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詩になりたい

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詩未満のことばをつらつらと。
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2020年12月

わたしのいのちが、街角に捨てられる。 そう言っても、あなたはみんな同じと嗤うだろう。 そのみんなの中に、あなたのわたしは入っていない。 記憶の中の夜は、秘密基地だった。 本のページはどこまでも深く、イヤホンを伝う音楽は翼になった。 なのに、うなされて出会う今は、何も見えないアウシュビッツ。 解放軍は来ず、博物館の出口もない。 わたしという物質は、痛みと苦しみを予習する。 「いまできることを、精一杯やって」 羊のように繰り返す標語は、闇に跳ね返って、檻の中に積もる。 どれだ

概念

自分がどうしたいかわからないって 自分自身に問うことができないって その概念がわからないって わからないことに迷う 頑張る人は救われるって、それは十分わかるけれど 頑張れない人は地べたを這いずり回るしかないの? 社会の家畜 その生き方しか知らないって、それは自己責任? 自分の意志があることすら知らぬ子どもよ 消費しか知らない 大量消費が称賛された時代の教育 無為無策無思考でも、お金を使えば褒められた 何かを言えば、莫迦にされた 自分に向き合うって何? ブラックホールの前に

本を読んで文章を書きたい。 インプットとアウトプットをくりかえしたい。 牛みたいな生き方だねって、奥底から声がする。 草のように本を食み、言葉を反芻する。 世の中は、反芻を重ねるほど折れ曲がっているから。 やわらかい葉っぱのように見せかけつつ、消化させてくれるほど優しくはない。 反芻して、口の中で言葉を転がしてみて、書き出す。 でもそれは、誰かの乳になるの? 牛は、まとめて牛舎に押し込められ、同じ餌を食べ、乳を搾られる。 加工工場のパックに詰められた創作物に、個体差なんてな

すき

好きという気持ちが誰かに向かうって、呪縛。 だから、鎖のはずし方を知らない子は、壁に向かう。 誰のせいでもない、過去から伸びた輪っかがじゃらじゃらと。 本当は、幼稚園児みたいに手を掴みたがってるなんて、認めてどうなるの? 恐怖を積み重ねれば、重ねた隙間から、光がこぼれるかもしれない。 自己責任は強者の論理って、思った途端に他人を排除する。 切られたくないけど、気がつけば切っている。 鎖のせいにして、死者の仮面をかぶって、王道にすがるのは臆病者。 手の中に残るのは灰だけ 四

否定する快楽

仕事を何もやってないって全否定されたら、心はどこまでもくしゃくしゃになってしまうけれど、がんばっているよねって別の人に言われただけで、すがりついてしまう。 無責任な称賛、と一歩ひいていないと重くなりすぎる、というブレーキ。 しわを伸ばすときは、誰かじゃなくて、自分自身の手でやらないと、いつまでたっても子ども思考のまま。 気づかずに、自分以外を全否定したくなる、その快楽に水をかけろ。 おまえは何者でもないって、世界のはしっこをばたばた走る哺乳類に過ぎないって、モラハラをしかけて

上を向く、排除の誘惑

自分が変わりたいからって、上ばかりを見ていると、首が痛くなる。 下を見ると何もしなくなるからって、そう言う自分はいい気なピエロ。 誰が誰より上か下かなんて、器の小ささが証明するグラフでしかない。 でも、言葉の大きい人が放つ物差しに、なびきたくなるんです。 ラクだから。 ぶら下がってさえいれば、いつか懸垂できるようになるって、夢が見れるから。 上だと思っている社会も、ただの小さなとある社会。 差別は駄目って、人としての絶対条件だと思うのに、ビジネスは取捨選択を肯定する。 あん

トンネル、トンネル

トンネルの中ばかりを歩いているのは、ほかに道を知らないから。 道とはそういうものですよ、大人はみんな言っていて、原っぱを歩いていたのに蹴落とされた。 右も左も不確かなテクストで、歩く私を侵食してくる。 おまえに価値などない、なんて言われたくないのに、身体は重く沈んでいく。 沈んで、固まって、倒れこんだら、トンネルの呪詛が流れ込んできた。 蹴落とされずに原っぱを歩き続けた人がいたと知ったのは、呪詛が見苦しかったから。 彼の人々には、翼がある。 トンネルを剥がして、私も原っぱを

何かを成したい、何もしていない奴と空虚な妄想

Twitterのタイムラインに物販展の告知が踊っているけど、物欲なんて忘れてしまった。 身の回りのモノが重くて、私は風に乗ることができない。 肉体も死の扉をくぐり抜けられないのに、いったい何が必要なの? トークショーはどこまでも学校みたいで、皮膚がざわめく。 何かを成した人と何もしていない自分が同じテーブルにつくわけないって、理解しているアナログとフラットな妄想。 フォロワー1万人の誰かと同じツールを使っても、自分に価値はないと告げる冷酷な数字。 自分で踏み出さなきゃ自転車