破壊的イノベーション(全3回の1回目)

はじめに

私は30歳の時に国内MBAを取得しました。働きながらだったので当時の睡眠時間は4時間を切っていました(汗)。今日はMBAで学んだことを3回に渡って書いてみたいと思います。

きっかけ

私はデジタルカメラのエンジニアとしてキャリアをスタートさせました。私が所属している会社ではデジタルカメラのシェアが伸びていて全社の稼ぎ頭の1つに数え上げられていました。
そんな中で私が担当したのは2mから落としても壊れないデジカメでした。当時は競合他社と熾烈な競争をしており、1.5m⇒1.6m⇒1.65mなどちょっとずつ記録を更新していったのです。そしてついに2mから落としても壊れないデジカメの開発がスタートし、私もそのメンバーにアサインされたのです。
自分が携わった製品が世界記録を持っているなんで技術者としては誇りに思っていました。

サムソンのデジカメが売れた

私が担当した商品の発売日、口コミサイトでも結構な反響がありました。「これは売れる」と思ったのですが、売上はなかなか伸びませんでした。一方、後発のサムソン(現時点ではデジカメ事業は撤退してます)の30cmから落としたら壊れるデジカメがどんどん売り上げを伸ばしていました。
当時私は「2mから落としても壊れないいい商品なのに、なぜ30cmから落とすと壊れるサムソンに負けるんだ」とお客様の目が悪いなど思っていました(今考えるとアホもいいところ)。

実際自分の目で見てみようと思い、家電量販店に行ってみることにしました。

お客様のニーズをとらえていなかった

店頭に行って、すぐに売れない理由が分かりました。
・サムソンの方がポスターが売り場が広かった?
⇒No

・サムソンの方がいいポスターだった?
⇒No

・サムソンの方が宣伝がうまかった?
⇒No

ではなんだったのでしょう。答えは簡単です。

当社:2mから落としても壊れない。だから10万円。
サムソン:9千円(0.9万円)。だけど30cmから落とすと壊れる。


そう費用対効果です。2mから落としても壊れないカメラ、確かに魅力的です。でも10万円もするものを誰が買うのでしょうか。しかも日常生活で2mからデジカメを落とすシチュエーションてあるのでしょうか?
あったとしても工事現場や警察の取り締まりくらいで限られたシチュエーションでしょう。

私は愕然としました。自分たちがいいと思って作った『2mから落としても壊れない機能』はお客様のニーズをとらえていなかった、のです。
しかも当時(2010年あたり)の日本では、いい商品を作れば世界に勝てるという雰囲気がまだありました。たとえばiPhoneを「おもちゃ扱い」していた雰囲気さえありました。何かがおかしいと感じた私はそれからしばらくしてMBAに行こうと考えるようになりました。

次回は、MBAで学んだイノベーションの種類について書いてみようと思います。

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