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手の中の音楽13(その2)〜映画「マンハッタン」と“ラプソディ・イン・ブルー”

前回、ガーシュインと記してきたが、正確にはジョージ・ガーシュインである。先日、その楽曲の著作権の話題がニュースになっていた。ガーシュインは、1898年生まれで1937年38歳の若さで鬼籍に入った。死後60年を経過すると著作権が消滅し、作品はパブリック・ドメインとして無料で使用ができることとなった。

ジョージ・ガーシュインには兄アイラがいて、ジョージ作曲アイラ作詞で、多くの楽曲が作られた。私もそう理解していた。アイラは弟と違い長生きで、1983年86歳で亡くなった。したがって、ジョージ作曲アイラ作詞とクレジットされていた作品は、メロディについてはパブリック・ドメインとなり、詩についてはアイラの著作権が残っていた。

ところが、今回のニュースでは兄のアイラも多くの作品の作曲に関与していることが確かとなり、メロディについての著作権が復活したのである。

このニュースをきっかけに、改めて“ラプソディ・イン・ブルー”を聴きたくなり、映画「マンハッタン」を見直した。なお、“ラプソディ〜”はジョージ・ガーシュイン(以下、ガーシュイン)単独の作品である。

クラシック音楽には興味のなかった高校生だったが、「マンハッタン」で“ラプソディ〜”を聞くことで、オーケストラの奏でる音楽が色彩を持つことを(画面が白黒であるにもかかわらず)、感性に訴えかけてくることを初めて知った。

そして、ジャズ的な音楽とクラシックが融合していること、もっと大袈裟に言うと、音楽はジャンルを超えて結びついていることを認識したのだと思う。

「マンハッタン」はオープニングと、 エンディングに映像との見事なシンクロで“ラプソディ〜“が使われているが、劇中もガーシュイン(兄アイラを含む)の曲のオンパレードになっている。殆どの演奏はズービン・メータ指揮のニューヨーク・フィル(一部は、マイケル・ティルソン・トーマス指揮のバッファロー・フィル)と豪華版である。

"Someone To Watch Over Me"、"S'Wonderful"、"But Not For Me"などなど、スタンダードの名曲も繰り出され、それがドラマと見事にマッチングしている。ロックばかり聴いていた耳に、こうした音楽の心地よさ、また映画のイメージに引っ張られた“おしゃれ“な雰囲気を、高校を卒業し東京で一人暮らししようとする私は、大都会での生活を想像しながら感じていたのだろうと思う。

その後の私であるが、まずはガーシュインを始めとするポピュラー音楽の世界を、ミュージカル映画やジャズで認識を深めることになり、“主として“作詞を担当したアイラの才能も理解することになる。クラシックに入るにはもう少し先になるのだが、私の原点の一つは“ラプソディ・イン・ブルー“であることは間違いない


*尚、映画「マンハッタン」のサントラは、Apple Musicなどの配信で聴くことができる

献立日記(2021/9/21)
鶏手羽先の塩焼き
サザエの壺焼き
パドロンペッパーのニンニク炒め
トマトとルッコラのサラダ〜バジルドレッシング




*ガーシュインの伝記映画「アメリカ交響楽(原題 "Rhapsody in Blue")中のシーン


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