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「鉄鼠の檻」


先日、禅のことを学びました。そうすると、以前読んだ京極夏彦の「鉄鼠の檻」という禅僧が沢山出てくる作品を思い出して読み返してみたくなりました。

探してみると漫画版が出ているらしく、内容を思い出すには最適だなと思い購入しました。

京極堂シリーズとは

主人公は古書店店主かつ神主(憑物落とし専門)の中禅寺秋彦。彼が遭遇した殺人事件の謎を解くというストーリーで、全8作あります。

中禅寺が陰陽師として人間の心の奥底の闇に巣食っている妖怪をあぶり出すことで犯人に憑いているものを落とし、真相究明、解決に至るわけです。

ここが好き

他の謎解き事件ものとは違って、人間の心の闇にアプローチするのが興味そそられます。人間の怖さや悲しみや哀れさがリアルです。
また古書店で一日中本を読み漁っている中禅寺はあらゆる分野への造詣が深く、彼が語る膨大な量の蘊蓄話が私は大好きです。

「鉄鼠の檻」は

4作目。今回は箱根の山奥の禅寺で起きた僧侶連続殺人事件。鉄鼠とは大ねずみの妖怪。

お坊さんが沢山出てきます。名前が難しくて覚えづらい。。。漫画だから顔で区別できたから良かった。

坊主が上手に坊主を殺していく連続殺人事件の謎解き。それと共に放浪の若い僧侶、山に住む少女と老人、謎めいた彼らの素性も徐々に明かされていきます。こちらはこちらで別の物語としても楽しめます。

更に禅の歴史と沢山の宗派に分かれていった壮大な流れや悟りについての解説もあります。全体的に盛り沢山で入り組んだ内容ですが、漫画版はスッキリ纏められてて読みやすいです。
絵も綺麗で若い美形のお坊さんもいて目の保養になります。

小説を読んでいる時は、閉鎖的な禅寺、雪深い箱根の山奥、場面も人物の変化も乏しくて、まさに「檻」に閉じ込められたような閉塞感を体感しながら読んでいました。

悟りについて

悟りは禅の最終目的だと思っていましたが、そうではなく、悟り続け、修行し続けることが本来の姿だそうです。

そもそも言葉を持たない禅だから                                    (悟っても言葉にすると逃げていく。)
悟りについても具体的に説明する言葉はなく自己判断、自己申告のようなもの。
だから脳内麻薬的な幻覚で悟ったと勘違いする者もいたり・・。

「十牛図」という悟りを10枚の絵で表したものは面白かった。
うん、何となく解った。

感想

そもそも執着がこの世で一番の悪だと言われる禅の世界で、あの人の座禅は凄いとか自分は悟ってないから駄目だとか妬みや焦りを感じるのは僧侶としてどうなんだ!?修行が足りてないですよね。

悟り事態も執着だと言われてるけど、みんな悟りをバリバリ意識しすぎてて・・。更には財産や権力、名誉など欲まみれで・・。
お坊さん=聖人のようなイメージを思い切り崩して人間味を出してきているのが小説ならではの面白さです。

今後は

今回、小説の中で描かれている禅について読んでみて、やっぱり私は禅の考え方が好きだなぁと再認識。他にも禅関連の本を色々読んで知識を深めたい。
そして、京極さんの小説の方も再読したいし、志水アキさんによって漫画化された他の京極作品も読んでいきたいです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

貴重なお時間を頂き感謝しています。









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