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きみ去りしのち(重松清・文藝春秋)を読んで

セキネさんは、生まれて間もない子供を死なせてしまい、別に自分が悪いわけでもないと思うんだけど、懺悔の念から、北へ南へ西へ東へと、日本中を旅に出る。

そんなことして、どうなるという気もするし、日常生活で仕事に打ち込む方がよっぽど建設的、前向きのような気もするのだが。

右往左往した旅行に結論があるとすれば、残されたもので、精一杯生きていくという事だろう。

セキネさんは旅行しまくったので、十分反省しただろうし、いい加減に目を覚ませという思いで読み進めでいました。

もう死んじゃった人を思う悲しみと、これから死んでいく人を見送る悲しみのどちらが深いか、というのは、なかなか結論が出ないから、というか、両方とも深いから、旅行をして結論を出そうとしていたのかと思った。

棺の中に花を飾るのは、あの人は美しい景色の中を旅立っていったのだと思いたいから、というのが勉強になった。

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