「おもひでぽろぽろ」③記憶は書き変わる
ラストは、過去の記憶についてです。これは映画に直接関係がないですが、この映画が過去の記憶が大きなテーマだったので、記憶についての考察としてお読みいただけたら嬉しいです。
こちらの続きです。
「おもひでぽろぽろ」①高畑勲監督の人間の心の描き方
「おもひでぽろぽろ」②共感と記憶
映画は27歳のタエ子が小学5年生の頃のエピソードを思い出しながら話が展開していきます。
ここが重要で「27歳のタエ子から見た記憶の中の小学5年生の世界」です。
それが本当にタエ子が小学5年生の頃の事実、とは限りません。
過去に同じようなことはあったとしても、事実ではないのかもしれません。記憶なので、今のタエ子が都合よく美化したり、誇張したり、自分の都合のよい解釈にしているところもあると思います。
それほどに、記憶というのは実はとても曖昧です。
そして記憶は書き変わる、ということも起こり得ます。過去にもブログで綴っています。その部分だけ引用します。
記憶は自分の都合の良いように書き換える可能性がある、ということです。
今の自分に何か問題があり、それを解決しようと思った時、原因を探すと思います。その原因を過去に向けることは誰もが大なり小なりあると思います。毒親、親ガチャ、などという言葉も、その象徴ではないかと。
確かに、本当に厳しい環境で幼少期を過ごされた方もいると思います。私にはその苦しみはわかりません。
でも、過去に、幼少期の環境に原因があるとなれば、今の自分の問題を正当化することにも繋がります。
これは「インナーチャイルド」も同じ要素があると思っています。
過去に原因があるのも事実だと思います。でも、誰もが原因となる要素を抱えているとも思っています。
お金に困っていて教養が受けられなかった子もいれば、それをバネに力をつける子もいます。裕福な環境でチャンスを広げていく子もいれば、そのプレッシャーに負けてしまう子、反対に、外から与えられることを当たり前と思ってしまう子もいると思います。
完璧な環境はあり得ません。
そして今の問題を解決するのは、今の自分の意識でしかないと思っています。
過去に囚われ、今の自分を自己正当化していても、解決策には至りません。自分の満たされない思いはいつまでも解決しない。
映画の中で小学5年生のタエ子が度々登場します。
そこからタエ子という人物像がじんわりじんわり染み込んできて、それが27歳のタエ子の課題と重なり、味わい深さとなっています。
子どもの頃のタエ子って可愛いんです。でも、今のタエ子はちょっと可愛くない。笑
もちろん子どもと大人で比較したら、単純に子どもの方が可愛い、という話かもしれません。
5年生のエピソードは、今の自分が回想している過去です。今の自分にとって、ちょっと都合の良いように解釈しながら、幼少期の記憶として定着しているのかもしれません。
可愛らしくありたいという自分の欲求が、気持ちが過去の記憶の中の自分を作り上げていく可能性があるということです。
だからこそ、過去に囚われているとちょっと危ないとも思っています。
美化もできるし、誇張も出来てしまう。過去に原因があると過剰に思うことで今の自分を被害者にも出来てしまう。自分以外の人(特に親や、生活環境)を今の自分の原因にも出来てしまう。
・
過去に意識がフォーカスしすぎると、今の課題が解決しないように思います。
今の自分しか、未来を生み出すことが出来ません。
でも、過去のトラウマとなっていることを確認したり、向き合うことで、自然と未来に視点がいくのも事実だと思っています。
タイムウェーバーはそのお手伝いも出来ます。
私は特に占星術的に「記憶が書き変わりやすい」出生図のようです。だからこそ、記憶の変化への意識が強く、このテーマが興味深いのかもしれません。
高畑監督の土星が私のカイロンにあることも影響していると思います。
子どもの頃は宮崎駿監督作品に対し、高畑監督の作品の面白さがイマイチ理解できませんでした。今こうして味わい深く、胸が熱くなり、考えさせられて、こんな再会はとても嬉しいです。
映画はこうして時を経て観ると、味わい深さがぐっと変わりますね。その時にぐっとくるポイントで今の自分を知る機会にもなるように思います。
グッとくる理由は占星術からも紐解くことができます。
ということで「おもいひでぽろぽろ」からの考察でした。
最後までお読みいただきありがとうございます。
深層心理分析セッション、受付中です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?