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個性がない人へ非常に寛容な国

冬の色。
ももまろが住む限界集落は、
白樺の木々と清やかな空が高く見え、
山にした欅の落ち葉へ、銀紙を巻いたサツマイモ。
新聞紙を丸めた端に火をつける。

秋に切ったクヌギは、家の外壁に沿わせて積み、
乾燥させておいた。
吊るし柿や干し大根。洒落た光景はないにせよ、
貧しい生活にも、心の豊かさだけは欠かせない。

人と同じは求めなくても
ももまろは、あなたと変わらない。

あなただけが、ももまろを異物に思い、
ももまろを蔑むものを、あなたも持つ。

空気を読めと耳にする。
「私達の求めている行動を言われる前にやれ」
ももまろは、幼き頃から同調圧力の教育を受け、
ももまろは人と違うからとの排除の論理は
あなたの体感とは正反対だ。

ももまろを害虫のようにしていう界隈の風潮。
意識高い系サロン住人ですか。
心の底からそう感じているのですか。

「周りと違う事をしなければダメだ」という風潮は
現時点の社会では、自己啓発の中に見られ、
むしろ、人と同じことをしないと駆逐しようとする
慣習は、ももまろが生まれた時代には既にあり、
今もその延長線上を皆が歩いている。

その中で、蛙達とここから出たくないと井戸の壁にしがみつき、空いた手でももまろに石を投げる。

ももまろより、もっと異質なものが、
止まることを知らずに溢れてきたら、
今より違う世の中になるのではないでしょうか。

冬の色と共に、あなたも冬眠してください。
口と指先から凍りますように。

※たまには自分がショートの主人公でよかろう

#シロクマ文芸部
#小牧幸助さん