破壊的イノベーション全3回(2回目)

前回のおさらい

当社:2mから落としても壊れないが、10万円程度するデジカメ
サムソン:30cmから落とすと壊れるが1万円を切るデジカメ
当初私は当社のデジカメが勝つと思っていましたが、お客様に選ばれたのはサムソンのデジカメでした。

これがなぜなのか?専門的に知りたいと思った私はMBAに行こうと思いました。私は大阪在住なので学校はたくさんありましたが、技術経営(MOT)を学べる関西学院大学のMBAに行くことにしました。

破壊的イノベーションとは

関西学院大学のMBAには玉田俊平太教授が在籍しています。玉田教授は私のゼミの担当教官ですが、そのご経歴は素晴らしく、東大卒で経済産業省に。国費でハーバード大学に留学し、イノベーションの大家であるクリステンセン教授に直接指導してもらったという方です(お話しすると本当に気さくな方で、奥様を愛されている素敵な方です。)。

さて、結論を先に書きます。破壊的イノベーションとは
「主要顧客が求める性能を落とした製品である」
大事なので、言葉を変えてもう一度言います。
「主要顧客が求める性能を上げたものは、破壊的イノベーションではない」
最初、私は理解できませんでした。イノベーションとは「より良くするもの」なのに、性能を落とすことが要件(条件)と言われたのですから。

例を挙げて見てみましょう。
デジカメでお客様が求めている性能の1つに、画素数があります。
数十万画素しかなかった時代、画素数を挙げることがイノベーションでした(いつかゆっくり書きますが、これは持続的イノベーションといいます。破壊的イノベーションとは全く別です。)。
私が担当したデジカメでは画素数が800万画素でした。それを少しでも上げることに必死になっていました。一方当時のiPhone(iPhone4)は500万画素だったのです。はっきり言って「おもちゃ」でした。ですが、デジカメを買うお客様はどんどん少なくなっていったのです。

iPhoneなら、デジカメに出来ない様々なことが、アプリを通じてできるからです。例えば、すぐにメール(今ならLine)で共有。写真を加工する等です。

つまり、画素数を求めるお客様に取っては性能を落としたもの、それがiPhoneのカメラでした。

大企業には破壊的イノベーションは起こせない

MBAの講義で、破壊的イノベーションを学んだ私は、そう遠くない将来デジカメの市場が大きく低下すると感じました。事実、今の若い人でデジカメを使っている人はほぼいないと思います。
それでも、破壊的イノベーションを起こすためにはどうしたらいいのか?と集中して講義を受けていました。そんな時、玉田教授は衝撃的な研究結果を教えてくださいました。
「大企業をはじめ多くの日本企業は、性能を良くすればお客様は買って下さると思っていたし、事実そのような成功体験が多かった。また大企業は稟議(ようはハンコ)が多く、とがった企画でも、稟議を通す過程でいつの間にか丸い企画になってします。そんな文化のもとでは、性能を落とす破壊的イノベーションは起こらない。」

当時の私。そして今の私。

衝撃的な事実を知った私ですが、それでも会社にしがみつくしか方法はありませんでした。だって武器になるようなものはなく、新卒で入社した会社でしか通用しないスキルばかりだったのですから(実際はそんなこともないのですが。当時はそう思いきっていました。)。
その後私は、ちょっとずつ知識やスキル・資格を身に着けていきました。
例えば、
・MBA
・簿記
・ビジネス会計
・TOEIC800
そんな私に、会社はいろいろな経験を積ませてくれました。それは心から感謝しています。ですが、違う次元で成長したい、仕事がしたいと思うようになってきました。
結論として起業を考えています。

次回は、起業した会社の事業と破壊的イノベーションについてお話します。先に結論を書くと、新市場型の破壊的イノベーションになればなー、という話ができればと思います。


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