かなり健康法師

『常々草』 徒然なるままに、エッセイ。

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『常々草』 徒然なるままに、エッセイ。

最近の記事

「上手ね」と褒められていたこと

 つい先日、母方の親戚と東京で会う機会があった。そのとき小学2年生の女の子も一緒についてきていた。彼女は照れ屋で始終ママにべったりだったから積極的にコミュニケーションを取ろうとはしてこなかったけど、ホテルの一室に集まっていた時ふいにその子がみんなに絵を見せはじめた。 「上手ねえ」 「上手に描けてるねえ」  見せられた大人たちは皆口々にそう言っていた。  へえ〜どんな絵なんだろう。  少し興味がわいてきて遠くからそっと盗み見た。部屋に備え付けられているメモ用紙に引かれた何本もの

    • 文鳥、増えるの巻

       昨年の6月に迎えた文鳥も立派に成長したことだしそろそろ大丈夫だろうと、新たに二羽の文鳥を迎えた。生後7週間のシナモン文鳥にはこんぺい(性別不明)、生後二ヶ月の白文鳥はどんちゃん(性別不明)と名付けた。  二羽くらい増やす予定はあったが、同時に迎えることにしたのは文鳥同士のコミュニケーションをよく観察したかったからだ。今のところシナモンが籠を齧るか鳴くかで白に話しかけることが多い。白は特に応答していないけど、ブランコに乗って近くに座ってはいるから嫌いってことはなさそう。既に文

      • エッセイ

         コーヒーを頼めば店内の本が読み放題というサービスをやっている店があり、本好きの私は足繁く通っていた。私はエッセイが大好きで、もう少しでエッセイ棚を攻略しそうになっている。  ただ、もう一歩が重い。残りは「せ」の棚の大半を占めているあの方。そう、瀬戸内寂聴さん。  いや〜〜まだやろ〜〜〜という不思議な気持ちが湧いてきて手に取れていない。きっといい本なんだろうと思っているけど、まだその時でない感をビンビンに感じて尻込みしている。  そんなわけで、最近はもっぱら図書館に通っている

        • 花鳥風月

           祖母が庭いじりの好きな人だったからか、私も自然と花が好きになった。元々動物が好きだったこともあり、鳥も好きだった。自転車に乗って坂を下るときの風の心地よさも、山際に出ている月の大きさと頭上で輝く白銀色の光も好きだった。  山が割と身近な地域に暮らしていたこともあって、小学校のレクリエーションで登山することもあった。山桜が満開の春、紅葉が見頃の秋の年2回。最初は馴染みのグループで集合していても、いつの間にか知らない子と話しながら坂を登っている。苦労を共にしていると不思議な友情

        「上手ね」と褒められていたこと

          再会

           7年ぶりに友人と再会した。少しだけ緊張して待ち合わせ場所に向かう間、色々と言葉を準備していた。 「久しぶり、元気だった?」 ……ちょっと大人しすぎるかも。 「会いたかった!!」 ……自分から連絡もしてなかったのにこれは違うか。 「久しぶり!連絡しなくてごめんね〜」 ……初手で謝る?う〜ん…… という感じで、とにかく色々と悩んでいた。  面白かったのは、お互いに姿を見つけての一言目が「あ!」だったことだ。私たちがあの頃に戻るためにはそれ以上何も要らなかった。  それからは夢中

          なんで「音楽が好きです」って言ったら「楽器弾かないのに?」って言われないのに「ハイセンスなファッションが好きです」って言ったら「普段そんな格好しないのに?」って言われるんだ?? 服より音楽の方が原始的で身近なはずなのにな、不思議〜

          なんで「音楽が好きです」って言ったら「楽器弾かないのに?」って言われないのに「ハイセンスなファッションが好きです」って言ったら「普段そんな格好しないのに?」って言われるんだ?? 服より音楽の方が原始的で身近なはずなのにな、不思議〜

          受験で「かきん」された子ども

           この時期になると思い出すことがある。まだ塾講師をしていた頃だ。個別指導のブースでは中学受験を終えた子どもたちが進学に向けて課題に励んでいた。  ある日私が雑務を処理しながら様子を見ていると、小6の男の子がふと私を呼び 「○○くんおちてたんやって」 と言った。聞き覚えのない名前で驚いたが、どうやらこの子の学校の友達らしい。そりゃあ知らないはずだと思いながら「そうなの」と返すと、その子は純粋な目で 「○○くん、親からめっちゃ“かきん”されてたのになあ」 と呟いた。課金、通常より

          受験で「かきん」された子ども

          古代ギリシャの本とか読んでたら「昔の政治家たちってくだらんことも大真面目に話し合ってるんやなぁ」って思ってたけど、3000年後の現代でもふりかけのアリナシで大真面目に闘ってるから、あ〜平和なんやな〜今〜と思ってほのぼのした。

          古代ギリシャの本とか読んでたら「昔の政治家たちってくだらんことも大真面目に話し合ってるんやなぁ」って思ってたけど、3000年後の現代でもふりかけのアリナシで大真面目に闘ってるから、あ〜平和なんやな〜今〜と思ってほのぼのした。

          10年後にはモテんだよ!?

           と言うと「そんなわけないよ」と言われるけど、その度「いやいや、そんなわけないわけない」と頬をベチベチして目を覚まさせてやりたくなる人が一定数いる。彼らはどうやら自分の魅力に気づいていないらしい。それまでモテてこなかったから大丈夫というのが言い分らしいけど、それじゃあ「五年経って読み返したらようやく良さがわかりました」的な感想が本につくのはどう説明するんだろう。後から良さがわかるタイプの魅力を持っている人は本人もその魅力に無自覚で、こっちが勝手に先のことを心配してハラハラして

          10年後にはモテんだよ!?

          昭和20年代の男たち(2)

           約2週間前、こんなnoteを書いた。その後の話である。  あれから祖父は一応、A先生宛に書かれた紹介状を握って病院へ行ったらしい。本来は紹介状を書くタイミングでかかりつけ病院から紹介先病院へ診察予約を取るらしいけれど、お友達の 「先生は手術中で会われへんかったけど、俺が看護師の一番偉い人に言ってきたから大丈夫や!紹介状持ったらそのまま行ったらええわ!」 という、何の根拠もない発言を鵜呑みにして予約なしに訪れた祖父は、案の定師長さんに ①診察は本来かかりつけ病院からの予約が

          昭和20年代の男たち(2)

          知れば知るほどわからなくなっていく人

           人を見がち、あの人ってああいう人だよねとよく言う。でも、本当に親しい人になっていくと途端にああいう人でまとめられなくなっていく。ある要素を抽出しても別の要素と矛盾する。その繰り返しで、最終的に「良い人」とか「素敵な人」に収めるよりほかなくなる。そんな人が数人いる。  ああいう人だよねって言えてるときはプレゼント選びに迷わない。その人の属性とプレゼントという単語を合わせてグーグル先生に突っ込めばいい。そうすれば外すことはない。 「大学生 女性 プレゼント」「大学生 コスメ

          知れば知るほどわからなくなっていく人

          我が家の文鳥ナデナデMAP

           今月は飼っている文鳥の誕生月だ。買ったときに誕生日まではわからなかったから、私が勝手に3月15日に決めた。無論、サイコーの日という意味である。  彼を飼いはじめてもうすぐ9ヶ月が経とうとしている。依然、求愛ダンスの対象は鏡のままだが、私とも結構仲良くなってきた。手乗り&1人餌状態で迎えたから人間への信頼は最低限度保証されていたけれど、肩に乗ったり手に乗ったり、こうしてnoteを書いていると飛んできて人差し指の上で邪魔しつつ、お互い楽しく暮らしている。  そんな日々を過ごす中

          我が家の文鳥ナデナデMAP

          大人【おと-な】

           いつの間にか「私が子供の頃は〜」と言っても「今も子供でしょ!」と言われなくなった。お年玉も貰えなくなり、バイトを始めてからは月のおこづかい制度もパッとあっけなく消滅してしまった。  いつか自分の財布の中身から「おこづかい」が消えて「給料」ばかりになることは高校生くらいの頃にはわかっていたけれど、いざその時が来てみると何だかぼんやりと寂しい気がした。多分今後、財布の中に「おこづかい」がある日はない。これから何度財布を開いても、出迎えるのは「給料」だけ。そっか、大人になったん

          大人【おと-な】

          うるう年の2/29にあった出来事

           日付が変わってまもなく、一通のLINEが届いた。滅多にならない通知音が鳴ったから、こんな時間に送ってくるなら家族だろうと思って開いてみると違った。 「久しぶり、元気してる??」  数えてみるともう、9年も会っていなかったんだ、昔習い事をきっかけに知り合った友達だった。あまりの衝撃に眠気も吹っ飛んだ。急いで返答する。  どうやら就職で他県に引っ越すので、その前に食事でも。ずっと会いたいと思っていたけどタイミングに迷っていて、思い切って連絡してみたとのこと。 「よかった〜〜返事

          うるう年の2/29にあった出来事

          文鳥になりた〜〜〜〜い!!!

           好きな人の手にすっぽりと収まるサイズ感、羨ましくってたまらない。  私はこの世に生を受けて以来スクスク成長して167センチまで伸び切った。これは日本人女性の平均を結構上回っている。とはいえ、我が家は母方が高身長の家系で、母に至っては170センチの大台を突破している。だから、167センチの私はこれでも少し、家族の中では小さい方なのだ。  されど、文鳥には敵わない。彼らは二頭身を地で行く飛行特化のハイパーちんまりフォルムであり、そのちまっとした体を生かして隙あらば手の中に潜り

          文鳥になりた〜〜〜〜い!!!

          こんな人がいないところに私は行きたい

           滅多に人を嫌いにはならないが、時々軽蔑している。  私の言葉ではない。かつて芥川龍之介が残した言葉らしい。なるほど、その場で眉尻はピク……と動くけど、口に出すほどではない感情を「軽蔑」と呼ぶのだと私は彼に教わった。  それから振り返ってみると、軽蔑を感じるたびに内心つぶやく言葉があった。  それが、こんな人がいないところへ私は行きたい、だった。  人を軽蔑するたびに漠然と思った。こんな場所だから、こんな人がいるんだ。もっと高く、磨かれて、命が熱く輝くような場所に行けば、こん

          こんな人がいないところに私は行きたい