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140 やりたいことができているか?

イマジネーションを追って

 もしかすると、人間という生き物は、イマジネーションが先にあって、それを実現できると信じているのかもしれない。そのイマジネーションがどこから来るのか、わからないけど。
 空を飛びたいとか、海底深く潜りたいとか、月へ行ってみたいとか。
 それは欲望であり、その元になっているのは、イマジネーションだろう。だけど、私たちは飛行機には自由に乗れるとしても、自由に空が飛べているわけではない。海底深く潜るとなると、選ばれた人がめちゃくちゃおカネをかけないとムリだし。まして月へ行くことも不可能ではないけれど、好きに行けるわけではない。
 そこまで大げさな話じゃないけれど、
 たとえば、画家は本当に自分の思った通りの絵を描けているのだろうか。作曲家は自分の思った通りの音楽を生み出せているのだろうか。
 仕事だってそうだ。やりたいことをやれているのか。やりたくないことだとしても、自分なりに「これなら、まあ、いいかな」と思えるレベルまで到達できているのだろうか?
 毎日の生活だってそうだ。
 イマジネーションで描いた生活を実現できているのだろうか?
 夢というのとは少し違う意味で考えているけれど、これもひとつの夢だろう。たいがいの人は「先輩のように仕事をこなしたい」と思う。そしてそうなれるのか。たぶん、なれていない。あるいは、別の「自分なりの」基準で「これなら、まあ、いいかな」と考えているのだろうか。

満足できるレベルはどこか?

 かっこ良く言えば、もしかすると、イメージした自分の姿になることは、永遠にムリなのかもしれない。あるいは、自分の中にあるイマジネーションを現実にすることは永遠にムリなのかもしれない。憧れていたあの人のようになることは、永遠にムリなのかもしれない。
 おそらく、実現してしまう人もいるだろう。自分の持っていたイマジネーション以上のところへ到達する人もいるだろう。
 同時に、まったく届かないまま年齢を重ねてしまう人もいるだろう(私だ)。
 じゃ、ずっと抱いていた自分なりのイメージと似ても似つかぬところにいるかといえば、そうでもないかもしれない。これも個人差が大きいだろうけど、少なくとも私は、自分のイマジネーションに沿ってその目標したところまでは到達していないけれど、そこに続いているかもしれない道のどこかにいることだけは確かだと信じている。
 それも信じられなかったら、私はきっと激しい後悔に毎日、直面することになるだろう。だけど、いま、後悔することはほとんどないのだから。
 問題はそのレベル、到達点である。
 世の中がどうであれ、自分が満足できていれば、それでいい、と思う気持ちもある。同時に、それじゃダメだという気持ちもある。これは、どっちかではなく、恐らく両方あっていい。満足な部分と不満な部分。両方を抱えながら生きるのである。

PayPayで20%ポイントがつく話

 私の住んでいる地域で、さまざまなお店を対象に、そこで品物をPayPayで支払って購入すると、代金の20%に相当するポイントがつく、という話を聞いた。2月いっぱいやっているという。
 この段階で私のイマジネーションは膨らむ。「なんでも2割引きってことだよな」と。夢のようではないか? PayPayにチャージしまくって、対象の店で購入しまくるぞ、と。
 だが、いざはじまってみると、対象の店で欲しい品物は限られている。また、この期間に自分が使える金額も限られている。そんなに毎日、買い物ばかりしていられないし。とても、限度まで享受することはできそうにない。
 それでも月内ならやっているので、そこそこお得にはなるよね、と思っていたら昨日になって地域のお知らせで「予算が早期に達成してしまうので15日で終了する」ことがわかった。
 もはや、最初のイメージとぜんぜん違う。
 ちょっとだけ買い物をして、本当にポイントが還元されることは確認しており、それは最初はちょっとうれしかった。ところが、そもそも最初にイメージした世界とはかなり喜びも違っていた。街中を踊り歩きたいほどの高揚はないし、鼻歌さえ出ない。「これが望んだことなのか?」と疑問さえ浮かぶ始末である。
 あと5日の間に、なにを買えば、私は街中を小躍りして歩き、鼻歌が知らぬ間に出てしまうような幸福感を味わえるだろう。
 そこでふと気付くのだ。そもそも私は買い物でそんなに幸福感を得られるタイプではなかったのだ、と。福袋もセールもまったく興味のない人間だ。買い物で高揚したのはいつだったのか。子どもの頃にサンダーバードのプラモデルを買ったとき以来、あまりないのでは?
 つまり最初に描いたイメージそのものが、間違っていた。
 世の中にはそういうことも、あるのだ。

どこかで見かけた人


 


 
 
 

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