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なぜかひょうきんに見えるエゾリス|愛しい北海道ANIMALS

この連載愛しい北海道ANIMALSは、北の大地に暮らす動物たちを24年間にわたり見守り続けてきた結びさんによるフォトエッセイです。そんな結びさんの撮影する動物たちの姿は、おもわず息をのむほど美しかったり、可愛らしかったり、ときに猛々しかったりします。今回は、可愛らしくて人気の「エゾリス」の登場です。

おひさしぶりです。北海道はまだ寒いよ~と思っていましたが、流氷を観に行った先で春の便り“福寿草”を発見しました。極寒の地にも春は来ているんですね。そんな寒いところに住む、なぜかひょうきんに見えてしまうエゾリスのがんばりをご紹介します。

トップの可愛い子は、まるで「よっ!」と挨拶をしているように見えますが、ポリポリとお腹を掻いているところです。

まだ雪もたくさん残る3月。マイナス二桁まで冷え込んだ早朝にエゾリスの活動は始まっていました。少し離れた所にその姿を発見!近づくと地面を一所懸命に掘る一匹の可愛いエゾリス。くるくると体を回し、辺りを警戒しながら掘り進めています。

ところがいつまで経っても、安全な木の上にくるみを運ぶことができません。すると、いつもなら木の上から聞こえてくるカリカリ、ギジギジという音が、地上で聞こえ始めました。どうやら凍った地面に埋まったくるみを、その場で割ろうとしているようです。がんばれよ!と私も見守ることに。途中で「疲れた~」とでも言いたげに顔を上げ放心状態になっては、再びカリカリが始まります。ふと、時計を確認すると約30分が過ぎていました。

最初に地面を掘り出した子
右は疲れて、少し放心状態?

そこで驚くべきことが……。音を聞きつけたのか別の子が現れ、くるみを横取りしてしまったんです。横取りされた本人がいちばんショックを受けたと思いますが、観ていた私も嘘!と絶句してしまいました。せめてもの救いは、掘っている最中に少しですが食べている様子が窺えたことです。

元の子が戻って来るのを願いつつ、横取りした子にも付き合うことにしました。このとき、じつは周囲に狐の臭いがぷんぷんしていたのです。見張り役を果たす気持ち半分、くるみを食べる姿を観たい気持ち半分といったところですね。

その後、横取りした子も30分近くがんばっていましたが、私が機材を取りにちょっと離れた隙に、地面のくるみは姿を消し、近くの木の上で穴の開いたくるみを食べている子がいました。写真ではどちらの子か(もしくは新たに別の子が現れたのか)、見分けがつきません。最初の子ではないような気がしますが、皆さんはわかりますか?

左は横取りした子
右は掘り出したくるみを食べる子
(この子はいったい誰?)
雪の中に埋めた餌を探す子
可愛い顔で何度も周りを確認

人間がくるみを食べる時は、さほど苦労もせず剥き身などを食べると思いますが、エゾリスにとってはこんな苦労もあったんですね。雪深い冬も、もうすぐ終わり。もこもこで耳の毛が可愛らしい冬毛から少しずつ夏毛へと変わり、何か月か後には、可愛らしい子どもたちを連れてやって来るかもしれません。それまでに、巣作りもしなきゃいけないし、いっぱい食べなきゃいけません。可愛い子たちにまた逢える日を待ってるよ!

樹氷がつく枝で
逆さまで失礼しま~す
やめられない!
空飛ぶエゾリス
忙しいから歩いてらんない?
飛膜はありませんが樹から樹へ移動する時に大ジャンプも
春(恋の季節)なの?いつもなの?
追いかけっこをする2 匹

文・写真=結び

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全68種のかわいくて素敵な動物が勢ぞろい
北海道の野生動物をとらえた写真集

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愛しい北のANIMALS 優しい時間』結び 著

人気のシマエナガや「エゾのつく」リス、モモンガ、シマリス、ナキウサギ、珍しいオコジョなど、北の大地でしか出会えない野生動物たちに、迫力のシャチ、フクロウの仲間まで多数収録。親子や赤ちゃんの愛らしい様子など、北の大地の素敵な動物たちの小さな物語やびっくりが隠れています。本の中には、白いエゾリスやエゾオコジョも出てきます。
撮影時の動物とのエピソードを描いたイラスト付きで、親子で楽しめる写真集になっています。23年間にわたり北の大地を撮影してきた北海道在住のフォトエッセイストが手掛けた、ほっこりと雄大さを兼ね備えた一冊です。

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