9.11に想いを馳せて

私が滞在した2001年の9.11後、各地でテロや誤爆などの混沌とした政治状態の中、もくもくと現地アフガンの農民と日本人スタッフ、日本の皆様からの多額の寄付金に溢れた熱意をもってスコップで掘り、木にみずやり、少しずつ沙漠化した農地の再生の根幹となる用水の建設を進めていました。

用水路が通り、水がくると、どこからか人々は帰ってきて子どもたちは用水路で水遊び、大人は沙漠地に畔をつくり、畝をたて、畑にかえていく。そして畑で収穫したものを料理して食べる。こういう姿を小さなときに体験すること。もちろん、戦争をしていたら、食べのものできません。仲間と協
力して働かなければ用水路はできない。
 
現実の生活を変わりゆくふるさとの景色をみて子どもたちは平和な日々の暮らしを体感していきます。
まさにこの体験こそ美しい世界の礎となっていくのだと思います。
労働の歓び、汗を流して働く喜びがここにあり平和をつくっていくんだと僕は思います。
 
土をいじる、農業をしていると本当に心が安らぎ、平和のエネルギーをもらいます。私の父や回りの初老を見ていると、定年後ゆっくりと農業をしているように、誰しも土に触れていたい、戻りたいという性質があるのだと思います。
土づくりをして、野菜を育てる。はぐくむという行為は人々の心を癒し、安らぎ、生命の源を高めていくような感覚があります。
 

そのことを考えると、もともとは農業国であり、主要産業が農業のアフガニスタン、人口の8割ほどは農業、遊牧、土に接しして生きようとしている人々です。しっかり農業が盛んになって食べ物や水が満たされることが平和な世の中の礎の基礎となるのではと思います。
少なからず、私たちの日々の労働の血税でこの20年間で1兆円ほど使われてきました。今の現状に少なからず関係があるのではと思います。
何ができるか。常に考え行動する必要があると思います。

ペシャワール会現地代表であった中村先生は30年の現地活動をへて、こんな言葉を残しておられます。
『信頼』は一朝にして築かれるものではない。利害を超え、忍耐を重ね、裏切られても裏切り返さない誠実さこそが、人々の心に触れる。それは、武力以上に強固な安全を提供してくれ、人々を動かすことができる。私たちにとって、平和とは理念ではなく現実の力なのだ。


同じようにこの鳥取タイムでの長年活動も大きな力を感じました。タイムの皆様のアフガニスタンのみならず世界中の出来事を隣人のように考え、取り組む 続けることこそが平和への道ではないかと思います。

ほのぼのハウス代表 元現地スタッフ 山口 敦史

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