トリコロールの現実逃避

ああ この渇きは一体どこからくるのだろうか????????
わたしはもうどれほどの水を身体に含ませた
ろう。
でも癒えないなにかが、ある。
そのかわきは決して身体のみがかんじているものではないと思っていた。ついさっきまで。

僕は必死に考えようとしなければならないと思い、必死になって考えたのだ。
一体この渇きはどこからくるのだろうかと。
水は教えてはくれない。
そんなのはわかっている。
でもなぜか僕は、ある程度の水を含ませたなら、この渇きが癒えるのではないかと思っている。なぜだ??

ぼくは漸くきづいたんだ。
そういえばここ数日間の記憶がすっかりどこかへ行ってしまっていたということを。

その記憶が甦ってくる。
今日の朝まで病院のベッドにいた。
そしておとといまで、僕は暗い山の奥の不気味な洞窟にいたことを思い出した。
僕は山の中でひとり遭難していた。
僕には、助けを求める体力さえもなかった。
水筒の水は底をつき、小便すら出ない。
涙さえ・・・。

今、退院してここに座り、僕はひとり、水の入ったコップを片手に鉛筆を走らせている。
書く手は時折とまってまた走り出す。
でも決して左手のコップを口に運ぶ手はとまらない。
体は正直だ。
僕は今、間違いなく水を欲しているのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?