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「よちよち歩き」で樹を上るエゾモモンガの赤ちゃん|愛しい北海道ANIMALS

この連載愛しい北海道ANIMALSは、北の大地に暮らす動物たちを23年間にわたり見守り続けてきた結びさんによるフォトエッセイです。そんな結びさんの撮影する動物たちの姿は、おもわず息をのむほど美しかったり、可愛らしかったり、ときに猛々しかったりします。今回は、結びさんにとってのアイドル、エゾモモンガの可愛らしい姿をお届けします。

写真を始めた頃は会えると思っていなかった、憧れの動物だったエゾモモンガ。あの可愛い姿を撮影するのはとても大変。やっとの思いで巣穴を見つけても夜行性の動物、警戒すると真っ暗になるまで出てきてくれません。撮影できるまでには本当に多くの時間を要しました。冬は深い雪の中、カメラが使えなくなるほどの寒さに耐えなければならなかったり、赤ちゃん誕生の時期には虫に刺されていてもじっと我慢するしかなかったり……。それだけに、うまく撮影できた時の喜びは本当に大きなものでした。

夜行性のエゾモモンガですが、今のカメラの性能なら多少暗くても綺麗に撮影できます。以前よりチャンスは増えましたが、明るいところで撮影できればそれに越したことはありません。下の写真は恋の季節、明るい時間にメスが出てくるのをじっと待つ可愛いオスのエゾモモンガです。

やがて春になり、この子も恋を実らせたのでしょう。お母さんです。辺りを警戒しながら明るい時間に巣穴から出てきて、周辺の葉っぱが無くなっちゃうかも……と思うほど凄い勢いで食べていました。子育てって大変ですよね、お母さん!

もの凄い勢いで食べるお母さん

そんなお母さんの姿を観た数日前、初めて小さなお顔を確認。その時の感動はなんと表現したらよいか、とにかく可愛いすぎました。巣穴から顔を出したり引っ込めたり、チョロチョロと動くこの子。巣穴には、3匹の子供とお母さん、すこし大き目の1匹、ぜんぶで5匹が同居していました。一部の動物はヘルパーと呼ばれる母親とは別に子育てを手伝う個体もいるらしく、行動を観ていると、すこし大き目の子はヘルパーだったのかもしれません。

お母さん(左上)と小さな可愛い顔をのぞかせ外に興味津々の赤ちゃんエゾモモンガ

数十日にもわたる観察のあいだ、明るい時間に巣穴から出てきたのはお母さんが2度ほどでした。

左は巣から出そうで出ない昼間のエゾモモンガ、
右は暗くなってお出かけするところ
(※明るく補正しています)
「よちよち」と樹を上っていく二等身?の赤ちゃん

ところが、ある暑い日のこと。チョロチョロと巣穴から顔を出したかと思うと、頭と体が同じくらいの大きさの可愛い子が、ついに全身を出して絵に描いたような「よちよち歩き」で樹を上り始めたんです。

まさかのことに焦りと感動を覚えながら、なんとか動画に収めました。ただ手振れがひどいのはおゆるしを。

その日の様子は拙著『愛しい北のANIMALS~優しい時間』でもご紹介しています。

明るい時間に二等身のエゾモモンガの赤ちゃんを撮影できたのは、この一度きり。とても貴重な体験でした。いつかまた、暗闇や虫の恐怖を忘れた頃に、会いに行けたらと思います。なんと言っても私のアイドルですから。

冬に会った幼く見える子。
秋に生まれたばかりかな?

文・写真=結び

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全68種のかわいくて素敵な動物が勢ぞろい
北海道の野生動物をとらえた写真集

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愛しい北のANIMALS 優しい時間』結び 著

人気のシマエナガや「エゾのつく」リス、モモンガ、シマリス、ナキウサギ、珍しいオコジョなど、北の大地でしか出会えない野生動物たちに、迫力のシャチ、フクロウの仲間まで多数収録。親子や赤ちゃんの愛らしい様子など、北の大地の素敵な動物たちの小さな物語やびっくりが隠れています。本の中には、白いエゾリスやエゾオコジョも出てきます。
撮影時の動物とのエピソードを描いたイラスト付きで、親子で楽しめる写真集になっています。23年間にわたり北の大地を撮影してきた北海道在住のフォトエッセイストが手掛けた、ほっこりと雄大さを兼ね備えた一冊です。

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