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ツイン・ピークス The Return 第4章「思い出しちゃって」のおはなしと考察。

こんばんは。大好きなツイン・ピークスThe Returnの感想や考察をネタバレありで書いていきたいと思います。公開から数年経っているけど、もし今のタイミングで見ている人がいたら、見た後に読んで楽しんでもらえたらと思います。

1〜3章が、とにかく謎に次ぐ謎の連続で、振り落とされないようについていくのが必死でしたが、第4章はようやく一息ついたような回でした。新しく生まれた謎というより、少しわかったことの方が多かったかな?

前半あらすじとわかったこと。第4章はちょっとした箸休め。こんなにほっこり見られるツイン・ピークスも珍しい。

ラス・ヴェガス。シルバー・ムスタング・カジノ。MR.ジャックポッドと化しているクーパー(ダギー)。このカジノのスタッフの方はどの人もとても親切ですよね。カジノってドラクエ以外で行ったことないんですが、わりと気軽に楽しめる感じのところなんですかねぇ。

アライドケミカル社のビルシェイカーという人物に会います。連れている女性が美人で親切そうです。

ヒントをもらって家に帰ってきたクーパー(ダギー)。鮮やかな玄関の赤いドアから出てきたのはお待たせしましたナオミ・ワッツ。

年相応にくたびれたカイル・マクラクランの雰囲気が、何もかも忘れてしまったクーパーによくマッチしてますね。

ここでわかったこと。ダギー・ジョーンズは会社勤め。奥さんと子ども(サニー・ジム)がいる。幾らかわからないけれど借金がある。奥さんは大金を見て安心する。

デニース・ブライソン再登場。

麻薬捜査官だったデニース・ブライソンは首席補佐官に昇進しており、なんとゴードン・コールよりも役職が上になってます。そして性転換手術を受けています。デニースとコールのちょっとしたほっこり話があります。美人のタミーを連れて行くのが気になるデニース。このあとのシーンでタミー出てきますが、まあ無理もないですよね。

ツインピークス保安官事務所。

なぜか携帯電話を信じることができないルーシー。きっと、デヴィッドリンチ世界の、旧式の電話機の魂が宿っているのでしょう。

現代の事務所にはおなじみのメンバー以外にもスタッフがたくさんいます。マギーという女性、チャドという小太りの男性。そのほかに最低でも5名のスタッフ。 

高校でのドラッグの過剰摂取事案あり。担当はボビー・ブリッグス!最初、髪が真っ白になってたのでわかりませんでした。悪い奴だったけど、やるとなったらしっかり仕事しそうではありますね、ボビー。

飲酒運転を検挙したと言ってる男、チャド。丸太からのメッセージを小馬鹿にする一幕があります。25年前のあの不思議な一連の事件が、時間相応に風化していることがわかります。失踪したクーパー捜査官のことも、ブラックロッジへの入り口のことも、あるいは伝説の域になっているのかもしれません。

だけど記憶は簡単には風化しない。ローラの写真を見て記憶が蘇り、嗚咽するボビー・ブリッグス。ローラ・パーマーのテーマが涙を誘います。ボビーのこの、笑っているような泣いているような複雑な表情は独特で、いいですね。

ここでガーランド・ブリッグスについての重要な情報が。

ボビーいわく、「生前のガーランド・ブリッグスに最後に会ったのがクーパーだった。クーパーはガーランドを訪ね、何か話をし、そのあとすぐ街を出た。それ以来、クーパーの姿を見た者はいない。その翌日、基地の火事でガーランドは亡くなった。」とのことです。これは覚えておこう。

ウォーリー登場。この、居心地の悪さは何だ。彼は何かを示唆している?先住民との関わり。「ダーマ」の意味とは?

ここでアンディとルーシーの子ども、ウォーリーがどこからかひょっこり帰って来ます。しばらくバイクでどこか遠いところに行っていた様子。ウォーリーの名付け親はハリー・トルーマンということがわかります。

ここでウォーリーとフランク保安官の会話があるのですが、これが異様に居心地が悪いです。ウォーリーはおそらく25歳で、(もはや死語かもしれませんが)自分探しの真っ最中みたいな感じがします。そして一見して意味不明なことを思わせぶりに語ります。いわく、

「我々はわれわれの偉大なる地を移動してきた。数え切れないほど。その地図は心の中にある。小さな子どもだった頃の何の不安もなく楽しかった思い出の隣に。影はいつもそばにいる。時には前に、時には後ろ。時には左、時には右に。曇りの日以外は。あと夜は。」うーん、何なんでしょう。

それに対し保安官も言い淀みつつ、「君の車輪にふさわしい道になるよう祈ってる」と返します。ウォーリーはそれを受けて、「素敵な言い回しだ・・・ありがとう。俺のダーマは道だ。あなたのは・・・(無言)。」などと言って涙ぐみます。立ち去る保安官。全体的に居心地の悪い一連の会話でした。

他の記事でも触れられていますが、この時ウォーリーが着ているのは、『乱暴者』という映画でマーロン・ブランドが着ている衣装と同じものだとか。誕生日がブランドと同じだというウォーリー。

僕にはよくわからないのですが、マーロン・ブランドがネイティヴ・アメリカンの人たちへの差別問題に対し行動していたということは何かで知っていました。もしかすると、ここでブランドを連想させるキャラクターを出してきたことも、今回のテーマに間接的に何かの関わりがあるのかもしれません。ダーマという言葉も出てきましたが、これは仏教で言う、「法=ダルマ」のことでしょうか。

後半あらすじとわかったこと。

ダギー(クーパー)の朝ごはん。クーパーの朝ごはんといえばグレートノーザンホテルか保安官事務所でドーナツというのが相場でしたが・・。

赤い部屋からマイクがクーパーにコンタクトをとります。クーパー、全てを忘れても、赤い部屋からの交信は受け取ることができます。マイクがここで重要なことを伝えます。いわく、

”お前はだまされた。もう1人は死ぬことになる。”

なるほど。悪いクーパーが「ゲームは始まった」と言っていましたが、コイントスでは悪いクーパーが勝ったようです(もしくは、他の誰かの差し金かもしれませんが、、、)。

鏡を見つめるダギー(クーパー)。

サニージムとサムアップで通じ合うダギー(クーパー)。

コーヒーに過剰反応するも、吐き出すダギー(クーパー)。もしや、RRダイナーのコーヒーの味を無意識に想像していたとか?

バックホーン警察での重要情報。

検死官のコンスタンスから報告。首から下男の身体から採取した指紋にヒットするものが見つかったが、何とアメリカ軍がブロックしている。

サウスダコタ州ゴードン、アルバート、タミー捜査官のチームが到着。タミーの腰振りはデヴィッドリンチの演出か?そして何とも居心地の悪い会話、その2。悪いクーパーVSゴードン。

悪いクーパーの嘔吐物には毒。嗅いだ警官は入院。お気の毒。

悪いクーパーの車のトランクから見つかったのはコカイン、マシンガン、犬の足。三段オチですか。

異様に雰囲気のある部屋で面接を始めるゴードンチーム。レトロな機械とノートパソコンのコントラスト、部屋の黒い壁がめちゃくちゃかっこいいですね、このシーンは。

悪いクーパーとの面接が始まりますが、悪いクーパー、中身を吐き出しちゃって何かが抜けてしまったのか、話す内容から一本ネジが抜けてる感じがします。まともに話そうとしているけれど、何かが足りない感じです。言葉がおかしかったり、同じことを繰り返したり。でも本人はわかっていない感じ。

悪いクーパーいわく、

「潜入捜査をしていた。おもにフィリップ・ジェフリーズと組んでいた。メッセージを残した。フィリップに安全だと知らせるためのメッセージ。おれは本当にうちを出たことはないよ。」うーん、わからん。

面接終わり、困惑の3人。今見てきた者をどう受け止めていいものか、途方にくれています。外の光は青く、降り注いでいます。この上なく青く。

アルバートの告白。

ここで、これまで人に謝るところなんて見たことのなかったアルバートがゴードンに告白します。いわく、

「何年も前にフィリップから電話があり、至急と言われフィリップにコロンビアの男の名前を伝えた。フィリップがクーパーに情報を伝え、一週間後男は死んだ。」

ゴードンもため息をつきます。いわく、

「気に入らん。何かがおかしい。単なる事故とは思えない。言いたくはないが、この状況をまったく理解できん。」まさに青いバラです。

ゴードンとアルバート、「あの人物にクーパーに会ってもらう。」と話しています。さて、誰なのでしょうか。「飲んでいるところは知っている」と言われていることから、うーん、セーラ・パーマーでしょうか。個人的には、そろそろオードリーに出てきて欲しいんですけどね。

バンバン・バー。演奏している人たち、方向性は違うけどキーボードつきパフュームって感じで、魅力的でした。ロードハウスのオーナー何者なんだよ。ゲスト豪華すぎるだろ!!!

まとめと新たな疑問。フィリップ・ジェフリーズが徹頭徹尾謎です。

第4章で出てきた重要と思われる情報は、

①生前のガーランド・ブリッグスに最後に会ったのはクーパー。2人は何か話をし、そのあとすぐクーパーは街を出た。

②それ以来、クーパーの姿を見た者はいない。

③クーパーが街を去ったその翌日、基地の火事でガーランドは亡くなった。

④クーパーは何者かに騙され、ダギー(クーパー)か、おそらく悪いクーパーのどちらかが死ななければならない。

⑤切断された遺体から採取した指紋は、アメリカ軍がブロックしている。

⑥何年も前にアルバートにフィリップから電話があり、フィリップを通じてクーパーに情報(コロンビアの男の名前)を渡した。その一週間後、男は死んだ。

新たに出てきた疑問は

(1)ガーランド・ブリッグスとクーパーは何を話していたのか?

(2)ブリッグスの死とクーパーの関係は?

(3)クーパーを騙したのは誰なのか?

(4)悪いクーパーが言っていた、フィリップに残したメッセージとは何か?

(5)「おれは本当にうちを出たことはないよ」とは?

(6)フィリップはどこで、何をしているのか?

といったところでしょうか。ようやく少し落ち着いて、謎を追うことができる状態になりました。数話に1回でいいから、こういう回もあると安心できますね。では、第5章も楽しみに見たいと思います。


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