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大好きな雅楽「越天楽」を西洋楽器のオケで聴く。PPT×松田華音(ピアノ)_2023年10月4日

パシフィックフィルハーモニア東京(PPT)の第160回定期演奏会に行ってきました。
プログラムは3曲とも近衞秀麿氏(1898~1973)の編曲。

私は雅楽が好きなので、西洋楽器のオーケストラで「越天楽」を聴くことが楽しみでした!

雅楽については東京楽所のCDを持っていて、かつて紀尾井ホールや東京国際フォーラム ホールで行われた演奏会に、何度か足を運んだ経験があります。もちろん神社で聴くのも大好き。

はじめは、雅楽の奏者の方々とオーケストラとのコラボレーションなのかと思っていたので、西洋楽器だけで演奏が始まったときはとても驚きました。

天から差し込む日の光を表すしょうの音色は、ヴァイオリンやチェロが弾いたのですが、繊細に重ねられる音がまさに雲の隙間から差し込んで、広がり、地上をあまねく照らす透明な光のようでした。
新しい体験は感動的で、なんとも美しい音色だったのです。

主旋律を奏で、人の声や地上の音を表している「篳篥ひちりきの音を再現するのが難しかった」と指揮者の飯森範親さんが解説していましたが、とても美しかったです。

これは編曲ゆえのことだと思うのですが、私にとっては琴のパートを弾くピアノの音だけが、主張が強く感じられました。
私が「奉納する音色」というイメージで聴いているからなのですが、「奉納する」というよりも、ピアノの音があまりにもエモーショナルに聴こえ、「人間が己の表現で弾いている」という生々しさを感じたのです。
とはいえ、ここがこの編曲の魅力でもあるのでしょう。

3曲目の組曲『展覧会の絵』も素晴らしく、展開に物語を感じて心が躍る演奏でした。

ソリスト・松田華音さんのピアノとともに演奏された「ピアノ協奏曲第1番」は、好きな曲も編曲によってまったく違う曲に聴こえることに驚きました。

松田さんのピアノは綺麗だったのですが、「ピアノ協奏曲第1番」はかつて小林愛実さんのピアノで聴いたことを思い出していました。一音々々に説得力があり、聴きながらインスピレーションが掻き立てられて止まらないようなドラマティックなピアノを--。

松田さんがアンコールで弾いたリャードフの「音楽の玉手箱」は、とても彼女に合っていたように感じます。安全な室内でのびのびと、開け放した窓から春の光と風が吹き込んでくるのを感じながら、いろいろなきらめく音と出会う躍動感。聴いていてとても楽しかったです。



<出演>

指揮:飯森範親
ピアノ:松田華音
パシフィックフィルハーモニア東京

<曲目>

越天楽(近衞秀麿による管弦楽版)
ショパン(近衞秀麿編):ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op. 11
ムソルグスキー(近衞秀麿編):組曲『展覧会の絵』

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