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[怪談]古びたドライブインで起きた出来事

これは俺が夏休みに体験した話
ドライブが好きで、連休ともなると数日かけて地方をドライブするなんていう事をやっていた。時間を気にせず気ままに走って疲れたらそこら辺の道の駅や路肩のチェーン着脱で仮眠をとるなんて言う事をしていた。
そんなことをしていた時に遭遇した話。
場所を特定されたくないのでぼかして書くが、日本海から関東へ抜ける峠道にある古びたドライブイン、深夜ともなると大型トラックのドライバーが仮眠休憩を良くしているような場所だ。街灯の明かりが眩しくない場所に車を停めて仮眠をとっていた。
疲れもあってすぐにぐったりと深寝してしまった俺は
ぼんやりと夢なかで誰かが呼ぶ声を聴いた。
その声は男の声でかなり遠くにいるらしくオーイオーイと俺に声をかけている。
声しか聞こえないが手を振ってこっちへ歩いてくるいのが想像できるような感じだ。
夢の中の俺は気味が悪いので無視しようと寝たふりを決め込んだ。
声はだんだんと近づいてくるんだけど、どうやら俺の場所を把握できていない様子で、オーイオーイと叫びながらあたりを探している様子だ。
このまま寝たふりでやり過ごそうと思っていると耳元で”ここだよ!ここにいるよー!”と誰かが大声で叫んでいる。
その声に気づいたようにオーイオーイという声はさらに近づいてくる。
余計なことしやがって、その叫びをやめさせようと思ったが、なぜか体に力が入らず目を覚ます事ができない。
オーイという声はますます近づいてくる。
ヤバいヤバい、このままオーイという声につかまったらヤバい。
そう思って必死に目を覚まそう、起きろ!起きろ!と心の中で唱える。
“ここにいるよ”という声に呼応するように
オーイオーイ声がすぐそばまで近づいてくる。
ヤバいヤバいヤバい起きろ起きろ起きろ!
声がすぐそばまで近づいてくる。
 
”ここだよ!ここにいるよー!”
耳元で叫ぶうるさい声とともに俺は目が覚めた。
そして気づいた、
”ここだよ!ここにいるよー!”と叫んでいたのは俺自身だった。
ゾワっと全身に鳥肌が立った。
慌てて周りを見回しても周囲には暗闇が広がるだけで人影は見えない。
早くここを離れよう、
そうして体を動かそうとするが体に力が入らない。
もしまたあのオーイという声がやってきたら今度こそ逃げられない。
眼だけを動かして周囲を警戒する。
動くものは何もない。
早くここから逃げないと、神様仏様お願いです助けて!
早くここから逃げなきゃ、逃げなきゃ逃げなきゃ
 
「本当に・・・?」

記憶があるのはここまで、
その後のことは記憶がすっぽりと抜け落ちたようで、どんなに思い出そうとしても思い返すことは出来ない。
俺には付き合っている彼女がいるのだがこの一件のあと別れを告げられた。
最近寝言を言うことが増えたのが原因らしく、
その内容は聞き取れないが、
どうやらその寝言を聞くと悪夢を見るらしい…

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