濡れ縁と金木犀

金木犀が咲いた。
晴れ渡ったこの日、
濡れ縁に胡座をかき、
日本画集を眺める。

甘い香りが流れて、
絵の中の美人が
優しく微笑む、
うっとりする感覚。

濃い緑の葉の中の
黄金色の小さな花、
鈴が鳴るように、
芳香が響き渡る。

橙の陽の光が
金木犀に降り注ぎ、
花柄の和服を着た
女性に見立てる。