homeport

北20条にあるもう一つの母校(港)。 tourismusic.station@gmai…

homeport

北20条にあるもう一つの母校(港)。 tourismusic.station@gmail.com

マガジン

  • diary

    homeportの日直日誌。

  • homeport 別邸「かもめ」

    homeportの隠れ家であり読書室兼宿泊所。その選書の記録をつけています。

  • 地元の発見ー定山渓ビューホテルを巡る一考察

    この社会を生きてきたわたしたちにとっての地元「定山渓ビューホテル」を当事者の視点から実践的に考察する試み。

  • ゼミ合宿&観光

    思いつきで、たまに出港(校)します。

  • ルチャ・リブロを読みなおす

    人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」から生み出される一連の著作を、生活の中で時間をかけて、ゆっくりと読みなおす試みです。

最近の記事

homeportの黄金週間

GWは、社会人と呼ばれる存在が観光地を目掛けてやってくる。「普段着の自分」を装っていても、同じ身体の中に社会人は宿っている。homeportは、今のところ、社会との緩衝材的な場所であると考えている。合理的で、肩書が前景化する現代社会と個人の間にhomeportはある。 実際にhomeportは、北大とまちの境界線上に位置している。一昔前なら、前者を非合理性、後者を合理性の極に置くこともできたかもしれない。しかし、現在は、非合理的な大学が内側から合理性に食い破られている

    • +3

      2024.0503-06 選書記録

      • 再生

        流れの中にいると安定する

        第1回の読書会を終えて、自分が力を発揮できる「環境」とは何か。そのことをずっと考えている。これはおそらく、読書会のパートナーである田中伸之輔くんの専門である心理学的な問題でもあるし、彼と出会ったきっかけになった「研究的実践を組みなおす」と題したZINEの中のテーマでもある。 私が大学院時代、ローカルフェス主催者(organizer)研究を通して、辿り着いたキーワードが河野哲也さんの「社会的アフォーダンス」というものだった。個々人の快適な生き方に沿ったアフォーダンスを設計することは、合理的な最適解を環境に埋め込むような、環境管理型権力(東浩紀)の前面化を招くことにつながる。その中で、予測ができない他者や自然を、予測できないものとして分かり合い、そこから事後的にルールが設計され、それは常に改変されていく。まだ読んでいないが「訂正可能性」(東浩紀)的なものとして揺れ動いていく。それが自分が力を発揮できる環境ではないかと考えている。 私は、札幌の中島公園にあるコンサートホール「Kitara」の一室で仕事をしている。その時空間は、まさに構造的な音楽の解釈が求められる静的な時空間であり、「フェス」とは真逆の時空間である(実際は、コンサートホールもフェスも流動的なことは「4分33秒」(ジョン・ケージ)や「ミュージッキング」(クリストファー・スモール)で実証・論証されているが、それはひとまず置いておく)。地下鉄の中島公園駅から、Kitaraに向かう道中、公園内の池は、冬季の間、凍結しており、動きを止めている。それと合わせて公園内の木々や動物も雪に覆われ、息を潜めている。もちろん人間も。  春になると、池の氷は解け、その内側にあった流れが露になる。講演に棲みついているカモやかもめ、アオサギが一斉に活動を始め、人間のカップルも同じようにボートを漕ぎ、池の中を旋回している。この流れを観ているとき、私の心身は落ち着く。一方で、その流れが止まっているかのように見える、仕事場に着き、事務的な仕事をすると、一気に疲れが押し寄せ、文字通り「肩が凝る」。 私の一番の夢は「肩が凝らない」こと。その夢が叶ったらまた次の夢が見えてくる。これは、田中くんの「research note」が、「湖畔の制作室」へと変容したこととも繋がる話だろうか。今度の読書会で聞いてみたい。

        • 社会の歯車

           昨日は仕事終わりに、宮ちゃんと夜桜を観に行った。北大の北18条ロータリーで待ち合わせして、春限定のサッポロクラシックを片手に歩きだした。エルムトンネル上の緑道では、学生たちが踊りの練習をしていたり(時期的にYOSAKOIだろうか)、獣医学部前ではバーベキューをしていたり。その学生たちの群像を横目に、新川へと歩を進める。  途中でマクドナルドに立ち寄る予定にしていたので、初めてモバイルオーダーを活用。あっという間に完成するので、もう少し店に近づいてからがいいと、宮ちゃんから

        homeportの黄金週間

        マガジン

        • diary
          24本
        • homeport 別邸「かもめ」
          1本
        • 地元の発見ー定山渓ビューホテルを巡る一考察
          4本
        • ゼミ合宿&観光
          3本
        • ルチャ・リブロを読みなおす
          2本
        • 朝までhomeport―人生の頂はどこにあるのか
          5本

        記事

          【読書記録】「手づくりのアジール(青木真兵 著)」②

           【読書記録】「手づくりのアジール(青木真兵 著)」①  このマガジンは「ルチャ・リブロを読み直す」と題した読書会の記録と記憶を残す場所である。「ルチャ・リブロ」とは青木真兵さんと青海子さんが営んでいる奈良県東吉野村の人文系私設図書館ことである(青木さんのXの名前は「青木真兵/ルチャ・リブロ」となっており、自分自身が「ルチャ・リブロ」であり、「ルチャ・リブロ」が青木さんでもあるのかもしれない)。  この読書会では、お二人がルチャ・リブロでの生活を通して生み出してきた著作を取

          【読書記録】「手づくりのアジール(青木真兵 著)」②

          ガイドはいらない(だけどいる)

           3月18日の夜。久しぶりに田中君と突発(オンラインで雑談)。5月の熊本ゼミ合宿の話になって、どのようなガイドが望ましいか、合宿に参加する当事者である田中君に相談した。  観光客的な出迎えをすればよいか、小学2年~高校3年まで私自身がどう熊本を生きたのか、その文脈を辿るのがよいか。今、書きながら分かってきたことだけれど、その答えは自分の身体が知っている。ガイドしながら自分の身体と心がいま・ここの場所から離れていって、結果的に疲弊するのではなく、辿ることでどんどん元気になったり

          ガイドはいらない(だけどいる)

          吉本由美/田尻久子(2023)『熊本かわりばんこ』

           homeportの近所にある「シーソーブックス」(北18条)で巡り会った一冊。5月には第2回ゼミ合宿in 熊本も控えてるし、改めて熊本と出会い直そうと手に取った。  二人の著者が半径数百メートルの中で、コロナ禍の四季を「かわるばんこ」に書き進めている。書き進めているというより、季節の到来をただ待って、引き受ける、受け入れていると言った方が適切かもしれない。  homeportは、自分が社会との緩衝材としてつくった場であって、現行の社会的なものを引き受けつつ、そこには組みされ

          吉本由美/田尻久子(2023)『熊本かわりばんこ』

          集団資源回収

           外へ外へと向かい、外注化するのではなく、内と外を行き来するように、身体を調整し、変容している最中にいる。もはや慢性化している副鼻腔炎との付き合い方もそうだし、確定申告もそう。今週末はhomeportの中に留まりながら、内側を整理していきたい。  毎月9日の集団資源回収。いつも気づけば通り過ぎていたり、覚えていても8時半に間に合わなかったり。  最近は、仕事は17時に終わり、そのまま休むモードになっているので、体力が有り余ってしまい、早朝に起きてしまう。その後の二度寝で危うく

          集団資源回収

          第2回 homeportゼミ合宿 in 熊本~熱源と水源~【旅のしおり】

          1.今回の旅についてー地元の記憶  2023年9月の「定山渓ビューホテルをビューする(まなざす)」から、約8か月。今回は2024年の5月に山崎の地元である熊本を訪れる。筆者は、1990年代前半に多摩ニュータウンから、母方の実家である熊本県上益城郡益城町広崎へと引っ越した。  小学2~4年までは広安小学校で過ごし、毎年恒例のナイトハイクでは、第2空港線を友とひたすら歩いた。その後、5年生から新設の広安西小学校へ。交通の要所である益城熊本空港ICやグランメッセ熊本(コンベンショ

          第2回 homeportゼミ合宿 in 熊本~熱源と水源~【旅のしおり】

          朝の日誌

          今日はhomeport一帯、こんもりと雪が積もっている。homeportのまわりを散歩して戻ると、実質的な管理人である、ながのさんが雪かきをしていて、少し立ち話をした。 昨日来たガス業者さんは帰り際、homeportのギャラリーで開催中の宮崎俊明写真展「ルーツ」を見て、ふと呟いた。 この個展を媒介に、ガス業者の人と私は、業者と客という役割を少し越境した。それは、写真があるだけで生まれるわけではなく、宮崎君の表現があるから生まれたのだと思う。4月からは、宮崎君の新たな写真展

          朝の日誌

          4人の田中くん

           今年(2024)年の夏、久しぶりに熊本へ帰ろうかなと思っている。この前帰ったのは、2023年の1月だった。帰ろうと思って帰ったのではなく、祖父が亡くなったという一報が宮崎の都城の実家から入ったからだ。  思えば、2012年の3月にも、見慣れない携帯の番号から電話がかかってきた。そのとき、私は虎ノ門のPRONTOで、先輩と飲んでいた。仕事は実質21時30分が定時だったので、仕事終わりにちょこっとだけ先輩と飲んでいた。電話に出ると、親族から「父が亡くなったので帰ってきてほしい」

          4人の田中くん

          頂かは分からないが、最も醜く輝いていた頃の話

           8年ぶりの北の大地。私のこれまでについてを大学の講義でお話しするという大層貴重な機会をいただき、期待感に胸を膨らませ札幌へと向かった。  北海学園大学で過日行われた「大村航太郎 解体新書―人生の頂はどこにあるか」にゲストとしてお招きいただいた。この講義では、「長井市地域おこし協力隊」や「山岳観光に従事する者」といった肩書が示すものではなく、私の過去そのものに焦点を当てて山崎さんと対談をさせていただいた。  私は大学時代にアウトドアサークルを創設し、サークルの運営に尽力してい

          頂かは分からないが、最も醜く輝いていた頃の話

          札幌南区満喫旅

          1月21日 日誌  まず始めに言うと、この日は札幌の南区をゆったり満喫したような日だった。  朝9時に山崎さんと真駒内駅に集合して、そこからバスに乗って札幌芸術の森美術館へと向かった。この日のメインの目的は、今開催中の「札幌国際芸術祭2024(SIAF2024)」(https://artpark.or.jp/tenrankai-event/siaf2024/)を見に行くことだった。  2つの展示が開催されており、1つは「明和電機」という、名前は電気屋さんみたいだが実際はア

          札幌南区満喫旅

          homeportは終わらない

          (前回の記事)  今日は仕事が終わったその足で、昨日、耳鼻咽喉科から預かった封筒を携え、大通の歯医者へ向かった。  先生は、診断内容とCTスキャンの画像データをひとしきりじっくりと眺めて、こちらにやってきた。  「副鼻腔炎の炎症が奥歯の根っこに届いていて、歯が感染しています。それに伴う痛みだと考えられるので、歯を削って中の神経を取りましょう」。  と淀みなく言われた。私は潔く、それを受け止めた。  さっそく歯が削り取られていく。 「痛くないですか?」 「痛くない

          homeportは終わらない

          紹介状

           副鼻腔炎から来るものなのか、左の歯一帯が「面」として痛く、日によっては就寝も妨げるほど。そもそも昨年の副鼻腔炎ピークのときは、歩くこともままならいほどの歯の激痛だった。  その痛み、辛さの起源は歯の根っこから、最近が副鼻腔に侵入することによる炎症なのか、つまり、耳鼻咽喉科からすれば外的な要因なのか。あるいは、喉や風邪、アレルギー鼻炎に由来する内的な要因なのか。ここ1,2週間は大通を挟んで南北に位置する、歯科と耳鼻咽喉科を行ったり来たりした。    歯科で痛み止めをもらったが

          土地への想像力ー始まりの予感(3)

          (前回記事はこちら(始まりの予感(2))  前回の「始まりの予感」の記事から、約半年が経過した。この連載は、2022年6月30日にhomeportを公式に始めて間もない頃、突発的にhomeportの拠点となる場所を探そうと思い立ち、スタートしたものである。  前回の記事に書いた通り、筆者にとっての地元は、北海道大学の北20条門を通過して、すぐ左手にあるケモノミチだった(出品と対談:自分の"地元"を物語る旅)。2008年当時、北20条と北大の境界には正式な門はなく、非公式な北

          土地への想像力ー始まりの予感(3)