「ファースト・カウ」

映画マニアのmmさんの
いち推し監督といっていい、
アメリカの孤高の作家、
ケリー・ライカートの新作、
「ファースト・カウ」を観た。

西部開拓時代のオレゴンで、
流浪の料理人と逃亡の中国人が
友だちとなって始めた商売が、
牛から搾り盗んだミルクで
作ったドーナツである。

バター風味に蜂蜜を塗った
ケーキのようなパンは
たちまち開拓民の評判となり、
一攫千金と喜ぶが牛の持ち主に
とうとう見つかってしまう。

相手は束になって殺そうと
ライフル銃で彼らを探すが、
逃げる二人はどうなるのか、
ハラハラドキドキの展開が
最後に待ち受ける運命とは?

「ウェンディ&ルーシー」
「リバー・オブ・グラス」
「ミークス・カットオフ」
「オールド・ジョイ」など
名作を生んできたライカート。

登場人物の表情を丹念に追い、
言葉少ない台詞を大事にし、
美しい自然を映しだして、
情感豊かな物語に仕上げていく
静かでやさしく温かい映画。
ずっと心に残りそうだ。