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知れば知るほどわからなくなっていく人

 人を見がち、あの人ってああいう人だよねとよく言う。でも、本当に親しい人になっていくと途端にああいう人でまとめられなくなっていく。ある要素を抽出しても別の要素と矛盾する。その繰り返しで、最終的に「良い人」とか「素敵な人」に収めるよりほかなくなる。そんな人が数人いる。

 ああいう人だよねって言えてるときはプレゼント選びに迷わない。その人の属性とプレゼントという単語を合わせてグーグル先生に突っ込めばいい。そうすれば外すことはない。

「大学生 女性 プレゼント」「大学生 コスメ かわいい プレゼント」「二十歳 女性 プレゼント」「女性 おしゃれ プレゼント」などなど。

 出かけるときだって候補はすぐに何個も出てくる。

「京都 カフェ おしゃれ」「京都 デート 一日」「大阪 ランチ おしゃれ」「関西 お出かけスポット」etc.

 でも、親しくなるとそうはいかない。「大学生・彼氏・クリスマスプレゼント」のテッパンがマフラーや手袋だったとしても、相手をよく見ていると、プレゼントしたいものは他に何個も浮かんでくる。相手の好きなものをたくさん知っていると、検索して出てくるものに頼らず考えるより他ない。

 要素が複雑に絡み合って、その人個人が出来上がっていく。そんなときにグーグル先生は全く頼りにならなくて、普段からその人とコミュニケーションをとりながらお互いの好みやOKラインを少しずつ見極めていくしかないなと思う。浴衣デート@花火大会が一般的なカップルの憧れの対象でも、自分の恋人が人混みや浴衣が苦手だと雰囲気は終始暗くなるみたいに。その人と親しい関係になるというのは、自分の中に内面化している一般的な価値観を少しずつ取り除いて、その人個人と向き合って受け入れていくことかもしない。だから私は親しくなればなるほど

「あの人どんな人?」と聞かれたときに

「素敵な人だよ」としか言えなくなってしまうのだと思う。

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