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かつて住んだ家について

新婚時代、長男を授かるまでの3年間住んでいた家がある。
かつて親戚が住んでおり、空き家になっていた。
築50年の古い家は所々傷みがきており、少し手を入れて住ませてもらっていた。

昨日は結婚式を挙げてから11年の記念日で、その家のある街までドライブした。

その家の前を通るかどうか迷った。
もう親戚のものではなく、他の誰かの手に渡っていた。
もし解体されてたら…
新しい家が建っていたら…
なんかさみしいし見たくないよねと。
そう思う一方で、あの懐かしい古い家やご近所の風景が恋しくなり前を通ってみることにした。

その家はそのまま残っていた。
しかも灯りがともっていた。

誰かが中にいるんだ。

廊下がギシギシときしむ感覚や、古い家のあの独特の少しカビくさいような匂い。
夏でも薄暗くひんやりと涼しい。
冬は南に面した大きな窓の前に陣取って日向ぼっこをした。
夫との日々、子供だった自分が新しい家庭を持ち、大人のふるまいとはどんなものかと奮闘した。
でも結局ご近所のおじちゃんおばちゃん達は私達夫婦を子供のように気に掛けてくれた。
若い人達が近所にいるのは良い、元気が出ると言ってくれた。
あの家にいたころの様々な場面を思い出した。

あの家に今誰かがいる。
いいなあ。
私も中に入りたいなあ。

こうしてまた、大切なのに二度と入ることのない場所が一つ増えたことに気付く。

36年生きてきて、そんな場所が少しずつ増えていく。
その存在は、たしかに私が当たり前のようにいた場所で、生きてきた証であり、支えになってくれる。
当たり前は決して当たり前ではないと教えてくれるのだ。



10月11日(日)

夫は仕事。子供たちと3人で過ごす。

晴れたので少しは外で遊ばせてあげたい。


良い日曜日を♪

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