雑草に学ぶ生存戦略
AI翻訳が日々進化している今、翻訳者としてどう生き残っていくかをずっと考えています。
で、昨年のとある週末、安住アナのラジオ番組『日曜天国』を聴いていたときのこと。
その日の番組のゲストは、植物研究者の稲垣栄洋さんで、雑草の生存戦略について話していました。
聴いていてふと「これは、翻訳者の生存戦略を考えるうえで役に立つのではないか?」と思い、稲垣さんの著作を検索して見つけたのがこちら。
雑草の生存戦略がスゴ過ぎる
読んでみたらまあ、雑草たちの怖いほど貪欲な生き方に驚きっぱなしでした。本書では
あえて人に踏まれて種を運んでもらうオオバコ
草取りをすればするほど増えるカタバミ
生える場所(田んぼか畑か)によって生存戦略を変えたスズメノテッポウ
などなど、主に8種類の雑草を中心に紹介されています。
どの雑草にも共通していたのは、
自身の強み・弱みを理解して、最適な生存戦略を採用する
逆境を巧みに利用する
環境の変化に抗うのでなく、適応する
ということでした。
進化の過程で試行錯誤を繰り返し、現在の戦略にたどり着いた雑草たちからは、実に学ぶことが多かったです。
人に踏まれて種を運ばせるオオバコはなんとなくマゾっぽいですが、非常にしたたか。
人間でも、意図的に下手に出て腰の低さをアピールしつつ、やることはしっかりやるみたいな戦略をとっている人、たまにいますよね。
こんな感じで、雑草の生存戦略を人に置き換えて考えながら読むのも楽しかったです。
雑草から得たヒント
そんな実に賢い雑草たちの生存戦略を、自分に当てはめて考えてみると、
翻訳者にとっての「逆境」であるAI翻訳をどう利用すべきか?
自分の強みを最大限に生かせる場所はどこか?
翻訳者にとっての「環境の変化」がAI翻訳だとするならば、それにどう適応すべきか?
などの問いが浮かんできました。
これ、何かに似ている…と思ったら、先日木下斉さんのVoicyで聴いた「SWOT分析」だと気づきました。
強み(S)、弱み(W)、機会(O)、脅威(T)の項目にごとに、自分が今置かれている状況を分析し、今後の戦略を立てるというフレームワークです。
放送で言及されていたクロス分析はやっていなかったので、早速やり直しています。
芋づる学習でさらにびっくり
本書から派生して、さらに植物の生存戦略をいろいろ調べていたら、こちらのテレビ番組を発見。全エピソードを一気見しました。
最も印象的だったのは、キャベツの生存戦略。キャベツは芋虫に葉っぱを食べられると、SOS信号(匂いを出しているらしい)を送って寄生バチを呼び出します。
呼び出された寄生バチは芋虫に針を刺し、芋虫の体内に卵を産み付けます。
その卵が芋虫の体内で孵化すると、芋虫は死んでしまうのです…。
まるで映画『エイリアン』のようではないですか!?怖すぎる。
葉っぱを食べただけなのに、この仕打ち。
会社員Aさんが職場の天敵から攻撃されている最中にSOS信号を出しても、どこからともなく救世主がやってきて天敵をやっつけてくれる、なんてことはまずない。せいぜい、人の好い同僚が援護してくれるぐらいの話でしょう。
キャベツのコミュニケーション能力に驚嘆したのでした。
本書を読んで、自然界の掟から学べることって、自分が思っていたよりはるかに多いのだということに気づかされました。
動植物の生存戦略について深掘りしてみようと思います。
最後に、本書のキーフレーズを1つご紹介。
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