見出し画像

2023年に遊んだ全ゲームの雑感を書く(後編)

この手のゲーム紹介って動画形式の方が向いてるよなあとは思う。
前編⇩からの続きです。


㉜ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~
錬金術JRPG。シリーズのほぼ最新作。毎年新作が出ることに定評があるアトリエシリーズだが、プレイするのはアーランド三部作以来で10年ぶりくらい。続編だけど2から始めても問題ない内容でした。街とアトリエ内のBGMがとても素晴らしい。

本作の錬金システムは実に洗練されていて、長年の調整ノウハウの粋を感じられた。このアイテム作りが中々に面白くて、熱中していつの間にか時間が溶けてしまう。ファンによるシリーズ最高傑作の評判も頷けるというもの。シナリオも過度に深刻になり過ぎず、明るい日常雰囲気のまま、良い意味で無難に終わるアトリエらしさが健在だった。

天候操作がゲーム全体を通してのギミックに据えられていて、雨天時には樹林や遺跡が美しく水没するのが個人的に好みのツボだった。拙者、ファンタジーの水没景色大好き侍と申す者故。


㉝スイカゲーム
一時期やたらと流行っていたパズルゲーム。不確定要素の強い落ち物パズルって意味では、かつて「どうぶつタワーバトル」が話題になっていたのを思い出す。スイカは作れました。ダブルは無理だった。

落ち物である果物は全て球状で、コロコロ意図しない方へ転がってしまうこともしばしば。この予測不可能でアンコントローラブルな性質が、ぷよぷよやテトリスみたいな理詰めの実力主義感を誤魔化して、ワンチャンの期待を抱かせるのだ。

それでいて、実際のところはコツもテクもちゃんとあって、考えてプレイすればスコアは伸びるようにできている。プレイヤースキル依存度とランダム要素の絶妙な両立こそが流行の秘訣だったんだろう。


㉞Forager
2Dドット絵クラフトサバイバル。資源をコツコツ集めて、未開拓の島を次々と探検していく。UIや戦闘やパズルが全体的に安っぽい軽いノリのゲーム。でも謎解きはそこそこ難しい。スキルツリー要素もあって、新要素をアンロックする楽しみは終始存在している。雷杖で木や石を一網打尽に採掘できるようになった時の快感たるや。

若干の自動化要素もあって全体的に好みな作風だったけど、オブジェクト数が増える終盤に著しく処理墜ちするのが致命的だった。結局最後はプレイを断念するレベルで、9割は問題なく遊べたが、不完全燃焼感は残る。


㉟shapez
図形を作る自動化ゲー。自動化ゲー界隈では有名な作品で、評価も「圧倒的に好評」だけど自分の肌にはどうも合わなかった。工場設備のアンロック要素は早々に全て解禁され、あとはどれだけゲームを進めても図形は初期素材のまま加工が複雑になっていくだけ、色も初期資材のまま組み合わせが複雑になっていくだけで、新要素というものが存在しないのが物足りなかった。

この手の自動化ゲーって新しい資源の調達に四苦八苦したり、一周回って初期資源の需要が増して供給ラインを見直したりするのが楽しいんだよなあ。そういう物資管理要素を無くして、黙々と工場を作りたい人にはおすすめかも。


㊱メグとばけもの
女の子が泣くと世界が滅亡するRPG。優しい・可愛いを前面に売り出したドット絵RPGとして想定通りのシナリオだな~と思っていた中盤から、もうひと捻りがあって面白かったです。ゲーム性自体に難しいものは何も無いので、物語重視で楽しむ作品。

こういう作品って、事後のテキスト雑感とは相性が悪い気がする。プレイ中は個々のシーンで色々と感受することがあった筈なのに、振り返るとどうしても冷めた総括になりがちだ。ツッコミ所がない訳じゃないが、プレイして良かったと思える作品に違いはない。


㊲Gremlins, Inc.
モノポリー風すごろくボードゲーム。一年に一度くらい友人とマルチプレイしたくなるやつ。冤罪で他人を牢屋にブチ込んだり、警官に賄賂を渡して検閲を逃れたり、市長に就任して裏金を受け取ったり色々悪さできる。

桃鉄やドカポンに通ずるやたら攻撃的なカードが多いのも特徴。複数人で遊んでいると「中盤に一位になった奴は集中攻撃を受けて勝てなくなる」という身内セオリーが出来つつある。現実みたいに人間関係のヘイト管理が大事。


㊳Astrea: Six-Sided Oracles
デッキ構築型ローグライク。前編でも度々出したStSフォロワーゲーの一種。デッキ構築はカードではなくサイコロを使うのが特徴。同系作の中ではUIデザインとBGMが桁違いに美しい。サムネ画像は本作のもの。

異常に面白いんだけど、異常に難しい。純粋に最低難易度の水準が高いのもあるけど、要求してくる思考量がとにかく多い上に複雑なのだ。

ダイス目の調整やプレイ順・期待値計算に加え、所持レリックや敵スキルによる能力の把握がもう大変。戦闘中は終始各テキスト欄の凝視が必須である。そして一つ行動した直後にあちこちの能力の導火線に火が付いて誤爆し誘爆もし「こんな筈じゃなかった……」となることもしばしば。まずはこの見逃し・計算ミスを無くすことが攻略の第一歩である。

裏ボスに至っては上記の特徴を極めており、一手毎に「ピタゴラスイッチがどう動くか起動前に全部計算しておく」みたいなゲームになる。体調が良い時じゃないと挑むことすら気が重くなる。

……と、ネガキャンの嵐みたいになってしまったが、それらの難解さは負の側面ばかりではなく、やり応えに満ちた奥深さにも繋がっている。とにかく完成度が高く、個人的な2023年ゲームランキング5指に入るレベルである。プレイ毎に独自の学びや気付きを得られるし、各キャラには複数の戦略コンセプトがあって、それぞれは独立し過ぎず複合的にシナジーしている。デッキ構築型ローグライクの魅力のキモはしっかり抑えているのだ。

全6キャラ中、各初回クリア以外は1キャラだけを延々とプレイして血を吐くような思いで最高難易度までクリアした。単純計算であと五倍は楽しめるということだ(嬉しい悲鳴)。


㊴God Of Weapons
荷物整理系ローグライクアクション。アクション要素はほぼなく、強いビルドを組めるかどうかが全て。そういう意味ではヴァンサバライクにあたるのかも。

荷物整理を試行錯誤するビルドシステムは中々楽しかった。ただ、ヴァンサバ系に通ずる「迫りくる大量の敵をなぎ倒す」という部分が作業か現象のように思えてしまい、実質ゲームをしていない時間に感じられてしまった。各種効果音が地味に小気味良く、好きな人は爽快感を感じやすいと思う。


㊵Legends of Runeterra
LoL(後述)世界観の対戦型カードゲーム。語りたいことは山のようにあるけど、結局今年もほとんどプレイはしなかった。

LoR界隈では「カードゲームとして完成度が高い」「何故か万人受けしない、あまり流行っていない」という二点が半ば暗黙の共通理解になっている節があって、「なぜこんな出来の良いゲームが流行らないのか」は一生議論のタネになっている、気がする。

かつては毎日熱中していたプレイヤーとして、今となっては飽きてしまったプレイヤーとして、僕もまた思考を巡らせる時がある。いつかnoteで記事にするかも。


㊶Barotrauma
潜水艦サバイバルゲーム。今年買ったsteamのゲームで、恐らく唯一セールじゃない定価で買った作品。友人とのマルチプレイ用。襲ってくる海生生物を退けながら、時に船外で物資回収をしながら、暗い海の底へ奥へと探索していく。

静かな海中にて、潜水艦から発されるソナービーコンの「ポーン……ポーン……」という音が印象的。襲撃や異常事態を警戒して常に薄い緊張感の膜が貼っているようなプレイ体験。それでも大半は穏やかに事務作業や監視をするだけの時間だったりして、一時的な安寧の中には不思議なチルさも同居している。

各船員には役職が割り当てられ、能力に応じた作業分担や状況報告が重要である。僕は医者として治療を行ったり、医薬品の調合・管理をしたり、改ざんした遺伝子を埋め込んで船員の能力を底上げしたりしていた。


㊷Oaken
デッキ構築型ローグライク。ピンと来なくて一時間も経たず辞めてしまった。この手のゲームジャンルで盤面や位置取りの要素を導入する場合、相当UIを洗練させないと面白さより状況管理のダルさの方が勝ると思う、ちょっと触っただけなので偉そうな批評はできないのですが。


㊸Autonauts
ロボットをプログラミングする自動化ゲー。通常は採掘機で資源を集めベルトコンベアで搬送するところ、本作では全てをロボットにやらせることになる。

プログラミングという取っつきにくい印象に反して、流石ゲームなだけあってUIはやたら親切で直感的。エラー時もその理由を明示してくれる(超重要)ので、現実世界でもっとも億劫な「何故エラーになったか調査・検証する」作業が無いのが素晴らしい。

ただ、前編記事の「Nova Lands」でも述べた通り、やっぱベルトコンベアのような視覚的な達成感が薄いのは物足りなさポイント。悪いゲームではないので、ある程度自動化ゲーを色々とやって、味変で同ジャンルの異色のゲームを遊びたい人向けではある気がする。


㊹Risk of Rain 2
3Dローグライクアクションゲー。今年は主にキャラ追加MODを色々入れて遊んでいた。主にマルチプレイ用。爽快感と中毒性が強い。

ビルドが重要に見えて、意外とアクションの腕も大事なゲーム。自分の攻撃はどんどん派手になっていくが、全能感に溺れずちゃんと回避行動は取らないとすぐ死ぬ。たまに遊びたくなる枠なので、新DLCがリリースされた頃にでもまた遊びたい。

㊺For The King
ボードゲーム風ターン制RPG。続編が販売されるにあたって予習がてら友人達と始めた。肝心の続編はバグやフリーズの多さでどうも評判が悪く、様子見状態ではあるんだけど……。

パーティメンバーは3人でマルチプレイも可能だが、ぶっちゃけ操作量は多くないのでソロで3キャラ分操作しても何ら問題はない。ていうか普通のRPGは大体そういう作りだ。面白くはあるがボードゲーム特有のテンポの悪さも伴うので、トレーラーを見て世界観が好きな人向けといった所。実は未クリアなので話半分に聞いて下さい。


㊻Unspottable
NPCキャラに扮装する対戦ゲーム。全プレイヤーは画面内に大量に存在するNPCと同じ見た目をしており、NPCのフリをしながら動きまわる。そして人間っぽい動きをしている他プレイヤーのキャラを見極め、いち早く攻撃する。

コンセプトは面白かったんだけど、如何せんボリュームが少な過ぎた。多少はステージ差異によるバリエーションはあるものの、一時間もせず遊び尽くせてしまう感。こんなのマリオパーティのミニゲームの一つですよ。何か惜しい作品。


㊼SANABI
ワイヤー2Dアクションゲーム。インディーゲーム紹介記事のそこかしこであまりに絶賛されているので、逆に今更語りたく無い作品。ネタバレ厳禁系のゲームでもあるのでね。実際マジのガチでヤバイ最高のゲームだったので全人類やるべき。

売りのワイヤーアクションは、慣れない内は左手で箸を使うような違和感が伴うだろう。けれど次第に手足の如く自在に操れるようになっていく。ならないと死ぬ。純粋なジャンプアクションと比べて操作一つによる移動量が大きいので、少し長めに行動予測するのがコツ。シューティングゲームでは自機の間近ばかり見てはいけないが、あの感覚に近い。

シナリオの主軸はアクション活劇である。けれど不可解な状況を観察する、陰謀への洞察を巡らせるといったシーンも度々挟まり、冒険譚とは違った「旅」らしさも感じられるのが魅力の一つ。しかも全部ロケーションが良いのだ。無人のサイバーパンク大都市を遠く見下ろしながら、薄暗い巨大工場に足音を響かせながら、飛行電車の天井に腰かけて雲上の超高層ビルを目指しながら……。

唯一の欠点だった日本語翻訳のガバさも改善予定なので、その更新が入ってからでも是非プレイして見て欲しい作品。


㊽Gunfire Reborn
3Dローグライクアクション。結構凝ったビルド要素があり、育っていくとダメージが桁違いにインフレしていく。マルチプレイでドロップ品を奪い合わない仕様もgood。友人とボイチャしながらなら相互にアイテムを融通し合えればなお良し。

FPS視点のゲームが不慣れ過ぎて、回避やエイムが必要になるビルドは苦手である。幸いにもビルド幅は広く、指先の操作に自信がなくても楽しめる作りではある。あとDLCキャラの中に救済措置かのようにお手軽で強い奴がいる。

一応最高難易度までクリアしたけど、やりこみ勢っぽい野良にキャリーしてもらった感は否めない。度々アプデで新モードが更新され続けているのでいずれまた遊ぶだろう。


㊾Risk of Rain Returns
2Dローグライクアクション。上述したRisk of Rain 2の前作であるRisk of Rainのリメイク作品。ランダムドロップするアイテム次第ではシナジー要素もあるが、どちらかというと真面目にアクションするよりの作風。

原作が好きだったので期待して買ったけど、コントローラープレイ時にフリーズするバグがあり現在は休止中。ソロプレイだとほぼ起きないんだけど、主にフレンドとのマルチ用で買ったので……。

あまり評判の良くないチャレンジモードは個人的には結構好きである。初見クリアはかなり難しいが、特殊ルールに慣れて何度か挑戦する頃にはクリアできるほど良い難易度調整である。


㊿Backpack Hero
荷物整理系ローグライト。最近はBackpack対人ゲーも話題になってましたね。早期アクセス頃からチラチラ気にしていて、正式リリースを機に購入。

実装されたストーリーモードは簡単すぎる割に素材稼ぎ義務周回が多くてちょっとげんなりしている。キャラも全然アンロックされねえ。拠点の建築モード時の操作感が悪い。日本語翻訳が結構文字化けしてる(執筆時点では修正済)。

レビューの多くを見るとストーリーそっちのけて通常モードで遊んだ方が良いとのことなので、気が向いたら再開してみようと思う。


51.Golf It!
手軽にできる対人ゴルフゲーム。広大なゴルフ場ではなくギミック満載のステージ攻略型で、パターゴルフと言った方が近い。ダッシュボードもワープもジャンプ台もある。コースも雪原や海辺など様々。半年に一度くらいやりたくなる枠。

順番待ちせずに各々が並行して操作できてテンポが良い。そして面白いのが、ボール同士の接触をONに設定することも可能な点だ。他人のボールとの接触事故によって場外に落ちたり、意図的に弾き落としたりできて、紳士のスポーツとは程遠い様相と化す。


52.Invisigun Reloaded
透明化2D対人シューティング。ボンバーマンの様なマス目状平面ステージで、爆弾ではなく銃で撃ちあうゲーム。プレイヤーは全員が透明化しているのが大きな特徴で、スキルや射撃といった行動時だけ一瞬姿が映る。なのでバシバシ撃ちあうというより、潜みながら相手の位置を察知し不意の一撃を喰らわせるゲーム性だ。自分視点ですら自キャラも透明になるので、そもそも自分がどこにいるか把握しながら動くのが大事。

これもたま~にマルチで遊びたくなる枠。みんな低練度なのでずっとカジュアルに遊べている。戦略が洗練・定石化されるまでが楽しいゲームって結構多いよね。


53.League of Legends
通称LoL。5vs5のMOBAで、esports界隈でトップクラスの知名度と人口を誇る。定期的にやりたくなって、半年くらい放置してを繰り返している。万年ゴールドランク。

噂に違わず民度が最低のゲームであり、暴言や試合放棄は日常茶飯事。一方で自分のミスがチーム全体への迷惑に繋がるゲームでもあるため、色んな意味で感情は殺し得とされている。スキル練習や膨大な知識量も必要になるため、真面目に向き合う場合はプライベート時間をトブに捨て本腰を入れて専念する覚悟が必要。基本的にやらない方が人生が豊かになることは明白であるが、分かっていてもたまにプレイしてしまう魅力がある。

本作は純粋な操作練度の他に、巨視的な思考能力やメンタル面も大いに影響してくるので、LoLの実力は測り辛いのが特徴だ。大半のプレイヤーには自分で自覚すらできない上手さ・下手さの遠因も在るんだろうと感じさせる。

最近はMAP刷新や配信者参入で話題になっている気がする。これを機に興味をもったプレイヤーの何割かはボロボロに心を折られて、また何割かは中毒症状のように虜になり、LoLというゲームの業を深める一因となるのだろう。


54.Magic: The Gathering Arena
通称MTGA。カードゲームの元祖。元々は紙プレイヤーだったけど、コロナ禍前後辺りからデジタル版に移行した。ダラダラ遊んでるという形容が相応しい。過去に関連話題で記事にしたこともありました。https://note.com/honbun3282/n/nb77398664acc

デジタル化によって気軽に対戦できるようになった影響は大きい。それでもカードゲームの思い出を振り返ってみると、紙の束を会社鞄に仕込んで、友人と一緒に金曜夜の店舗大会に出場していた頃の記憶ばかりが鮮明に蘇る。デジタルでは味わい難い楽しさがあって、たまに恋しくなる。


55.Dominion
有名なボドゲのデジタル版(Steam)。無料なので気軽に遊べるしマルチプレイも対応。結構な量の拡張パックが一定周期変わりで適応されていて、低頻度のプレイだとほぼ毎回初見のカードプールになる。無料相応にUIとかショボめだけど、元のボドゲが面白いのでちゃんと楽しい。

本当は「ボードゲームアリーナ」というサイトで遊べるオンラインボードゲームも本記事の対象ゲームに含めようと思ったのだけど、これ以上の文章肥大化を避けるべく割愛を決意した。このDominionはSteamで遊べるものの、本来の属性的には例外枠である。


56.Magic Scroll Tactics
高さの概念がある2DストラテジーRPG。2DなのでMAPに左右上下はあるが奥行はない。ステージ攻略型であり、フリー戦闘による稼ぎも可能(意外とこれができないSRPGは多い)。シナリオは箇条書きを読んでるレベルに簡素簡潔の極みであり、可愛い絵柄はほぼ活かされていないので注意。

steam上の可否まずまずな評価は概ね正しいが、ゲームクリアまで飽きずに楽しめた。カジュアル風味なのに妙にカスタマイズ性も難易度もあるこの感じ、ガラケーの525円買い切りゲームに近い雰囲気がある。……例えとして通じるのだろうか。


57.Make Way
コース作成型の対戦レースゲーム。何もない空中に道や障害物を自分達で設置し、いったんレースしてまた設置してを繰り返していく。基本的に道幅が狭く、互いにガツガツ接触してはおはじき合戦が頻発する。ハンマーや爆弾といった攻撃アイテムも完備。つまりコンマ一秒のタイムを真剣に競うレースというより、相手を場外に叩き落して高笑いするお祭りゲーである。いや結構ちゃんとレースもしますけどね。

コースは付け足し形式でどんどん長距離化するため、何度も走る序中盤の道は形状を覚えることも大事。でもレース中は殺るか殺られるかの鍔迫り合いに執心しているため、そういう知的な戦略を実践する思考力は失せがちである。


58.A Short Hike
平和な探索アドベンチャーゲーム。オープンワールド形式の島の中で、気ままに探索したり住民と交流したりする。どこに行っても優しくて温かい世界。スタミナ増強アイテムの収集によって高所の崖を登れるようになるため、100分の1スケールのブレワイである。一応エンディングもあり、諸要素を完全網羅しなければ一時間程度で終わるボリューム。

残念ながら、レビュー欄でやたら絶賛されているほど心に響く感傷は抱けなかった。のんびりスローライフを目的とするなら悪くはないと思う。僕という人間が客層としてあまりお呼びじゃなかったのだろう。


59.Cobalt Core
新作のデッキ構築型ローグライク。宇宙船に乗って敵対宇宙船や未知の怪物と戦う世界観。敵と対峙する際、彼我に位置の概念が導入されており、「回避」という数値を消費して宇宙船を左右に動かすことができる。この位置調整は攻防の要であり、「回避」を得られるカードはかなり強い。

ミサイルの着弾予測地なり、遮蔽となるドローンやスペースデブリなり、盤面の状況がパッと見で直感的に分かりやすいのが特徴。この手のゲームは戦闘中もテキスト熟読や誘発能力把握が必須になりがちなので、その辺りの煩わしさをかなり緩和した秀逸なデザインだと思う。全体的なバランスも良く、リプレイ性も高くて面白い。


60.BLACK SHEEP TOWN
群像劇ノベルゲーム。超能力が存在するギャング社会な世界観であり、エロ有グロ有の硬派な作り。絶賛プレイ中なので評価は未定だけど、今の所かなり面白い。正直文章力がちょっと怪しくて最初は敬遠しかけたけが、それを補って余りあるキャラクター哲学や世界観のディテールを魅せてくれている。これは明確にアタリのノベルゲーム。

プレイ中に選択肢も無いし、エンディングも一つであることは事前に確認済。個人的な好みだけど、ノベルゲームは周回や分岐に悩まされず一本道の物語を楽しみたい派である。


61.Baldur's Gate 3
2023年のTHE GAME AWARDS受賞作。年末に日本語版が実装されたので友人とマルチプレイで進めている。そろそろ最終盤といった所。

同じ開発元の作品「Divinity: Original Sin 2」のプレイ経験もあり何かと馴染みやすい仕様。ただそれは個人的な話で、基本的にシステムや操作感はやや取っ付きにくい寄りではあると思う。

多重分岐するシナリオも海外で絶賛されているほど完全無欠ではなく、選択肢のニュアンスのズレから意図せぬ行動を招いたり、吹き替えが無いため読むべき文章量が膨大だったり、固有名詞が多すぎるといった難点もある。この辺りの評価、音声で会話内容を聞ける英語話者とはプレイフィールがかなり違っている気がしている。

とはいえ上質な映画のような没入感があり、凝った探索・戦闘システムとも両立できていて、RPGとして高水準なのは間違いない。サブイベやちょっとしたダンジョンすら見飽きた要素というものが中々なく、誰かに話しかける度、新しいエリアに足を踏み入れる度、常に斬新な体験が待っている。

プレイやーの行動次第で些細な寄り道のオチが、あるいは物語の大筋すら大きく変わるので、どのくらいセーブロードを許容するかは考えながら遊ぼう。僕は一つ大きな十字架を背負い、この物語がどんな結末を迎えようと、徹頭徹尾ヒロイックで華麗な武勇伝にはならないことが確定してしまった。この苦しみもまた他作では味わえないゲームの魅力だと咀嚼するために、少しだけ時間が必要だった。そういう作品。



以上が2023年に遊んだ全ゲームの雑感である。もし全部読んでくれた奇特な人が居たのなら最大限の感謝を。この箸にも棒にも掛からぬ文章塊が、誰かの参考ないし暇つぶしになれば幸いだ。





この記事が参加している募集

自己紹介をゲームで語る

全力で推したいゲーム

冷静になるんだ。