「月下の一群 秋の歌」

堀口大学の訳詩集

『月下の一群』から

南弘明が5つの詩を

男性合唱曲にした。

その最後の曲が

ポール・ヴェルレーヌの

「秋の歌」だ。


〈秋風の

ヴィオロンの

節ながき啜り泣き

もの憂き哀しみに

我が魂を

痛ましむ


時の鏡

鳴りも出づれば

せつなくも胸せまり

思ひぞ出づる

来し方に

涙は湧く


落葉ならぬ

身をば遣る

われも

かなたこなた

吹きまくれ

逆風よ〉


友人が学生時代に

歌ったというこの曲。

秋を秋風と訳した故に

切ない心にやるせない

風が吹き込んでいく。

僕が今原語で学んでいる

ヴェルレーヌの詩が

これほどまでに

余韻の残る歌になろうとは。