くどいけれども三日月を。

どうもどうもこんにちは。Silky Milkyでございます。
3回目の投稿です。此度は前回の続編として、再び東京国立博物館の国宝展を訪れた昨年秋の模様を綴ります。ただの刀好きの徒然譚にございます。

2022年晩秋、東京国立博物館創立150年記念
特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」を再び拝観し終え、見上げた空。

本作もまた、昨年わたくしのInstagramにて既に公開済みのものに沿ったお話です。この日は初冬にもさしかかる二度目の拝観。芸術の秋の味わい納めにとワクワク、いえどちらかというとドキドキしながら日本刀たちに会いにまいりました。ドキドキ…?なぜって、天下一の美刀、「国宝 太刀 銘 三条(名物 三日月宗近)」さまのお"力"に触れるべく、いよいよ再び会いにまいったのだから–––。

国宝展が開催されていた「平成館」
ガラス窓には見るも鮮やかな反転した三日月が。

東京国立博物館とその周辺にて。鋭くも甘い宵。

ふと空を見ると見事なまでのそのお姿、

さらにガラスにまでくっきりと、平成館の建物に飛び移った三日月さん。

どこまでも現れて、私がそう思うのと同じ瞬間、他の方々もため息まじりにそれを愛で、呟いていらっしゃるこの時の間––––。

くぅぅーーーっ。なんてこと。

どこまでも美しく、気高くて、掴めない。

前回のお話の続きなのだろうか… これもまた、"力"の一つなのだろう。

恐るべし、三日月さま。  三日月宗近さま。

そしてその二度目の謁見は。
ぞわぁ〜〜っという鳥肌は、やはり刀姿を目に収めるたび起こります。"麗しい女性のよう"とも例えられる太刀姿、まああれこれの比率が2.07倍とか(2.9÷1.4)、あとで調べて並ぶ数字を見るに、何かが隠されている… 計算欲を掻き立てられます。

おそらく…おそらくは… たぶん、これは宇宙の数字。黄金比とか…ひまわりの種の並び方がどうだとか(フィボナッチ数列)…きっとこうした、何かの数学。自然界のいのちを形作っている、神秘の数字。既知か未知かは知らないけれど、きっとそうした、数学。な、はず…!全然分からないけれど。

これを作刀した張本人である三条宗近さまは、精緻に意図してこうしたわけではきっとないのだろう、けれどたぶん、偶然ではないのではないかな。何かを感じながら、作ったのではないかな。違うかな…

しかし今回は、クラリとするというよりはもう最初からじんわりと、涙が。(もちろん抑えて抑えて。)

嬉しいわけでも悲しいわけでも悔しいわけでも何でもありません。なんーーーでもない。感動したとか、そういう感覚でも全くありません。

むしろ、無、です。

そう…  無 だ…。 無なんだ…。

向き合う瞬間は空っぽかもしれません。
周りも聞こえるけれど聞こえない。
ただ何か言っているから、聞くだけ、受け取るだけ。一生懸命、脚とまぶたは動かして。

いったい、なんなのだろうなあ。
何しにここへ来たんだっけ?
今は何時で、ここはどこだっけ?
近づく刀身からさざなみが聞こえて…海に月がぷかぷか浮いていて…それが心地よくて…   静かだ…     それで、それで… いったい何億年なのかコンマ何秒なのか、それを嬉しく眺めていて…
  

…あれ?      ああ、進まなきゃ。


そのような時間でした。

よく、分かりません。

そのような、時間でした。

くどいくらいの三日月に満ちた秋を偲ぶ。
今年はどんな宝物の秋が私たちに訪れるのだろう…!

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