自分で育てた枝豆

ビールとくれば枝豆である。
マーケットに枝豆が出回りだし、
枝に付いたものを所望する。
そのほうがより鮮度が保たれ、
茹で立てなら美味しいからだ。

とはいえ取り立ての枝豆には
その美味しさは到底叶わない。
取り立ての枝豆には豆の袋に
産毛がびっしりと生えている。
だからすぐに取り立てとわかる。

かつて枝豆を育てたことがある。
ベランダのプランタ栽培である。
長めの鉢に土を入れて豆を蒔く。
芽が出たら支柱を立てて
蔓を巻き付けさせていく。

花が咲き小さな枝豆が実っていく。
袋の中で豆の成長をじっと待つ。
そろそろ採り頃だと思ったとき
枝豆が忽然と消えてしまっている。
雀に持って行かれてしまったのだ。

それからは枝豆全体に網をかけ
枝泥棒の雀に盗まれないようにする。
こうして採取した枝豆は少ないけれど
豆の袋は柔らかい産毛に包まれていて
茹でたときに鮮やかな緑色となる。

茹で立ての香りの良さに驚き、
食べたときの甘さにさらに驚く。
自分で育てた取り立ての枝豆。
プランタンでも素晴らしい枝豆となる。
スーパーの枝豆とは雲泥の差である。

面倒臭かったけれど、また育ててみたい。
あの美味しさは天の恵み、格別だから。