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祝えるかな

夜8時を過ぎた。
少し前までは、この時間に窓を開けていると、寒くて風邪をひきそうだったが、今日は外から入ってくる風が気持ちいい。

近藤美咲は、小学生からの友人である早坂由紀の結婚式を翌日に控えていた。
美咲と由紀は、小学校の入学前に出会った。
互いの親が、入学説明会で出会い、小学校入学前に娘に友人をつくってあげようという計らいで行われたランチ会で出会った。

美咲と由紀は、そこからの6年間ずっと仲良しだった。
しょっちゅう家族ぐるみで出掛けていたし、学校が終わったら毎日のように互いの家を行き来していた。
美咲は、とにかく由紀が好きだったし、一緒にいるととても楽しかった。嫌なことがあっても、由紀と遊んでいると嫌なことを忘れることができた。

それが中学校に入学してみると、美咲はあることに気づく。
小学校の時は、全く気づかなかった。
由紀は、女の子として、とても可愛く、男の子にモテるということだ。

美咲は、いわゆる普通の女の子。ブスと揶揄されるわけではないが、可愛いと言われることも少ない。
由紀と2人で歩いていると、意識をせずとも、男子生徒が由紀を見ていることが分かる。
廊下をすれ違う時も美咲とは目線が合わない。
みんな由紀を見ている。

小学生の頃、由紀と一緒に可愛い小物を買いに行くのがとても好きだった。
2人で「これ、可愛いね!」とお揃いのものを買うのが好きだった。

中学生になっても、2人で買い物によく行った。
由紀は、中学生になっても、「これ可愛い!お揃いにしよ!」と言っていた。
でも、これ持ってて可愛いのは由紀だけだよ…と思うようになってしまった。
それ以降、お揃いのものを買うことをやめてしまった。

中学生になり、洋服を買いに行くことも増えた。
ワンピースを着た由紀が「これどう?」と試着室から顔を出す姿は、本当に可愛い。
美咲も本当は由紀が選ぶような服を買いたい。
でも、本当に買いたい服よりちょっぴり地味な服を選ぶようになってしまった。

由紀は中学2年生で初めての彼氏ができた。バスケ部の爽やかな男の子。いつも2人で遊んでいたのに、以前より遊ぶことも減ってしまった。

その頃からだろうか。
美咲は、由紀に嫉妬するようになってしまった。

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