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カウンターカルチャー意識の希薄な日本は、新商材を生み出しにくい?

『反逆の神話』の感想記事に書くつもりだったのに、うっかり書きそびれた
ことを書きます。

日本も、昭和の頃はカウンターカルチャー意識ってそれなりにあったと思うんですがね。バブル崩壊後、失敗が怖くて現状維持にしがみついたという気がします。

というか、そもそも経済においては、猿真似しかできなかった国。
明治維新後、西洋に追い付け追い越せで近代化し、敗戦後はアメリカに追い付け追い越せ以下同文。
SONYのウォークマンのように先んじたことはありますが、技術者だけが先んじすぎてガラパゴス化し、潮流に乗り損ねて、30年連敗。

諸悪の根源は何かって、現状維持で目先の利益ばかり考えることと、とりあえず上役に逆らわないように穏便にやっていこうとすることなど、日本人の島国根性ともいわれるようなことではないかと、思えてくるんですね。

『反逆の神話』を読んでると、アメリカ経済の発展って、まさに既存の価値観の否定から始まるカウンターカルチャー意識にあるように思えるので。
既存のものはダサい、新しいものがクール、そんな感覚であれこれ生み出していけば、革新的な商品やサービスも生まれようというもの。

かたや、大企業を守ることに終始して従業員を大幅リストラし、有能な人材もどんどん海外流出させた日本。
世界中がIT産業に資金投入した頃、うちはものづくりの国だから~的な感覚で、どうせバブルと見下ろしていた日本。
下からの意見の突き上げを嫌い、権威主義的トップダウン組織を守り続け、コストダウンと称して下請けなどの弱者を切り捨て続ける日本。

この、既得権益者を守るだけの構造を何とかしないと、衰退していくのは止められない気がする。

で、既得権益者というと、高齢者全般がそれだ! として、高齢者医療や福祉を削減して若者支援にあてるべきだ! という意見が湧いてくるんですけどね。いや、それこそ、既得権益者の思うつぼやんて。
今の高齢者の貧困層って、90年代に強制的にリストラされた人々やん。能力どうこう以前に、1万人とか2万人とかリストラ人数が決められて、パワハラの下で追い出された人たちやん。
ロスジェネ世代の若者と、何ら変わらないし、何ならロスジェネ世代の生活を支えてたりするし。どこが既得権益者?

加えて、自己責任論でしょ?
あれもこれも自己責任だったら、国家や社会が存在する意味がない。
強いものが弱いものを守り支える、そのために税金があるし、国民が全員で政治家を養っているんだから。

だからさ、新しいことに挑戦して失敗したとしても、国家でそれを守ろう、成功したらみんなでその恩恵にあずかろう、そういう根本的な部分での方向転換がないと、経済回復なんてないよね、という話。
いや、そんなの、いろんな人がとっくに何度も言ってるんだけどさ。聞く耳持たない人たちが力を持っていると、「大洪水よ、我が死後に来たれ」なんだよね。

それから、新しいものを考えようとする人たちも、自分が考えた新しさが、長い人類史の中でどういう位置づけのもとにあるのか、そこを証明できないと弱いと思う。特に、日本の近代史をどう背負っているのか、そこを考えた上でじゃないと、ホンモノとしては弱い。
カウンターカルチャーが、そもそもナチスのホロコースト反省から来てるということを考えたら、個人の興味とか好みとかだけで新しさを追究することの弱さって、もう否定しようがない。まして大日本帝国の戦争を礼賛するなど、クールの対極。

と書いていくと、もうどんよりしてしまう。
出る杭は打つ、の日本が経済大国でいられたのって、たまたま大量生産の時代があってそれに便乗できただけやん。
アメリカとも中国ともインドとも、水をあけられるばかり。
かくいう私も、家族を養うために、黙って命令に従って働いている部分は、ある。

未来のことなんて誰にもわからないし、正解がどこにあるのかもわからない。
ただ、今の日本のやり方で、高度経済成長期よ再び……なんて夢は無理だよ、というのだけはわかる。というか、多分、自民党とその支持者以外の人は10年前からわかっていたんじゃないかな。円安、五輪、万博での成功なんて、20世紀の遺物でしかないって。今は社会構造が全然違うって。

『反逆の神話』の著者たちじゃないけど、簡単に問題解決できるわけないし、ひとりひとりができることをやっていくしかない。
また、日本人にアメリカ式の経済発展は無理なのだから、消費を減らした低経済に甘んじるというのも一つの案。二酸化炭素排出は抑えられるし。農業国へと舵を切る必要はあるけど。

できれば破滅したくないし、子どもたち(うちの子に限らず、すべての子どもたち)に、辛い思いはさせたくない。
万博カジノが失敗事業だということだけは事実だから、あれの損切だけはさせたい。してほしい。それを願いつつ、ご飯を炊く。

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