82 村山由佳『ある愛の寓話』
愛とは何かを考えさせられ、「愛とは自由である」ということを感じさせられる、そんな「人」と「人でない存在」との寓話集6篇。シンプルな作品名で明確なイメージが湧かないままページを捲り、そのメッセージの深さ、愛することの温かさや美しさに心を震わされる。ぬいぐるみ、犬、猫、かご、馬、聖母と、愛する主体も客体も人に限らない。生きものに限った話でもない。もっと自由に考えていいし、そういう愛のかたちに気付けるようになれば、もっと豊かで色鮮やかな人生に繋がるはずだという確信も得られた。