所の中にあるものにクレジットを散りばめる工夫は天才のそれ。


明日ちゃんのセーラー服では比較的よく見る余白を使って調和を図っています。
画面上に意図的にアニメーションしない部分を作ってそこにクレジットを載せるやり方。

余白の使い方とクレジットの出すタイミングが上手いので映像と上手く調和してクレジットも映像もどちらも見やすくなっています。

上手く分離しているからクレジットもモーションも見やすい


クレジットがモーションに思いっきり被って邪魔


もう一つ注目してほしいのは使用されているフォント

このOPではNoto Serif JPが使われていて、
このフォントを縦書きする事によって活字を意識させ、より学校の物語である事を意識させてくれます。

また、この物語の舞台である蝋梅学園は名門私立であるため格式の高さが伺える。
格式高いが故のかっちりした印象を植え付けるためにもpop体のようなふわっとしたフォントではなくNoto Serif JPが選ばれたのかなと思っています。


4.結局は構成


そう。どれだけ良い素材があろうとも結局は構成の良さが全てを左右するわけ。


このOPには2つの”静と動”が盛り込まれている。

一つは明日小路の静と動

明日ちゃんのセーラー服を1分30秒のOPでどう説明するのかという問題に対して、明日小路という女の子の魅力を伝えるというアプローチをしています。

具体的には小路の明るくて活発な可愛らしい子供っぽい面とふとした時に表れるお淑やかで凛々しいドキッとするような美しい大人っぽい面が上手く表現されている。


もう一つはOP全体の静と動

OP全体では静止画と動画を交互に挟む構成になっています。
静止画と動画を交互に挟むことによって、ずっと画が動いているよりも動画がより際立つようになります。

なので動いている小路の活発さ、その中で見せるふとした美しさがより際立って見えるようになるという孔明もびっくりな策が込められています。


そしてこのOPにはもう一つ孔明も素っ裸で逃げ出すギミックがあって、

それは全体を通してフル画面使っていないということ
言い換えると意図的に完全な余白を使用している。

これのメリットになる一つがOP全体が卒業アルバムのようになること。

前述しているように焦点を当てているのは学校生活。
なのでこの卒業アルバムのような画面構成にすることで静止画に違和感がなくなるどころかむしろ視聴者が学生生活感を得る上で静止画である事に意味が出てくる。

もう一つは動画(アニメーション)の部分がPVを見ているような感覚になること。

あえて余白を入れる事によりアニメーションがフル画面にするより作られた映像っぽくなる。

そうするとOPの中で動いている小路がPV映像っぽくなるので、小路を福元幹と重ねる事により、小路が福元幹に抱いている感覚を僕らが感じられるようになるという仕組み。

つまり小路は福元幹で僕らは明日小路になる。
なので実質僕は明日小路となる。


この二つを余白をつけるというアイデア一つで成立させて物語も雰囲気も完璧に表現できてるのマジですごい。

こっちだと2人称(自分の)視点っぽい
たぶん余白がなければ上下に画が増えるから尚更そう見える


余白がある方が映像っぽい


おわりに


車の荷台には乗らないようにね。



おまけ


河野さんの原画PV




モーションの作画に目が行きがちだけど背景・小物も相当エグい


ここまできたら当然机の色が違うのも再現


もはや爪切りアニメばりの爪切り作画の気合い


小路は左利き?
(利き手矯正しても基本歯磨きまでは矯正されないので)


学園長の
「昔だけど(セーラー服は)歴としたうちの制服」って良い言葉よな。

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