ティテージの現実逃避

浮かんでいる雲の共通点って、なにかわかる
かい?
ぼくはわかるとも。
雲はくもなりに自分の体が軽すぎることに
不満をもっているんだ、きっと。

例えばかみなりや太陽、月たちといっしょに
スカイパーティをするとき、
雲たちはいつもそろって思う、
「太陽や月はいいなあ。ぼくたちも、
もっとどっしり構えたいぜ」ってね。

雲たちはそんなことを思いながら
カクテルに酔いつぶれ・・・・
決まって次の日になると、もう空に浮かぶ
元気すらない。
太陽はぎらぎらと雲たちをにらみつける。
風は今日もはりきって、雲を追いはらおうと
するのに。
「これじゃあだめだな。」
と、あきらめる風。

風が帰ってしまうと太陽は、
「風の冷たさをどれだけ心待ちにしていたか
わかってるのかい?」といわんばかりに
ますます雲たちをにらみつけるんだ。

雲はあんまり熱く太陽が自分たちを照りつけるもんだから、反省してちゃんと空に浮かぶことを決めたんだ。
一時的なものだけどね。

こうして雲の共通点を知ってしまった僕は、
雲が出ていないとき、ふと思う。
ああ、きょうも生きていくのに精一杯なんだ、ってね。

それからしばらくかんがえた。。。
そういえば、風は雲以上に軽いんじゃないかって。
だけどね、思ったんだ。
風はものすごいスピードで空を旅するわけだから、きっとなやんでる暇なんてないんだって。

だから、ぼくがもしも空をとべるようになって、雲に直接会うことができたら、
そのときは忠告しようって決めたんだ。
「きみらも風のようにはやく走って、
爽快な気分をあじわってみたらどうだい?
きっと体が軽ければ、走れるはずだよ」
ってね。

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