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【ココロコラム】目標達成のポイント

新年度です。新たな目標を立てる人が多いと思いますし、心機一転決意を新たにする気分になるものです。今回は目標に少しでも近づくには、どうしたらいいか?知っておくべきポイントを考えます。

目標は、肯定的な形で持つことが大切です。酒やタバコやギャンブルをやめにくいのは、依存性によるものが大きいのは確かにしても、一般論として何かをやめるという否定的な目標自体が難しいのが大きな原因です。それよりは、肯定的な目標にすり替えたほうが、達成しやすくなります。何かをやめる場合にしても、禁煙なら「禁煙日誌を毎日書く」など、なにかしら肯定的な行動にしたほうが達成しやすくなります。

落ち込んだ人は「こんなに落ち込んでいたくない」とよく言います。「◯◯したくない」などの否定語が入った目標は、達成しにくいです。目標そのものが、到達していない今の自分を責める内容になってしまっているからです。もう少し、前向きな目標に書き換えたほうがやりやすい。たとえば、落ち込んでいなかったら何をしているか?を考え、それを目標にしたほうがいいでしょう。

やりたくないことより、やりたいこと、あるいはできることを考えていくのが、目標達成の一つのコツです。

また、目標はなるべく漠然としたものにせず、能動的にまとめておくのも、達成しやすくなるコツでしょう。「人間関係をよくしたい」「異性にモテたい」などだと、ちょっと漠然としすぎです。それよりは、特定のある人ともう少し親密になりたいとか、同僚の◯◯さんの気を引きたいなど、具体的なほうが実現しやすいです。

これと関連して、目標のためにやれる行動を、たくさん考えるのもよい方法です。「怒りっぽいのをやめたい」という目標があったとします。これではちょっと達成が難しい。何をすればいいのか考えてみると、「相手の言い分をよく聞く」「むかっときたときでも少しだけ待つ」「他の方法で発散する」「自分で自分を褒める」など、やれることがたくさんあるはずです。

目標を決めたら、そこにいたる行動をあれこれ考えておきましょう。その数が多いほど、達成に近づきます。特に、短い時間でやれそうなことを多数見つけましょう。目標を達成できるかどうかは、短い時間ですむことを、毎日積み重ねられるかどうかに大きくかかっているからです。

「目標が達成できることはもう決まっている」と、最初から決めてしまう方法もあります。もし達成できるとして、そこから逆算して今の自分は何をしているだろうか?を考えると、行動に出やすくなります。

「落ち込んでいたくない」が目標だとすれば、「落ち込まなくなったら、今何をしているだろうか?」を考えてみる。そして、少しずつでも、落ち込んでいないと仮定したときに、自分がやりたいことをやってみると、早く落ち込みから抜け出せるものです。これは精神科医が面接の現場で多用しているテクニックですが、目標達成一般に広く応用が利きます。

もうすでに目標を達成することは確定している。達成した未来の自分から過去を眺めたら、今の自分は何をしているだろうかを考えてみるのは、想像以上に有効です。すると、目標への具体的な行動が少しだけ見えてくるものです。

4月は目標を立てる時期です。目標倒れにならず、一つでも達成すると、それが自信につながり、他のことをやり切る原動力になります。その意味でも、目標を達成しやすくする技術を知っておきたいものです。

(精神科医・西村鋭介)


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