国語の教科書にも掲載された『泣いた赤鬼』
中年になり再読すると、昔と別の見方ができる

赤鬼タイプの人は、本当に今でも居るタイプ
願望を口に出すが、他力本願で図々しい
テストの前にノートをコピーさせてくれだの
面食いだからイケメンを紹介しろという、(自粛)

黙って離れたら、恨まれるかな
「縁を切りたい」に抜くのが、伝家の宝刀
【あなたのためを思って】

赤鬼は人間と友達になりたい
そこで、家の前に看板を立てる
青鬼から見ると「それで上手くいくわけない」

赤鬼は物事が思い通りに行かないと
癇癪持ちで暴れてしまう
こんな赤鬼に青鬼は、ウンザリだ

そこで青鬼は提案する
「自分が村で暴れるから、赤鬼が村人を助けな？
そうしたら、村人は赤鬼を信用して仲間になれる」
赤鬼も読み手も、“利他的な青鬼”に胸が打たれる

青鬼の筋書き通り、事は成功し
赤鬼は村人と仲良しこよし、青鬼のことは忘れる

そして、思い出したように青鬼の家を訪ねると
空っぽの家には、青鬼からの置き手紙が残されて
青鬼を失った、赤鬼と読み手は涙を流す…のだが

【あなたのためを思って】
赤鬼に計画を打診し、決行に移す青鬼
日頃のストレスもあり
村を破壊するのは、とても気持ちいい
これで赤鬼へ貸しができ、秘密もできた

赤鬼は、人間との決定的な違いを忘れている
それは、寿命の長さであり生活習慣や価値観だ

そもそも不寛容だった村人は、最初こそは恩人だと
赤鬼の些細な事も見逃してくれたが
幾つも違いがあると、赤鬼と村人に温度差が出る
赤鬼も、村人の塩対応に村へ居づらくなる

【あなたのためを思って】
青鬼は赤鬼と距離を置くべく、さっさと消える
赤鬼へは貸しと秘密があるので、恨まれない
赤鬼は青鬼の元へ行きたくても居場所が分からない

青鬼は、赤鬼と安穏のうちに距離を置く
赤鬼が他力本願になったとき
【あなたのためを思って】は、メリットしかない

願望ばかりで、不利になると頼ってくる者と
孤立しても、環境を変えられる強さを持つ者
この両者の隔たりと
対人関係を拗らせずに離れる、合理的な方法が
『泣いた赤鬼』には描かれているように感じる

˚✧₊⁎きゃらをさん⁎⁺˳✧༚
毎度、お世話になります
創作のヒントをいただきました
仲良くしていただきありがとうございます！