「元気でよかった」

ボクが病に垂れる前の数年、
仕事で世話になった人がいた。
長身でダンディな歳上の人は、
僕を酒場に連れて行き、
大好きなゴルフの話に耽った。

脳梗塞から生還した翌年、
彼が電話してきたことがあった。
ボクが仕事でテレビに出て、
ボビー・ジョーンズのことを話し、
それを見て嬉しかったと。

それから4年の歳月が経って、
再び携帯電話に連絡があった。
二言三言話したあとで彼は
ボクがとても元気そうだと言った。
変わっていないつもりだった。

4年前のボクは元気がなかったのか、
再発症の怖れがまだあった頃だった。
それは今でも変わらないけれど、
前ほど恐ろしさはなくなっている。
脳梗塞後の自分に慣れたのかもしれない。

「お酒は飲めるの?」
「はい、そこそこ飲んでます」
「そうか、ならまた一緒に飲もう」
とても嬉しい誘いだった。
この人とまた飲める。いいじゃないか。