ファザコンの現実逃避21

父の知り合いの人が亡くなったと知った日
父の機嫌が悪かったことがあった

父はその日些細なことでぼくに八つ当たりをした
父が怒った
でもぼくは知っていた
父は悲しんでいたんだ
でも悲しみをうまく表現できなかったから
だからぼくを怒ったんだ
でもあの時、
ぼくがもう少し大人で 利口だったのなら
その怒りに対して反抗したりせず
きっと父を抱きしめてあげられたはずだ
でもそれをするには 幼すぎた

父は怒って、ぼくに八つ当たりをして
さらに苦しい方へ自分をみちびき
悲しみは人に八つ当たりする怒りに変わって
余計に募っていったんだ
そんなとうさんは思い出したくもない

だけどぼくは、あの時のとうさんの顔を思い出して
とうさんを心の中で抱きしめた
するととうさんは安心してぼくの胸の中で
泣いたんだ

ああ、とうさん
あのとき
とうさんに怒りをぶつけられたことなんか、
ちっぽけなことだったんだ
とうさんの悲しみや
とうさんの寂しさに比べたら。。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?