白梅薫る

日向を歩いていたら
薫風が甘く漂う。
顔を上げると
白梅が満開である。
まだ真冬なのに、
暖冬なのだろうか?

梅の白い花は素朴に
たくさん咲いている。
口数は少ないけど、皆、
顔をお日様に向けている。
おしろい塗って、
おめかしして嬉しそう。

梅の幹は皺くちゃだから、
おばあちゃんかもしれない。
小柄で可愛くて清楚な
白い花柄の小紋を着た
「白梅」という名の
おばあちゃんである。

日光を浴びた白梅を眺め、
仄かな香りを漂わせた
白い和装のおしとやかで
上品なおばあちゃんを
思い浮かべては自分の
顔がほころぶのである。