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[怪談]クマへの供物

これは東北地方にすむNさんがおじいさんから聞いた話 Nさんのおじいさんはお話の好きな方で、おじいさんはよく昔の話をしてくれた。 この話はおじいさんが病床に伏し死の間際になったとき、Nさんに語ったお話。 Nさんのおじいさんが若い頃・・・仮にSさんと呼ぶ Sさんは昔山で狩りをする所謂マタギを仕事としており、 特に冬の時期になると1週間も2週間も山へこもっては獲物が捕れるまで狩りをしたのだという。 生活収入の乏しい田舎では農家は冬の間の収入源として狩りをすることは珍しくなかった。

    • [怪談]学級通信

      小学校で教職を務めるB氏は若手の中では面倒見も良く子供好きで子供たちからも人気の先生だった。 小学校の先生の仕事の一つに学級通信というものがあり、その週に暮らすで起きた出来事などを親御さんに伝えるというものがある。 内容は○○ちゃんが授業を真面目に受けているだとか、休み時間に子供たちがどんな遊びをしているだとかなどのクラスで起きたほほえましい出来事をA4一枚の紙にするといったものだ。 毎週週末に生徒へ配り親御さんに読んでいただくのだが、何分多忙な小学校の先生の仕事の片手間な

      • [怪談]倉庫の無縁箱

        倉庫業の仕事をするBさんはこの仕事を続けて4年目になる中堅だ。 大学生の頃からバイトでこの仕事をするようになり、大学卒業を機に正式にこの倉庫の正社員となった。 倉庫業とは企業などから商品を一時的に預かり保管し、卸で商品を出荷するタイミングで荷物を倉庫から取り出し、大型トラックに詰め替える仕事だ。 仕事をするにはフォークリフトの免許はほぼ必須となり、仕事上の事故も少なからずある危険を伴う仕事だ、それゆえに給料もそこそこ貰えBさんも金銭的に不自由のない生活を送っていた。 Bさん

        • [怪談]迷子案内

          これは中国地方に住むYさんという女性が小学校低学年の時に体験したお話。 その日Yさんはお父さんと一緒に郊外のショッピングモールへ買い物に出かけていた。 地方都市の幹線道路沿いに立地するそのショッピングモールは大手系列で、広大な店内の中にいくつもの商店が入っていた。 Yさんとお父さんはいくつかの店舗を巡り衣服や家電、雑貨などを買い求めると休憩の為フードコートへと立ち寄った。 お父さんから何が食べたいかと聞かれたYさんは嬉々として「ハンバーガーのお店にする」と答えた。 店舗で注文

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        • [怪談]
          13本

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          [怪談]冬眠する病女

          東北地方の寒村、そこでは厳しい冬を越すために冬眠する人間がいるのだという。 今でこそ冬の寒さで人が死ぬという事はなくなったが、明治あたりまでは冬を越すというのは東北にある村では死活問題だった。 厳しい冬を越すために雪が降るころになると村人は近くの神社へ女を捧げ一冬を冷たい神社のお堂で過ごさせるという風習があった。 一冬をお堂の中で暮らすその生贄はまさに冬眠とでもいうように冬の間眠って過ごし、村民が無事に冬を越せるようにと祈ったそうだ。 これはYさんが曽祖父から聞いたお話。

          [怪談]雨音が聞こえない

          これはFさんが体験した話。 6月も終わりにさしかかる初夏のある日。 Fさんは雨の気配を感じて布団で目を覚ました。 今日は雨か・・・外出の予定があるのにイヤだな・・・なんて思いながら布団の中でスマホをいじる。 しかし雨の気配はするが雨音は聞こえてこない。 意外と小雨なのかも・・・ Fさんの家の窓はすりガラスなので窓を開けてみないと仔細までは把握できない。 時刻は朝の6時、初夏の朝六時と言えば晴れていれば朝日が窓越しに燦燦と差し込むものだが、この日は雨で雲が厚いのか外は薄暗い。

          [怪談]雨音が聞こえない

          [怪談]市営地下鉄3番線の人魚

          市営地下鉄で働くEさんは勤続3年目になる鉄道の職員だ。 Eさんが担当するS駅はその年で最も古い歴史を持つ地下鉄路線の小さな駅だ。 Eさんが働く駅の3番線にはある噂があった。 終電も終わった深夜になるとホームの床に、まるで何かが這った後の様な濡れた跡が伸びている…。 その濡れた後はホームを張った後、ホーム端から線路の方へと降りていくように続いている。 実際のところ噂を聞いたEさんは半信半疑だった。 しかしある日始発前の未回りで3番線ホームの見回りをしているとき、件の濡れた後

          [怪談]市営地下鉄3番線の人魚

          [怪談]祈らずの神

          これは俺の高校時代からの友人Nが体験した出来事。 Nとは長い付き合いになるが、可笑しな体験を何度もしているらしく ここに書いていく。 まずNってのは旅好き冒険好きの怖いもの知らず、暇さえあれば田舎の観光地や寂れた場所へよくバイクでツーリングに行くような奴だった。 それゆえいろんな地方で危ないことにもあったりしたらしく、 かくいう俺もNとのツーリングでは何度も危ない目に合った。 秋口の3連休、俺とNと友人もう一人で紀伊半島にツーリングに行った時のことだ。 熊野を過ぎたあたり

          [怪談]蜘蛛の渡り

          そんなに怖くないかもしれないけど 深夜にタバコを吸っていた時の話。 深夜に家の前でタバコをふかしていたら、 ピチャッとどこかで水の滴る音がした。 雨でも降って来たのかなと思って空を見上げたが 星がきれいに見えるほどの快晴。 空耳かと思ってその時は特に気にはしなかった。 別の日、深夜にタバコをふかしているとまたピチャッと水の落ちる音が聞こえた。 空耳じゃない。 何だろうなと思って周囲を見渡す。 屋根から夜露でも落ちたのか?エアコンの室外機から水でも垂れたか? そう思ったけ

          [怪談]ウオノメ誰の目

          これは昭和初期ぐらいのお話。 場所は中国地方の宿場町。 当時はまだ交通網が発展途上で、旅をしたり行商人さんなどの移動は歩いて行う事が多かった。 足を酷使することが多いゆえ現代の人よりも健脚な者が多く。 一日に40km以上も歩き、軽い小山や峠を越える程度は日常茶飯事だった。 そんな彼らには脚はまさに商売道具で、 それゆえ脚の悩みはつきもの。 とりわけ多かったのはウオノメだ 魚の目を食べたからだとか、イボの中心が黒くて不吉だという事から地方によっては不吉なものとされ忌み嫌われ

          [怪談]宛先の無い回覧板

          中国地方の山間にある住民200名ほどの村。 夜の6時には街灯も消えるような村で夜になると真っ暗な闇に包まれることもある。 嫁として嫁いできたYさんは成れない田舎の風習に戸惑いつつも、 1年も経つ頃にはその牧歌的な暮らしに慣れつつあった。 その田舎には田舎特有の閉塞感のようなモノや陰湿な村社会というモノこそないものの ひとつ奇妙な風習があった。 それはYさんが仕事を終え家に帰ってきたときの事。 家の玄関、新聞受けの横に真っ黒なものが立てかけられていた。 なんだろうかとよく

          [怪談]宛先の無い回覧板

          [怪談]北アルプス北部山域にて遭難

          これは俺が雪山で体験した話。 話って言っても俺が雪山で遭難して救助されるまでのあいだに起きたちょっと不思議な出来事。 時期は3月、山に登らない人にはあまりピンと来ないかもしれないが、 3月ぐらいになると雪も降雪と融雪を繰り返してよく締まった登りやすい雪になる。 ソロで雪山に登った俺は急な天候の悪化で猛吹雪に出くわしてしまった。 場所は北アルプスの奥の奥、長野と富山と岐阜の県境のあたりだ。 標高2,500付近、吹雪が吹くと気温-20℃いかにもなる過酷な場所だ。 幸い食料

          [怪談]北アルプス北部山域にて遭難

          [怪談]古びたドライブインで起きた出来事

          これは俺が夏休みに体験した話 ドライブが好きで、連休ともなると数日かけて地方をドライブするなんていう事をやっていた。時間を気にせず気ままに走って疲れたらそこら辺の道の駅や路肩のチェーン着脱で仮眠をとるなんて言う事をしていた。 そんなことをしていた時に遭遇した話。 場所を特定されたくないのでぼかして書くが、日本海から関東へ抜ける峠道にある古びたドライブイン、深夜ともなると大型トラックのドライバーが仮眠休憩を良くしているような場所だ。街灯の明かりが眩しくない場所に車を停めて仮眠を

          [怪談]古びたドライブインで起きた出来事

          [フリー台本]深夜の異世界飯テロ食堂 天たま蕎麦

          ちゃーっす今晩も冷えるね。 おっカツブシのいい香りしてるねいい蕎麦屋ってのは出汁から丁寧にとってるプロの仕事だね。 親父天たま蕎麦の温かい所ひとつくれい。 へへっこういうさみー日はね夜鷹の蕎麦でポカポカになりたいね。 言い蕎麦屋ってのは暖簾をくぐっただけで分かるよ。 この湯気でムワッとした店の雰囲気たまらないじゃないの、 これから蕎麦を食おうっていう心持ちがアガルってもんだよ。 しかもね椅子なんかない立ち食い蕎麦ときた、 せせこましい現代人に優しくよりそう庶民の味方だ。 ガッ

          [フリー台本]深夜の異世界飯テロ食堂 天たま蕎麦