「ビール!」で第九

「皆さん、居酒屋で
最初にビール頼むでしょう。
『ビール!』って。
その声で『フロイデ!』と
歌ってくださいね」

ベートーヴェンの
交響曲第九番、
第四楽章の合唱の始まり。
男性は『フロイデ!』と歌うが、
その歌い方の指導である。

鈴木与志一先生はそんな
愉しい指導で人気だった。
素人には歌い出しにくい
最初の一言をものの見事に
歌い出せるようにした。

他にも「新大久保」がある。
「駅員は声を鼻にかけて
『シンオークボ』と言うけど、
口を縦に開けて一音一音、
外人のように発音してください」

そんな愉快な鈴木先生が
還暦になって亡くなった。
先生にもストレスがあったのか、
お酒の量が半端じゃなかった。
厄年に体の臓器が壊れた。

プロもアマもずぶの素人も
みんなを歌で幸せにした鈴木先生。
天国では本来のテノール歌手として
多くの聴衆を幸せにしてください。
もちろん合唱指導者としても
大いに腕を振るってくださいね。